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GANTZ -ガンツ- それぢは、ちいてんをはじぬる。 死んだ。-------俺は死んだんだ。そう思い一度は閉じた目を再び開けると、とあるマンションの一室に立っていた。 周りには訝しげな顔をした見知らぬ人。部屋の中央には黒い球体。窓は開かない。そのうち黒い球がラジオ体操の歌を歌い始める。新しい朝が来た。希望の朝だ。 ここはどこだ？俺は死んだ筈じゃなかったのか？すると、球の表面に文字が映る。「てめえらの命は無くなりました。新しい命をどう使おうと私の勝手です。という理屈なわけだす」 突然球の側面が開く。中には酸素マスクのようなものをつけた男。-------球男？出てきた物は武器と黒いスーツ。さらに黒い球は、宇宙人を殺しに行けと命令する。 「行って下ちい」 説明は無い。選択の余地も無い。集められた人々の当惑をよそに、黒い球は強制的に外への転送を開始する。 逃げれば待っているのは死。負けても死。-------いや、もう死んでるのか？制限時間内に宇宙人を倒す事だけが生き残れる条件。理由無し、説明無し、疑問の予知無しのサバイバルゲーム。 ……というのがガンツのベースとなるストーリーなんだが、大まかにどんな漫画か分かって頂けただろうか。あ、漫画なんだよ。元はヤンジャンの。 そもそもは深夜枠で放送していたアニメなんですが、グロいはエロいはで地上波では大幅にカットされておりました。が、ＤＶＤでは完全ノーカット版。血と臓物とおっぱいが満載です。 何の説明も無しにある場所に集められた人々が、命がけでそこから脱出する方法を模索する-------色んな人が書いたＧＡＮＴＺのレビューを読んだりすると、こういった大筋は映画「ＣＵＢＥ」に似ているという記述を多くみかけます。確かにシチュエーション的には似ておるかもしれんが、私はそういう連想はしませんでした。ＣＵＢＥが全く状況が見えず、ただ闇雲に脱出のみを目的としているのに対し（別にＣＵＢＥを否定しているわけじゃないよ。寧ろあの映画凄い好きだし）、ＧＡＮＴＺでは命令をする者ははっきりしています。ただ、その正体が分からず、背後にある物の姿も見えず、しかし命令には逆らえないというだけで。そして、ミッションと呼ばれる「宇宙人狩り」。 漫画版のタイトルとしても使われてたんだけど、ナチスドイツが行ったと言われるアイヒマンテスト。その実験テーマのようなものが、アニメ版では根底に流れているのかなという印象を受けました。まあ実験の内容はテキトーに検索してもらうとして、要は抗えない権力に命令された時、人間はどこまで残酷になれるのかという事です。 主人公の玄野計。その幼馴染の加藤勝。やがて加藤がリーダーシップをとるようになっていくんですが、加藤は自分の生死がかかっているような状況でもなかなか銃の引き金を引く事が出来ない。ところが、その一方で無抵抗の宇宙人を物凄く残酷な方法で甚振りながら殺す人間もいる。 ……ネギあげますからってね、言ってたね。ネギ星人。 で、さらにこのゲームに１年ほど前から参加している西君という中坊がいるんですが、彼はまた加藤とは正反対。加藤の口癖が「全員で帰ろう！！」なのに対し、西君は生き残る上で重要と思われる事も喋りません。「他のヤツらがやられてる間、自分が生き残る確率が増えるだろ」と暴言を吐き、周りの人間全てを敵にします。 どっかのサイトに書いてあったんだが、西君は生き残る上での知識、加藤はコミュニケーション能力を持ってるのね。でも二人にはそれしかない。西君は助け合うという事を絶対にしようとしないし、逆に加藤は皆で頑張れば何とかなると思っている。実はこの生き残る為に必要な要素というのは、現代社会で生きていく為にも当て嵌まるもので、要は兼ね備えた奴が結局は勝つのだよという事にも繋がっているのかもしれません。「頭ばっかりでも体ばっかりでもダメよね」とはよく言ったもんだ。 ……ま、私はＧＡＮＴＺの中では両極端な加藤と西君が一番好きなんだけどね。 で、さらにこの漫画の凄いとこは、物凄い重要であろうというキャラクターがあっさりポックリ死んでしまう事です。ネタばらしすると、西君然り（まあ西君は予想範囲内だが）、岸本然り、加藤然り。特に加藤が死んだ時は驚いたよ。サマルトリアの王子が死んで生き返れないのと同じだよ。ローレシアの王子である玄野はどうしたらいいんだ。しかし、まあ思うにそういうシビアさがまた人気の秘密なのかもしれませんな。実際死んでしまった人間は生き返らないんだし、主人公格だからって死なない筈が無いのです。 実は、アニメ版ＧＡＮＴＺのエンディングではそういった別れが暗示されています。夜の街をスーツを着て歩く玄野、加藤、岸本。始めは３人で歩いていた筈なのに、ふいに岸本が消えてしまう。それに気付いて振り返った加藤も同じように姿を消す。玄野が気付いて振り返ると、そこには誰もいない。一人になってしまった玄野は立ち止まり、俯く。 ……ウーム。玄野がちょっと可哀想になってきたな。 現在ＧＡＮＴＺはビデオにもなってますし、レンタルもされております。血とかエロとかがあんまり気にならない人は是非、見てみてはいかがでしょうか。加藤の男気に惚れるも良し、西君の生意気っぷりを愛でるも良し、ネギ星人に涙するも良し。 結局、人間が一番残酷で一番卑怯で一番汚いというのはあながち間違いではないかもしれん。 見ろ度-----★★★★★ 私がガンツ部屋の住人だったら間違いなく生き残れない自信がある-----★★★★★★ 「祐三君？」-----★★★ |