寿美幸の「どこでも不幸全開!?」



このひびきの地に戻って、そして寿さんとの運命的な出会いから2年、俺もついに三年生になる。 現在のところ俺と寿さんとの仲はすこぶる順調、ゴールデンウィーク中はゲームセンター、遊園地、 カラオケBOX、美術館と4日連続で寿さんとデートを重ね、二人の関係はまた一段と近づいたような 気がする。

だが、俺には越えねばならない最大の壁がいまだ残されていた。 俺は、あることを寿さんに隠していたのだ。いや、このことは光も、華澄おねえさんも、あまつさえ 俺の家族さえも知らない重大な秘密だった。

正直いって、俺は怖かった。もしこのことが寿さんに知れたら、俺は寿さんに嫌われるかもしれない。 できれば、永久に隠しておいたほうが良かったのかもしれない。

しかしながら、いつまでも隠しとおせるものではないということは分かっていた。いつかは、この 秘密を寿さんに明かさなければならない、前からそう考えていた。

そしてついに、今日6月のある日曜日、寿さんに俺のすべてを明らかにすることにした。

〜先週の日曜日〜

トゥルルルルル、トゥルルルルルル・・・
ガチャッ
俺:「すみません、寿さんのお宅でしょうか?」
寿:「あ〜・・・電話、くれたんだ。それで、今日はなにかな〜」
俺:「あのさ・・・」
寿:「うん?」
俺:「来週の・・・日曜日、動物園・・・に・・・行かないか?」
寿:「その日は〜、予定ないから〜、いいよ〜」
俺:「それじゃ、ひびきの駅で午前8時に待ち合わせということで」
寿:「りょうか〜・・・えっ、バス停じゃないの〜?」
俺:「ああ、ちょっと遠くの動物園に行きたいんだ」
寿:「分かった〜」
俺:「無理言ってすまない」
寿:「りょうか〜い。何があっても必ず行くからね〜」

ガチャッ

俺:(ごめん、寿さん・・・)


そして当日午前7時55分、ひびきの駅
「三番線から〜、のぼり普通電車が発車いたしま〜す・・・」
俺:「はあっ、はあっ、」
(あっ、寿さんもういるぞ!)
俺が息を切らせながら改札を出ると、まぶしい笑顔の寿さんが立っていた。
寿:「あ〜っ、来た〜。お〜い、お〜い!」
俺:「ごめん寿さん、少し遅れちゃったかな?」
寿:「ううん、私が早く着いただけ〜」
俺:「待たせてごめん、さあ、行こうか」
寿:「うん、いこ〜いこ〜」
こうして俺と寿さんは、さっそく電車に乗りこんだ。

〜そうして1時間あまり〜

俺:「さあ、着いたぞ」
寿:「おお〜っ!おっきな動物園ですね〜」
俺:「そうだろ」
寿:「は〜い、美幸ひとつしつも〜ん」
俺:「はい美幸さん、どうしました?」
寿:「この動物園は〜、どうしてお馬さんしかいないんですか〜?」
(・・・)
俺:「・・・寿さん・・・」
寿:「ほえ?」
俺:「・・・寿さんは、お馬さんは嫌いかな?」
寿:「ううん。でも〜、きりんさんも見たいな〜」
俺:「・・・」
寿:「どうしたの?」
俺:「寿さん・・・すまない」
寿:「どうしたの〜?」
俺:「・・・実は・・・俺・・・」
寿:「?」
俺:「・・・競馬が、好きなんだ」
寿:「おおっ!?競馬好きだったんですか〜!おめでと〜」
俺:「・・・お、おめでとう、って・・・」
寿:「いやぁ〜、競馬好きだったなんて〜、美幸はじめて知りました〜」
俺:「寿さん、怒らないの?」
寿:「べつに〜、そんなこと気にしてないよ〜」
俺:「あ、ありがとう、寿さん」
(寿さんはやさしいなぁ)
寿:「ああっ?」
俺:「えっ?」
寿:「あ〜、ひょっとして〜」
俺:「はい?」
寿:「だからあの時〜「なんてゲームだ!オグリハットが走ってる」なんて言ってたんだ〜」
(どうしよう・・・ゲーセンでのこと、覚えてたんだ・・・)
俺:「・・・」
寿:「・・・」
(ここは素直に謝るよりしかたあるまい)
俺:「・・・あのときは、変なこと言っちゃってごめんね」
寿:「いいよ・・・もう、あやまらなくても〜」
俺:「ありがとう、寿さん!」
寿:「そのかわり〜、こんどはちゃんと動物園につれてってね〜」
俺:「はい・・・わかりました。それではせっかく来たんだし、パドックに馬を見に行こう」
寿:「おおっ、いいですね〜」
かくして、俺と寿さんは、パドック(下見所)へと向かった。

寿:「おお〜っ、お馬さんがいっぱいいますね〜」
俺:「そうでしょ、寿さん」
寿:「う〜ん、あっ、あのお馬さん、美幸を見てる〜」
俺:「ホントだ、寿さんが美人だから見とれてるんじゃないかな?」
寿:「えっ・・・そんな〜、はずかしい・・・」
(バッチリ、いい印象を与えたみたいだぞ)
俺:「さてと・・・」
そういうとおもむろに俺はスポーツ新聞の競馬欄を広げた。
競馬新聞の一部400円は高校生には高すぎるし、スポーツ新聞の競馬欄もなかなか充実しているの で、これで十分だ。
寿:「何を見てるんですか〜」
俺:「ああ、レースの出走馬を・・・おっ、さっき寿さんを見つめてた馬、あれ「タラモコトブキ」 っていう名前だよ」
寿:「ほんと〜?あの馬も「ことぶき」っていうんだ〜。美幸とおんなじ〜」
俺:「ああ、ちょっとここで待っててくれ。馬券を買ってくるから」
寿:「りょうか〜い」

〜そして数分後〜

俺:「ほら、買ってきたよ。300円だけ」
寿:「おおっ、「タラモコトブキ」って書いてありますね〜!」
俺:「ああ、あたるといいな」
寿:「この〜、複勝式、っていうのはなあに?」
俺:「ああ、複勝式っていうのはね・・・」
(複勝式とは、購入した馬券の馬が7頭立て以下のときは二着以内、8頭立て以上のときは三着以内 に入線すると的中となる馬券のことだ。倍率は低いが、その分あたりやすい)
俺:「・・・と、いうわけなんだ。」
寿:「へぇ〜、そうなんですか〜。ものしり〜」
(まあ、こんなものかな)
俺:「さあ、それではレースを見に行こう」
寿:「りょうか〜い」

〜そして、レースがはじまった〜

寿:「がんばれ〜」

・・・・・・

俺:「ぐわっ、大差のしんがり負け!!」
寿:「ああ〜っ、だめだめだよ〜」
俺:「寿さん、こんなことでくじけちゃいけない。勝負はこれからだ」
寿:「そう・・・」
(ホントは単勝245倍のはじめから無理な馬だったのだが・・・)
俺:「ほら、つぎの3レース、「ダイキチヒロイン」って名前の馬がいるよ」
寿:「ホントだ〜。じゃあ〜、今度はこの馬を応援しますか〜」

〜そして、第3レースがはじまった〜

寿:「頑張れ〜、ダイキチヒロイン〜」

・・・・・・

俺:「ああっ、ものの見事にブービー負け!」
寿:「はにゃ〜っ」
俺:「こんなことでくじけるものか!これから、これからが勝負だ!!」

・・・・・・

俺:「なんとっ、またもやブービー!」

・・・・・・

俺:「はうっ、下から3番目!!」

・・・・・・

俺:「ははは・・・またもやしんがり負けだよ・・・」

・・・・・・

当らない・・・
7レースまで経過して、的中ゼロ。
それどころか俺が買った軸馬はことごとく惨敗、
そして8レースに俺が買った軸馬は

俺:「あああっ、落馬しやがった・・・」

散々だった。


そして9レース・・・

俺:「み、み、み・・・」
寿:「どうしたの〜?」
(み、ミユキブライドだとぉ!)
一流大学合格内定、ひびきのに英語の試験があれば1番間違いナシの成績優秀な俺がこの言葉に 反応しないはずがなかろぉ!!
俺:「ブライドとは花嫁という意味!すなわち・・・」
寿:「はにゃ〜」
(寿さんの・・・花嫁衣装・・・)
悪いとは思いつつも、思わず俺は寿さんのウェディングドレス姿を想像してしまった!
(か、かわいい・・・)
俺:「あ・・・鼻血が・・・」
寿:「ああ〜っ、たいへん〜!鼻血が出てるよ〜」
あわてて鼻をぬぐおうとする俺に、寿さんはかわいいポーチからティッシュを取り出し、鼻を ぬぐってくれた。
寿:「大丈夫〜?」
俺:「あ・・・寿さん・・・」
(ジーンときちゃうな)
寿:「は〜い、もういいよ〜」
俺:「あ、ありがとう・・・俺、ちょっと行ってくるよ」
寿:「りょうか〜い」

かくして、寿さんの愛を噛みしめつつ、俺は馬券を買いに行った。
もちろん、買ったのはあの馬!頼むぞ!

〜そして9レース〜
「うわぁぁぁぁぁ!!」
俺:「う、うそ・・・」
勝負は一瞬にして終わった。
ミユキブライド、ゲート内で落馬。
その瞬間、俺の中で何かが砕け散った・・・。


寿:「あの〜・・・競馬って、こんなに馬から人が落ちるものなの〜?」
俺:「いや・・・今日は特別多い」
今日寿さんとここに来てから、すでに落馬7頭。明らかに多すぎる。
寿:「やっぱり・・・美幸のせいかな〜」
俺:「冗談!これは偶然だよ!寿さんのせいなんかじゃないよ」
寿:「ホント?」
俺:「ああ、その証拠につぎのレースは絶対に当ててみせる!」
事実、つぎのレースは今日俺の1番自信のあるレースだった

〜そして10レースのパドック〜

俺:「さて、この第10レースの人気は結構割れている。1番人気は一応4戦2勝のタマニン エーディンだが、キャリアが浅く、もまれたレースをしたことが無いので危険な人気馬と見ている」
寿:「へ〜」
俺:「そこで、俺はこの馬、2番人気の五歳牝馬サプリメントデューから入りたい。この馬は四歳 時には重賞で三着に入ったこともある素質馬で、今年春に復帰して逃げを打つようになってからは 2、2、1着と好調だ。形の上では昇級戦だが、力はここでも上位だ」
寿:「重賞ってな〜に?」
俺:「重賞というのは・・・」
(競馬には競走馬が勝利を収めた時に加算される本賞金というものがあり、この額によって出走で きるクラスが決められている。クラスには新馬、未勝利の他500万以下、900万以下、160 0万以下の条件があり、自分の獲得した本賞金以下のクラスのレースには出走できない。そして 本賞金1601万以上になると、晴れてオープン馬となる。重賞とは、そのオープン級のレースの 中でも特に格が高く、賞金も多いレースである)
俺:「・・・と、いうわけだ」
寿:「う〜ん、一応分かったような気がするけど〜、もっと美幸に分かりやすく説明して欲しかっ たな〜」
(あまり良い印象を持たれなかったな)
俺:「ま、まあ、俺の軸は1400mならサプリメントデューの逃げ切りだと思うけど、あとどの 馬に流すかということが問題だな」
寿:「そうですか〜問題ですね〜」
俺:「おそらく、デューが逃げてエーディンが続き、ミスターデマジオ、ゲラルドトマホーク、ワ イルドランドルフが追いかける・・・なんかいやな展開だな・・・」
寿:「どうかしましたか〜」
俺:「い、いや、なんかいやな想像を・・・」
寿:「は?」
俺:「い、いや・・・それより」
寿:「ああ〜っ、あの馬かわいい!」
俺:「えっ、どの馬?」
寿:「あれあれ〜!」
寿さんが指差した先には、1頭の小さな栗毛馬が歩いていた。
俺:「ええっ〜と、6番ハッピィチョイスか・・・いいんじゃないかな?」
寿:「じゃあ〜美幸、あの馬を応援する〜」
俺:「よし、じゃあ俺もあの馬から買おう」
寿:「おっけ〜!」
(単勝三番人気、たしかに展開も向きそうだし、いいんじゃないかな・・・)

〜そして10レースが始まった〜

アナ:「第10レース、スタートしました」
寿:「がんばれ〜、ハッピィチョイス!」
アナ:「各馬きれいなスタート・・・おっと、ハッピィチョイスちょっと出遅れた」
寿:「あ〜っ」
俺:「大丈夫、あの馬は追い込み馬だし、多少出遅れするのはいつものこと」
アナ:「さあ先手争い、内からはタマニンエーディンが出てきましたが、ダッシュ良くサプリメント デューがハナを奪いました」
寿:「おおっ、やりますね〜」
俺:「よしよし」

アナ:「先頭はサプリメントデュー1馬身のリード、二番手3番タマニンエーディン、その外に メングペガサス・・・6番手前後にミスターデマジオ、ゲラルドトマホーク、ユリアズソング、あと ワイルドランドルフ・・・」
寿:「ハッピィチョイスはどこかな?」
アナ:「以下セイショウアイーダ、・・・現在最後方9番ハッピィチョイスの態勢」
寿:「あ〜っ、今やっと名前いった〜」

・・・・・・

アナ:「先頭はサプリメントデュー、タマニンエーディンいぜん二番手、ここらへんでワイルド ランドルフあたりが上がっていくか・・・」

俺:「いける!今の東京ならもつ!」

アナ:「さあ4コーナーのカーブを回って最後の直線勝負!先頭はサプリメントデュー、タマニン エーディン2番手。後方からはミスターデマジオ、ゲラルドトマホーク上がってきた!」
俺:「いけぇ〜っデュー!エーディンいらん、デマジオやゲラルドも来るな!!」
アナ:「さあ残り100m!先頭はサプリメントデュー、タマニンエーディン・・・大外から ハッピィチョイス!!」
寿:「来たぁ〜っ!」
アナ:「しかし先頭はサプリメントデュー、まんまと逃げ切って一着ゴールイン!二着が接戦だ!」
寿:「あ〜っ、きわどいですね〜」
俺:「これは写真判定だな」
寿:「う〜ん・・・」

だが・・・

俺:「負けた・・・」
不幸としか言いようがなかった。
態勢は完全に変わっていた。身体ではハッピィチョイスが完全に前に出ていたのだが・・・
タマニンエーディンが首をいっぱいに伸ばし、ハッピィチョイスが首を縮めたそこがゴールだった。
その差、写真のスリット1つ分、実に200分の1秒差。
だが、負けは負けだ・・・

寿:「おしかったですね〜」
俺:「ああ・・・非常に悔しい・・・」
俺は、ショックから立ち直れそうになかった。
寿:「・・・でも、次がありますよ〜」
俺:「次・・・」
そうだ、次がある。
俺:「そのとおりだよ寿さん!メインレースこそ男の生きざま!」
寿:「そうだよ〜!」
気を取りなおした俺は、おもむろに新聞を開いた。
俺:「・・・」
俺はしばしあぜんとした。


東京11レース  水無月ステークス  ダート1600m 古馬1600万以下

馬番予想馬名騎手脚質
…×………スノーホワイト立花追い込み
…△………ビーチエンプレス輝屋先行
……○×…ガクエンボルケーノ岡田差し
△×△××ユニバーサルグレイ宇野差し
×…………ドラゴンガール隅澤先行
◎○◎△○ヒカリサンシャイン日下部逃げ
…………△タクミサイレンス牧幡差し
……………ウインタースミレ紫田差し
…………×サクラカエデオー板井差し
10……×……アカネビガラス空山先行
11▲▲×◎▲グリーンプリンセス鳥居差し
12……………ユッキーサポーター金城先行
13×……▲…アクティブウーマン水長先行
14……………メイストーム三原差し
15○◎…○◎カオリブロッサム田群追い込み
16……▲……ゴーゴーミユキ竹中由追い込み


俺:「・・・な、なんだ・・・このレースは・・・」
寿:「はにゃ〜、なんだかすごいレースですねぇ〜」
俺:「・・・さて・・・とばかりも言ってられない。さっそくレースを予想しよう」
(・・・1番人気は現在のところ8戦3勝のヒカリサンシャインだ。確かにG3根岸ステークス3着 などここでは格上の存在だが、俺の見るところ、この馬は基本的にスプリンターで1600mは少し 長い。現に2000mのTCR女王杯は人気を裏切って10着と沈んでいる。危険な人気馬だ。 2番人気のカオリブロッサムは3歳時に重賞を勝っている素質馬だが、ここが8ヶ月ぶりのうえ休養前 2走は共に着外、ヒカリ以上に危険な人気馬だ。3番人気のグリーンプリンセスも好走はきさらぎ賞 3着など芝が中心で、ダートは未知数だ)
俺:「そこでおれは・・・」
寿:「ああ〜っ」
俺:「俺の狙いは16番ゴーゴーミユキだ!(これが言いたかったのよこれが!)」
寿:「ああ〜っ!見て見て〜あれ、グレイちゃんだ〜」
俺:「なにっ?!」
俺はあわててパドックの方に振り向いた。
俺:「・・・マジかよ・・・」
そう、寿さんが指差した先には、なんと、グレイちゃんの刺繍が施されたメンコをかぶった馬が、とこ
とこと歩いていたのだ。
寿:「あのおうまさん〜、かわい〜っ」
俺:「ユニバーサルグレイ・・・4番人気か・・・」
その時、俺にはある1つの考えが浮かんだ。
俺:「寿さん?」
寿:「な〜に〜?」
俺:「ちょっと待っててくれ。俺、寿さんに馬券買ってくる」
寿:「べつにい〜よ〜」
俺:「いや、そこで待っててくれ。」
寿:「りょうか〜い」

そして、俺は馬券を買うと、大急ぎで戻ってきた。

俺:「・・・はあっはあっ・・・見てくれ」
寿:「あ〜っ」
そこには、ゴーゴーミユキの単勝2000円と、ゴーゴーミユキ、ユッキーサポーター、そして ユニバーサルグレイの三頭の組み合わせ馬連3通りをそれぞれ1000円、合計5000円分の 馬券があった。
俺:「これ・・・寿さんにあげる」
寿:「え〜っ、いいの〜?」
俺:「ああ、もちろんだとも」
このために俺は全財産をなげだした。冷静に考えると、この時点で俺は本当の一文無しだったのだが、 そんなことに気づくひまも無いほど、このときの俺は熱く燃えていた。
そして・・・

〜第11レース・水無月ステークス(ダート1600m・1600万以下条件)〜

アナ:「さあ本日のメインレースは水無月ステークス。ダート1600mで16頭の多頭数です。 ・・・さあ、スタートしました!」
「わぁぁぁぁぁ!!」
寿:「へっ?」
アナ:「あーっ!いきなりユッキーサポーターつまづいて落馬!」
寿:「ああ〜っ、だめだめだよぉ〜!」
俺:「いやっ!大丈夫だ!!」
寿:「へっ?」
俺:「かまわん、ユッキーサポーターは寿さんの不幸のすべてを背負って沈んでくれた!俺たちに 待っているのは勝利だ!」
寿:「はにゃぁ〜、だいじょうびだいじょうび・・・」

アナ:「さあヒカリサンシャインすばらしいスタート!そのまま一馬身からニ馬身のリード。これ に内からビーチエンプレス、ドラゴンガールが続く!」
俺:「やはり来たか・・・」
アナ:「これに続いて13番アクティブウーマン、9番のサクラカエデオーがつづき、3番ガクエン ボルケーノ、タクミサイレンス・・・」
寿:「まだグレイちゃん見えない・・・」
アナ:「ユニバーサルグレイ、グリーンプリンセスと人気馬は中段より後ろ、カオリブロッサム後方 から3頭目、あとはスノーホワイト、1頭ぽつんと離れてゴーゴーミユキという態勢です」
寿:「あ〜、美幸1番後ろだ・・・」
俺:「心配無い。ゴーゴーミユキは追い込み馬だ。序盤は死んだフリをして最後に飛んでくる!」

アナ:「さあ残り600m、ヒカリサンシャイン依然先頭!これはかなりのハイペースだ!後続勢も この当りからじりじり差を詰めたいところ・・・」
俺:「よし、これなら追い込み届くぞ!」

アナ:「さあ4コーナーを回って最後の直線!ヒカリサンシャイン先頭!馬群の真ん中からグリーン プリンセス。さらにユニバーサルグレイも差を詰めてきている!」
寿:「美幸は〜?」
アナ:「ゴールまであと200m!先頭ヒカリサンシャインだが、ユニバーサルグレイが差を詰めて きた!カオリブロッサムはまだ後方・・・大外からはゴーゴーミユキ!」
俺:「来たぁ〜来た来た来たぁ〜!!」
アナ:「先頭ヒカリサンシャイン!しかしここでユニバーサルグレイ・・・ゴーゴーミユキだ!!」
俺:「やったぁ〜!」
アナ:「ゴーゴーミユキ今一着でゴールイン!二着はユニバーサルグレイ、1番人気ヒカリサン シャインは三着!」
寿:「やったぁ〜美幸勝ったよ〜!」
俺:「やったぜ!」
寿:「あ・・・これどうなるの?」
寿さんはさっき俺があげた馬券を俺に見せた。
俺:「ああ、確定次第さっそく換金しよう!これなら2万円ぐらいにはなるぞ!」
寿:「えっ?そんなにすごいの?」
俺:「ああ、あとはそれでごちそうを食べよう!」
寿:「おっ、いいですね〜」
「・・・は、最後の直線走路で、15番カオリブロッサム号の進路が狭くなったことについて、審議を しております。お手持ちの・・・」
寿:「はにゃ〜どうしたのかな〜?」
俺:「心配無用、こういう審議はよくあること。普通失格とか降着になることはめったに無いって」
寿:「そうなの〜」
俺:「さ、そろそろ審議結果が出るだろうよ」
ただ、パトロールビデオでは、確かに前がつまって、カオリブロッサムの行き場所が無くなっている のは確かだった。
俺:「・・・まあ、大丈夫だろう」
しかし・・・
寿:「あっ、でた〜」
着順が上がった。
電光掲示板には16、4、6の順番で上がった。
俺:「よし、的中だ!」
寿:「やった〜」
喜び勇んで馬券を換金しようと、二人が窓口に行こうとした時だった。
「・・・只今の審議について、ご説明いたします。最後の直線走路で、15番カオリブロッサム号の進 路が狭くなったことについて、審議をいたしました。その結果、第1着で入線しましたゴーゴーミユキ 号を、進路妨害により、第9着に降着といたします。くり返し・・・」
俺:「・・・」
寿:「・・・」
その後二人の関係がどうなったか知るものは、意外に少ない・・・

終わり

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