陰陽師

闇に交われ、光を解き放て

とりあえず一見の価値蟻。野村萬斎の立居振舞にため息をつかされます。あのシャキッとした背筋と優雅な身のこなしは流石狂言師といったところでしょうか。むしろ私の中では狂言界のプリンスっつったら、どこぞのマザコン男ではなく萬斎を指します。最初の印象では描いていた安倍晴明像とちょっと違うかなあとも思ったんですが、そのうち全く気にならなくなりました。続編、シリーズ化も決定しているそうですが、逆に萬斎氏以外が晴明をやるならもう見ません。それくらい雰囲気がハマッているのですよ。岡野晴明(漫画の陰陽師)の黒いップリに。(言っておくけどビジュアルがじゃないよ。キャラがってことね)
一方源博雅役の伊藤英明ですが、こちらもなかなかに似合っていました。演技力とかはさておき、源博雅は実際にああいうような顔をしていたそうですよ。曰く「二重まぶたで鼻が高く、目が大きい」。今ではかなりの美男子の形容ですが、当時は醜男と見られていたそうです。我々は平成の世に生きていて本当に良かったと思いました。それはいいとして、ビジュアルはイトゥーで大正解。原作者の夢枕獏氏も語っていた「可愛い男」、博雅を見事に演じてくれていました。
んで、ようやく本編について。私は配役にはうるさいからねえ!!
とりあえず色々気になるところはあったものの、テンポも良くて楽しめました。まあこれも勧善懲悪ですがね。冒頭でいろんなエピソードを交えつつ、安倍晴明ってのはこんなすごい人なんだよってのと博雅との友情を描き、悪者陰陽師道尊との対決になだれ込んでいくと。ここで道尊はその昔長岡京に呪いをかけた早良親王を復活させるわけですが(今までこんなに長岡京が注目されたことがあっただろうか)、早良親王の軟弱っぷりが惜しいです。積年の恨みよりも彼女を取ります。ワオ!!なら初めから彼女が説得に行けよ!!例えるなら、銀行強盗をして立てこもってから3日目になる男が、彼女の説得にあっさり1分で出てきた、みたいな感じと思って下さい。あと6の某友人Rが言っていました。「牛車はあんな猛スピードで走らない!!」・・・確かに。牛車というのは緩やかなスピードでこれまた優雅に進んでいくものらしいです。平安人は雅が大好き。セコセコしたのは嫌いと。あれはまさしく馬車のスピードでした。きっと牛の奥歯に加速装置がついているんでしょう。
まあこれもエンターテイメントとしてはかなり面白かったです。陰陽師ブームも一段落していますが、2003年(安倍晴明没後千年にあたるそうです。ちなみに6の誕生日は晴明の命日だ)公開予定の第二弾も楽しみですね。

見ろ度-----★★★★
やっぱり帝と言えば岸辺一徳だ度-----★★★★★★
「そんなに狐に似ておりますかな?」-----★★★★★★★




カウボーイ・ビバップ
  〜天国の扉


そいつはただ、独りぼっちだっただけさ。自分以外の誰ともゲームを楽しめない、夢の中で生きてるような…そんな男だった。

一部のコアなファンに熱狂的支持を得ているあのアニメの劇場版です。元々はテレビで放送されていたんですが、僅か13話で終了。その後WOWWOWでテレビ版を含む26話が放送されたんですが、(レンタルもされてます)たったそれだけで絶大な支持を得るに至ったという有名なアニメですな。
いやねー、これマジでかなり面白いです。時代設定は2071年。人類はすでに地球を出て太陽系を自由に行き来するようになり、この世界では賞金稼ぎというのが一つの職業として確立されています。そんな彼ら賞金稼ぎのことを「カウボーイ」と呼ぶんですな。で、主人公のスパイクを始め、仲間のジェット、フェイ、エド、アイン(犬)のキャラクターがとても魅力的に描かれていることがまず大きな魅力の一つかもしれません。一応は仲間なんだけど、決して馴れ合うことも無く各自好き勝手やってて、でも最終的には同じ場所に帰ってくると。雰囲気としては近未来ルパン3世なんてことをよく言われてますが、もう少しシリアスっつうか、ハードボイルドを狙ってるんだと思います。あ、そうだ。あとビバップを語る上で欠かせない要素が「音楽」な。ビバップという単語自体が音楽用語なんですが(ジャズなんかを演奏する時に楽譜通りにプレイするのではなく、アドリブなんかを入れて自由に演ること)、このアニメは大変音楽に凝っています。まずこの「天国の扉」ではオープニングからして最高。要所要所にジャズ、ロック、果ては民俗音楽やら宗教音楽まで入れちゃうのですな。聞いたところによると、コアなファン向けアニメにも関わらずビバップのサントラは初回で70万枚の売り上げを記録したそうな。スゲー。
はい。そういうわけで今までのが前フリです。例によって好きな作品は前フリが長くなります。まあビバップ前知識ね。で、ここからが「天国の扉」の感想なんですが、今回は軸になるテーマに哲学的思想が絡んでるかなと思いました。ええと、荘子という思想家を知っているかな?胡蝶の夢という有名な話があるんですが、「私が蝶になった夢を見ていたのか、それとも今の現実が蝶が見ている夢なのか解らない」というやつです。そういうのがこの「天国の扉」の根底に流れていると。
大まかなストーリーとしては、ある時高速道路で突然タンクローリーが大爆発を起こす(だったと思う)テロが起きます。その犯人として手配されたテロリスト、ヴィンセントには3億ウーロンという多額の賞金がかけられる事になった。各自勝手にヴィンセントを追うことになるスパイクとフェイ+エド。しかしヴィンセントの使った方法とは、恐ろしいものだった・・・・・!!みたいな。←こう書くと凄いチープな感じなんだけど、まあまあ面白いです。今まで褒めちぎっといて今更まあまあっつうのも何なんだけど、テレビ版を見た者にとってはまあまあとしか言いようが無いのよ。何つうか、「あー!!ビバップは本当はもっと面白いのになあ!!惜しいなあ!!」みたいな。劇場版ってことでやっぱ気負いがあったのかもしれませんが、テレビ版を見た者にとっては、これを見た人にビバップってこんなもんかーとか思われると悲しいなあと。ジェットもエドもかなり重要なキャラクターなんだけど、この話の中では完全に添え物扱いになってるしね。ヴィンセントも格好いいんだけど、最後で女に走っちゃうあたり詰めが甘いなーと。
まあネタバレをしちゃうとだな、ヴィンセントの使った方法ってのは生物兵器なんだ!!所謂ウイルスって奴。んで、ヴィンセントは過去その実験台になってたらしいんだけど、その辺もちょっと曖昧。あ、でもヴィンセントの苦悩だとか孤独感みたいなのは凄く良かったと思います。
「俺はただ扉を探しているだけさ」そう言ってテロ行為を続けるヴィンセント。ナノマシーンという青いガラス球(これがウイルスなんすよ)で一人でゲームをしてるシーンがとても印象的です。彼は共にゲームをする相手を持たないのです。で、最後に彼はこう言って死んでいきます。「扉などどこにもなかったんだ・・・・」
まあ細かいとこは自分で見てくれ。そんでテレビ版もレンタルして見てくれ。絶対面白いから。
最後のスタッフロールの音楽は相変わらず格好良くて、それよりも印象に残ったのは最後のARE YOU LIVING IN THE REAL WORLD?の一文でした。テレビ版ほどの面白さは無いにしても、やっぱりビバップはやってくれます。
何だかこの「天国の扉」は全米で公開されるそうで、一ファンとして今後も新しいビバップが生み出されていくといいなと思いました。

見ろ度-----★★★★
むしろテレビ版をレンタルしろ度-----★★★★★★
エドをもっと出せ!!-----★★★★★★★




君を忘れない

FLY BOYS, FLY!

戦争は悲しい物。戦時中は辛く暗い物。確かにその通りなんだろうけど、そのイメージを良い意味で覆す良作だと思います。戦火の最中で誰もが苦しい思いをして、自ら望む筈も無い(と言っても、戦時中は自分が望んでいないとすら気付いていなかったんだろうけど)殺戮を強いられて。「一億総火の玉」なんて事が本気で叫ばれていた時代です。
けれど、そんな時代がまさに青春の時だった人達もいる。
テーマは特攻。いや、特攻そのものの是非ではなく、あくまでメインとなるものは海軍飛行予科練習隊の練習生です。
特攻隊というのは空軍ではなく、海軍に属します。だから軍歌でも「七つ釦は桜に錨」なんて歌われているわけですが、この映画の特別攻撃隊の連中は実に明るい。爽やかで、彼ら自身には悲壮感が全く無い。・・・・まあそれが、見ていて逆に辛いんだけども。
特攻に入れば髪が伸ばせる、マフラーが巻ける、女にモテる!!そんな理由で(勿論それが全てではないけど)志願したワケ有りの青年達は、実によく笑います。そして死にたがる。あと少し経てば戦争も終わるのに。そして、結局笑って死んでいくのです。
隊員の一人である松村(役名は忘れちゃったけど、さすがに戦時中の食糧難の時代ににあんなデブはいねえだろ。それよりあんな体で飛行機が飛ぶかどうかが問題だ)は言います。
「隊長、俺達のする事には、ちゃんと意味があるんですよね。無駄な事なんかじゃ、ないですよねえ」
それに対して望月隊長(唐沢寿明)は答えます。
「この特攻という手段が後の世でどれほど非難されようとも、飛んでいく俺達は何ら恥じる事は無い」
本当は、戦争という行為が無意味である以上、それに付随する全ての事もまた意味が無いと私は思います。けれど、その瞬間が青春であり、また全てであった彼らの生き方をも否定する事は出来ないし、後世の我々などがどうこう言える問題などではない。
実際の戦争というものはこの映画のように大らかでも明るくもないのだろうし、やはりこの青春群像はあくまで映画でしかないのかもしれません。でも、この映画を批判したのは後世の批評家達で、本当に戦火を経験した人達には割と好評だったと聞いています。
どんな時代でも、人は全く笑わないという事は無いし、それが若者ならば尚更そうで。
だからこそ、どの時においても一番強いのは若者で、彼らは美しい。
今我々が生きる時代というのは、そういう大勢の若者達の犠牲の上に成り立っている事を忘れてはいけないと思います。同時にこういう映画を見ると、当時の若者達と現代の我々を比較して、酷く恥ずかしくなるのも事実ですね。今の世の中を見たら、彼らは「こんな時代を作る為に俺達は死んだんじゃない」と怒るんじゃないでしょうか。
明るいが故に悲しい、若者達の戦争。
是非見て欲しい映画だと思います。

見ろ度-----★★★★★★
泣ける度-----★★
時代考証-----それ言っちゃダメ




CASSHERN

たった一つの命を捨てて 生まれ変わった不死身の体。
鉄の悪魔を叩いて砕く。キャシャーンがやらねば誰がやる。

タツノコプロの同名アニメを実写映画化。私は元ネタを知らないんですが、全く気にせず十分楽しめました。というよりも、聞くところによると別物と考えて見た方がいいらしいですね。監督は宇多田ヒカルの旦那、紀里谷和明。なので主題歌は当然ウタダ。内容と物凄く合ってて、やっぱこの人は才能あるんだなあと改めて実感しました。
さて、映画の内容ですが、PVとかを撮ってただけあって紀里谷監督の映像は秀逸です。世界観はFF7のミッドガルを彷彿とさせて(やった事ある人は分かってくれると思うんだけど)、近未来とアジアを融合かせた感じが妙にヲタク心を擽るんですな。やっぱイメージ的な映像はお手の物なんでしょう。
全体に渡って命題とされているのは、「何故人は争うのか」という事。
この映画をただの子供向けヒーロー物にしていないのは、勧善懲悪ではないストーリーです。悪には悪になるだけの理由があるし、しかしそれを善がそうですかと許すわけにもいかない。その前に、何が悪で何が善なのか。アニメの元ネタではそうでもなかったんだろうと思いますが、この映画だけで言えば、大部分の人は敵方である新造人間達に肩入れするんじゃないかと思います。何つうかなあ・・・・・とりあえず悪の象徴として新造人間達を掲げていますが、彼らがそうなるに至る経緯が可哀想なんだよ。それに比べて人間たちの傲慢な事ときたら!!ストーリー的には、人間が自分達を助く手段として新造細胞を開発→予期せぬアクシデントにより新造人間誕生→人間による新造人間迫害→「我々は生きている!!人間を一人残らず皆殺しにする!!」となるわけですが、そりゃあブライ様(新造人間のボスな)がそう言いたくなる気持ちも分からんでもないです。やり方は荒っぽいかもしれんが、見ていて不愉快になるのは明らかに人間側だからな。まあ惜しむらくは、もう少し新造人間同士のやりとりを描いてくれても良かったかなと思いますが。
キャストも何気に豪華でなかなか良かったですよ。ブライを演じる唐沢は悲哀溢れる悪を物凄く魅力的に表現してくれてるし、寺尾聡や樋口可南子も言うまでもなくスバラシイ。大滝秀治はいつ「お前の話はつまらん!!」と言い出すのかとドキドキしましたが、結局言いませんでした。ガッカリ。あとは宮迫ね。おいおい、何か物凄く上手いじゃないか!!最近木梨憲武の演技に感心したばかりですが、お笑いの人は演技が達者な人も多いですな。つうか芸達者な人が多いと思います。蛍原には可哀想ですが、宮迫はピンでもやっていけるなあと思いました。・・・・・・一番影が薄かったのは主役の伊勢谷かもしれない罠。
何故人は争うのか。それは皆が思っているし、散々語られているテーマなわけです。しかし、皆がそう思っててなかなかそれが実現されないのはどうしてなんでしょうね。
この「CASSHERN」では、あくまで人間VS新造人間という形で描かれています。ですが、最後まで見た人なら分かると思うけど、そこには大きな秘密があるわけです。結局、争うという行為をするのは人間だけなんですな。やられたからやり返して、やり返されたからまたやり返して・・・と戦争なんてのはゴチャゴチャ大義名分を掲げながらも詰まるところはそんなもんだと相場は決まっておりますが、だったらそこから抜け出すにはどうすればいいのか。結局は双方とも消えて無くなってしまうしかないのか。
予告トレーラーで冒頭の「たった一つの〜」の台詞を喋っているのは、実は敵方であるブライです。この台詞をブライが口にするのは、内容と照らし合わせても矛盾しているようにも見えますが、実はそうではないんですな。本編を見た後では、この台詞をブライが語っているという事実が物凄く切なく感じる事でしょう。本当に、子供から大人からヲタクまで、全ての人に見て欲しい映画だと思います。やったねキリヤ!!
・・・・・・・・・・どうでもいいけど、実はグレイのヒサシとタクローもちょい役で出てるんだよね。
気付きにくいけど。

見ろ度-----★★★★
国旗でマント→棺桶に着地シーンの流れ-----★★★★★★
つうかブライ-----★★★★★★★




狂気の桜

真っ白な、怒り。

基本的に私は窪塚洋介が嫌いです。どこかどう嫌いかと言われると困るんですが、格好だけで生きてるようなあの姿勢が嫌いなんです。でも江口洋介は大好きです。なので、江口を見るつもりで仕方なくこの映画を見てみました。
結論。
・・・・・・・・ハァ!?なんでこの映画に江口が出てんの?こんなクソ映画に。もう見るに値しなくて、途中から早送りで江口のシーンだけ見ようかとも思いましたが、一応レンタル料を払っておるのでな!!勘弁してやった。・・・・だってさあ、要は右翼映画じゃん?何だ、ナショナリストって。イデオロギーって。意味をちゃんと理解してから使えたわけがっ!!
要は、窪塚率いる三人衆が現代の弛んだ若者と世の中を憂い、暴力で世の中を変えてやろうって話ですな。キーワードは「粛清」「排泄」・・・あと何だっけな。忘れちゃったけど、見てる分にはチーマー崩れの馬鹿なガキが、適当な大義名分つけて暴れ回っているようにしか見えませんでした。何が「真っ白な怒り」だ。格好つけてるだけで、やってる事はチンピラと変わらんだろ。
例えば、飲食店で食事をしている時、たまたま居合わせた若者グループが下世話な話題で馬鹿みたいに大盛り上がりをしているというシーンがあります。まあね、引きずり出してボコボコにしたい気持ちは解るよ。ここはお前らの家じゃねえぞ!!って言いたくもなるのも理解する。正座させてバリカンで頭を虎刈りにしてやりたいというのも、可能ならばやってみたいさ。ああしてみたいさ。でも、本当にそれやっちゃったらただの893だろ。
そして更にイライラ度を300%くらいアップさせてくれるのが、あの主題歌!!
「ヨー、森羅万象にマジリスペクト」
・・・・・・・・お前ら本当はリスペクトする気無いだろ!!つうかリスペクトされてないもん。それじゃあ。
まずはだね、あの「ヨー」とか「イェー」とか「ハー」とか・・・ハーは言ってないか。ともかくもそんなやる気の無い感じで、戦争がどうとか言ってはいかんよ。本当に戦争を経験してる人に失礼だよ。例えば自分が戦争体験をしてて、本当に死ぬような目に遭った時に、ヨーとかイェーとか言いながらその体験を語られたら憤死するほどムカつくと思うんだけどね。
とりあえず、近年稀に見るクソ映画って事でした。・・・・・・だからさあ、江口はキャシャーンに出れば良かったんだよ。

見ろ度-----★
江口のパーマ毛-----★★
ラストシーンの桜-----★★★★★(唯一の清涼剤)




県庁の星

出会うはずのなかった二人が出会った時、その奇跡が始まった……

本当言うと、柴咲コウも織田祐二もあんまり好きじゃなかっんだ。織田祐二は顔はまあ好きなんだけど、ろくな噂を聞かないし。(まあ私は直接関係無いからね、いいっちゃあいいんだけど、やっぱスクリーンを見る度に「あー、この人本当は性格悪いんだぁ」とか思っちゃうとね)柴咲コウには興味すら無かったよ。んが、この映画で二人共ちょっと好きになったかな。
ストーリー的には一個も解り難いところは無く、ひたすらお約束をなぞる感じ。
経営不振のスーパーに、県庁から民間ノウハウを学びにエリートさんがやってくる。→(´-`).。oO(使えね〜。しかも細かい事ゴチャゴチャウルサイ!!)→当然スーパーの従業員とは衝突。県庁さんは自分のやり方が正しい事を証明するため、弁当売り上げ対決をする事に。→敗北→県庁さん覚醒→スーパーに更なる危機が。弁当対決とかしてる場合じゃねえよ!!
概ねこんな感じですかね。頭ガチガチで融通の利かないお役人が、これじゃあ駄目だと何かに目覚める様子は見ていて小気味よろしい。つうか、若干スッとする。っが、そんな事よりこの映画で気になるのは、県庁の役人とやらはあんなリッチな生活をしてるのか!?って事ですよ。
県庁の建物はそりゃあ綺麗だし、職員休憩室にはピカピカのコーヒーマシーン(インスタントじゃない奴。エスプレッソとかも出てくんの。←リッチの象徴)が置いてある。それをこれまた、こじゃれたスーツに身を包んだ織田祐二と佐々木蔵之助が優雅にコーヒーを飲む。そこは県庁の上の方のフロアなもんだから、下々の様子がよく見渡せる。……どうなの!?県庁ってマジでこんな感じなの!?特にそこの織田祐二はこないだまで現場に一番近い人じゃなかったの!?
まあ正直、県庁に用事がある事なんか滅多にないからよく知りませんが、本当にそんなだったら腹立たしいなと思うわけですよ。我々はお前らが優雅にエスプレッソを飲む為に税金払ってるわけちゃうぞと。映画だからね、ある程度は誇張もしてるんだろうけど、それにしても民と官の差が激しいなと思いました。しかも、劇中で織田祐二はそれに気付く。(まあホントに織田が気付くわけではないが) 民と官の間に、こんなに隔たりがあってはいかんのではないだろうかと思う。ストーリーとして面白いだけでなく、現代の官僚体制への問題提起にもなっているのはなかなかよろしいんじゃないでしょうか。現在お役人をやってる奴らは、是非この映画を見るといいと思うよ。
そうそう、柴咲コウについて言及するのを全く忘れておりましたが、うん、まあいいんじゃない?彼女もとりあえず前より興味が持てるようになってきた。歩き方はすごいガニ股だったけど。

見ろ度-----★★★★
織田祐二(眼鏡着用Ver.)-----★★★★★★
事件は会議室で起きてるんじゃない!!-----そりゃあスーパーだからね。




スウィートホーム

すごい小さい頃に見て、大変ビビッた覚えのある映画の代表格。ところが今見ても全然面白いです。まあね、私が言える事はただ一つ。障らぬ神に祟り無し。……古びた洋館?間宮婦人の呪い?そんなとこ行くからいけないんでしょうが!!君子危うきに近寄らずという言葉を知らんのかね。
と、まあ冗談はこの辺にして、総指揮は伊丹十三。監督は黒沢清。こりゃあ豪華メンバーだ。しかも役者も山城新伍に宮本信子にNOKKO(レベッカ)、古舘伊知郎とか益岡徹まで出ておりますよ。
最近のホラー映画は滅多に「怖ッ!!」というのにお目にかかれませんが(最近ではテキサス・チェーンソーくらいかな)、このスウィートホームは1989年の作品にして今でも十分に楽しめます。ストーリーも、呪いという要素はあるものの、根底は洋館探検。これだけ。実にシンプルです。で、そこで仲間がウボァな方法で次々に殺されていく。その死体の様子もまたウヘェな感じで、まあ概ねドローッとかグチャーッとかいう按配に損傷してます。(目玉が溶けて白い水が出てたりしてたな) 邦画のホラーってのはスプラッタではなく、精神的に怖がらせるのが定石っぽい感じですが、これはまさに外人のノリ。そしてホラー映画には欠かせない謎の老人の登場。しかも彼がすごいよ。最初っから最後まで正体が明かされない上に(だからもしかしたら本気でただの通りすがりかもしんない。それで自己犠牲で死んじゃうんだからある意味男前だが)、ライトの光で悪霊と戦おうとする山城新伍に彼は言います。
「そんな事をしても無駄だ!!大事なのは心の力。用は瞬間の集中力だ」
……結局は気合の問題かよ!?(;´Д`) オラに元気を分けてくれッ!!
そしてラスボス間宮夫人の登場。もうね、なんかマリリン・マンソンにしか見えないの。
まあとりあえず、全般的に舌足らずな喋り方のノッコがウザかったです。しかし何度も言う通り、今見ても本当に楽しめる映画だと思うので(色んな意味で)、ホラーが苦手じゃない人は是非見てみてほしいと思います。そして若かりし日の古舘伊知郎と、今でも外見がほぼ変わらない益岡徹に驚愕してくれたまえ。

見ろ度-----★★★★
グロ度-----★★★★★
お色気度-----ノッコのパンチラとかでよろしければ




田園に死す

懐かしくもまた忌まわしい少年時代の記憶

有名な歌人、寺山修司の同名歌集を元にした自伝的作品。シュールで土着的で意味不明で、傑作だと感じるか駄作だと感じるかは両極端に分かれる映画だと思います。普通の人は、可もなく不可もなくという感想は多分持たないんじゃないでしょうか。全体的にアングラの雰囲気が漂っていて、丸尾末広なんかを彷彿とさせます。
っにしても・・・・・・・う〜ん、私にはちょっと難しい映画でしたね。雰囲気とか映像のインパクトとかは凄く好きなんですが、テーマとかストーリーとかが解り辛かったです。寺山修司自身の少年時代を回顧していて、そういうのは得てして自分だけのイメージというものがあるから他人には伝わりにくいものだと思うけども。でも、何度も言うようですが映像や雰囲気は最高。今まで数多くの映画を見てきましたが、洋画邦画合わせてこんなに独特の世界観を持っている作品には出逢った事がありません。
恐山に近い場所に母親と二人で住んでいる主人公の少年は、何故か顔面だけが真っ白に塗られています。その唇の白と、口の中の赤が妙に印象的。西洋風の隣家には美しい人妻が住んでいて、少年に駆け落ちしようと持ちかけます。村はずれの馬小屋では、若い女がててなし子を産もうとしている。村にサーカスがやってくる。空気女と怪力男と一寸法師が三角関係になっている。
少年と母親のタブーを含んだ間柄。そんな母親から離れたい少年。そんな心は、柱時計から腕時計へと求めるものを変えるところにも顕れているのかもしれません。「腕時計なんて、駄目よ。時を外に持ち出すなんて、そんな事」そんな母親の言葉は逆に関係を保とうとしているようで、なかなか興味深かったです。
映像もさる事ながら、音楽もとても印象的。子供の歌声が絶叫に聞こえなくもない。・・・う〜ん、こうしてみると不可解は不可解なりに、私はもしかしたらこの映画がとても好きになっているのかもしれません。不思議な魅力を持ったこの作品、是非もう一度見てみたいと思います。

見ろ度-----★★★★★
アングラ度-----★★★★★★
八千草薫は綺麗だなあ-----★★★★★★




となりのトトロ

このへんないきものは まだ日本にいるのです。たぶん。

・・・・この世には不思議なものなど何も無いと言っているだろう!!関口君!!

と、冗談はさておき。うちの弟はあの、「メェ〜〜〜〜イちゃぁ〜〜〜〜ん」てモノマネが上手いよ。そうね、仮に「全国メイちゃんを呼ぶお婆ちゃんの物真似選手権」があるとすれば、かなり上位に食い込んでくるくらい上手いね。
さて、最早誰もが一度は見た事があるだろうこの映画。敢えてレビューを書いてみる。聞くところによると、トトロというのは森の妖精らしいですが、妖精伝説というのはどこの国にも地方にもあるわけです。イギリスのピクシー然り、日本の座敷わらしというのも多分スタンスとしては同じで、つまりは自然に対しての畏敬やら何やらに形を与えたのが妖精という存在なんだろう。しかし、そういう自然を感じられる場所も減少し、畏敬の念も薄れつつある今、彼ら妖精の居場所は無くなりつつあるのかもしれんな。
本編の中でメイが迷子になった時、姉のサツキは猫バスに乗って妹を探しに行きます。物凄いスピードで走って電線に飛び上がり、人と人との間を縫って。しかし、その様子は大人には見えないし、傍から見れば一陣の突風としか感じられない。この一連の描写はなかなか素晴らしいと思いました。別段、風を擬人化しているわけでもない。けれど、何気ない突風もちゃんと意味や理由があって、その結果起こるべくして起こる。何でもない自然現象も実は我々が気付いていないだけで、ああいうモノが起こしているんではないかと考えると幻想的……いや、難しい言葉を使うよりも、「何だか楽しい」。これに尽きるんじゃないでしょうか。
そう言えば、かまいたちという自然現象がありますね。いきなり何の前触れも無く、肌がスパッと切れるやつ。あれも、今では空気の流れの差異によって生じるものだと分かっているんだけど、昔の人はその正体不明の現象に、手に鎌を持った獣の姿を当てはめた。--------トトロの中の自然、そして妖精のスタンスは、これに近いんじゃないかと思いました。
蛇足ですが、メイがいなくなって村中が大騒ぎになっている時、お父さんは何も知らずにお母さんと「アハハ、ウフフ」みたいな感じで和んでるわけよ。・・・・そりゃあねえだろ糸井!!設定ではお父さんは考古学の研究者らしいが、ありゃ絶対埋蔵金掘ってるね。間違いない。
・・・・更に蛇足。この主人公の姉妹は姉をサツキ、妹をメイと言いますが、どっちも「五月」という意味なんだよね。
お洒落じゃねーか。糸井。

見ろ度-----もうみんな見てるだろう
ノスタルジィ-----★★★★★★
お父さんの声は-----糸井重里




八甲田山

天は、我々を見放した


実際にあった事件を元に映画化した有名な作品です。主演は高倉健さん。いやあ、渋いなあ。
日露戦争前夜、徳島大尉(健さん)率いる弘前第三十一連隊と神田大尉(北大路欣也)率いる青森第五連隊は、八甲田山を雪中行軍することになります。雪中行軍と言ってもナメてはいけませんよ。明治35年の真冬の八甲田は、「白い地獄」と恐れられていたそうです。ある資料によると、その時の行軍が感じたであろう体感温度はマイナス50度にもなったそうな。バナナで釘を打つ間も無く死ぬわな。
で、案内人を付け、万全な準備で行軍に挑む第31連隊と、それとは対照的にアホな上司(三國連太郎)に逆らえず、無茶な強行行軍で遭難しちゃう第5連隊。二つの連隊の差が対照的に描かれているんですが、何つうかもう、第5連隊の方は可哀想で見てられませんわ。
結論から言うと第5連隊は全滅しちゃうんだけども、それがもう壮絶すぎ。吹雪の中で方向も分からなくなって、進む事も戻る事も出来ずパニック状態。発狂して、雪の中裸になって一瞬で死んじゃう奴もいるし、寝るなっつったって寒さと、右往左往させられた体力の消耗で部下はバタバタ倒れていく。休憩の間に汗が服に沁み込んで、雪濠を出た瞬間にそれが凍って凍死するとか、小用を足したいんだけど手の感覚が無くなって結局垂れ流してしまう。それも一瞬で凍って凍死とか、とにかく凄まじい「白い地獄」の模様です。一番可哀想だったのは吹き晒しの吹雪の中、第5連隊が一塊に肩を寄せ合って座り、夜明けを待っているシーンでした。何かの動物みたいに固まって身を寄せ合ってるんだけど、上官のお偉いさんはやっぱり真ん中の風が当たらない場所にいて、円の一番外側にいる下っ端の奴からゆっくり倒れていくんだよね。もう背中とか頭とか雪が一杯積もってて。朝になって上官達が見たのは、雪に埋もれて死んでる部下達。もう直視出来ませんよ。
しかしこれを見ると、部下を生かすも殺すも本当に上司次第というのがよく分かります。これは何も軍隊だけに限った事ではなく、現代の社会も同じ事が言えるんじゃないでしょうか。現代では部下の生死を決めるという事は特殊な場合を除いて無いとは思うけど、それでも人生を左右するというのは大いに有り得る事よね。
上司の英断という点では、これも二つの隊は対照的に描かれています。第31連隊に兄、第5連隊に弟が配属されているという兄弟が登場するんですが、兄は行軍の途中で凍死している弟を発見します。兄は健さんに、弟の遺体を背負って行軍を続ける許可を欲しいと申し出るんですね。しかし健さんは「お前が弟の遺体を背負って行軍を続けると、お前も倒れ、倒れたお前を庇って隊全体が駄目になる可能性がある」と兄の申し出を却下するのです。それでも兄の気持ちを汲み、第31連隊全員で最敬礼をする健さん・・・・・違った。徳島大尉。死んだのが兄弟のうちの一人だというのも、全くこの事件に関しては生死を分けたのは運でしかないなあという印象を深く受けました。兄は運良く遭難せずに済んだのではなく、運良く徳島大尉の隊に入ったんだなあと。本当に責任という事を考えると、人の上に立つというのは生半可な覚悟では出来ませんね。
しかし運命っつうのは皮肉というか何と言うか、この映画では行軍は踏破した弘前第三十一連隊も、結局その2年後の日露戦争で全滅してしまいます。神も仏もありゃしないとはまさにこの事ですな。それに比べ、青森第五連隊の僅かな生存者は凍傷で手足を失った為日露戦争には参加せずに、幸いその後も命を繋げる事が出来るのです(緒形拳)。こうして見ると何が良い事で悪い事なのか、本当に分からなくなってきますねえ。
蛇足だけれども、前何かの番組で、雪中行軍慰霊碑の横で行進をしているらしい霊がカメラに写ったというのを見ました。この映画を見ると、あれは本当なんじゃないかと思います。あれだけ壮絶な事があったのなら今でも無念が残っているというのも頷けるし、いや、普通に考えたら素直に成仏なんか出来んだろうなあと思うんですよ。つうか、逆に今でもあの辺りを彷徨ってるんだとしたらそれはそれで可哀想だな。
実際の行軍で犠牲者となった方々のご冥福を、切に祈りたいと思います。

見ろ度-----★★★★★★
でも見てらんない度-----★★★★★★
体感温度-----マイナス50




竜馬の妻とその夫と愛人

亡き竜馬を巡る男女四人のスクランブルコメディ!!


ヤバイ!!何か私ってば、江口のあんちゃんが実は凄い好きなのかもしれん!!と、この映画を見てそう思いました。
三谷幸喜脚本、市川準監督の時代劇コメディーです。三谷幸喜はこういった、人間模様を面白おかしく描いた作品が得意ですよね。凄く面白かったです。
まず、タイトルを見ても解るように、人間関係が複雑。
ストーリーの中心となる人物は、勿論坂本竜馬。ただしほとんど出てきません。つうかね、何がびっくりって竜馬をトータス松本がやってることだガッツだぜ!!しかしあの人はヅラが似合いますな。
で、その竜馬が愛した女、おりょう(鈴木京香)。
竜馬が愛した女を愛した男、松兵衛(木梨憲武)。←何気に演技が上手いと思う。
竜馬が愛した女が愛した男、虎蔵(江口洋介)。←我らがあんちゃん。
そして竜馬を愛した男、覚兵衛(中井貴一)。
面白いのは、4人ともが色々な思惑を持ちながらも、根底の部分では竜馬が大好きだという事ですね。と言うより、きっと三谷幸喜が竜馬スキーなんだろう。何だか作品全体から、そんな匂いがします。かく言う私もまた同じで、そうやって考えてみると、今だに小説や演劇など、シリアスコメディ問わず扱われている竜馬は凄い人なんだと思うのですよ。まさに日本人の心のヒーローだな。だって、あんまり周りにいないでしょ?俺は竜馬が大嫌いだ!!とかいう奴。
さて、そんな竜馬が大好きな4人が、竜馬の死後、彼とは関係ないところで騒動を繰り広げます。でも、根底にあるのは「竜馬大好き」。ただそれだけ。シンプルであるが故にこの映画は面白いのでしょう。特に、竜馬を本当に愛していて、だからこそ彼が死んだ後も彼の影しか追えないおりょうは私にとって物凄く共感出来る登場人物でした。
「だって、アンタは竜馬じゃないんだもの」
そう寂しそうに笑うおりょうに、それでもお前が好きなんだと言う松兵衛。
「だって!!アイツもう死んじゃってるから!!でも、俺は生きてるから!!」
コメディなのに落涙させる三谷はやっぱスゲー。
個人的に一番好きな場面は、松兵衛と虎蔵の決闘シーン。木梨があんちゃんにマジ飛び蹴りを食らわせてるのが面白かったです。

見ろ度-----★★★★
木梨の演技-----★★★★★
竜馬スキー度-----日本の人口に同じ





それにしても映画の料金って高くない?

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