
3102形運転台
南車両基地にて許可を得て撮影。(89.12.3)

3000系は6000系をベースに南北線の2000系の補完的役割を担う車両として開発され,昭和53年
から平成2年までの間に5編成40両が登場しました。2000系では2軸固定式台車を採用していましたが,
発車時に独特の揺れを伴うなど,乗り心地は決して良いものではありませんでした。3000系では2軸
ボギー台車を採用し2000系の乗り心地の欠点を解消しました。2両連接台車で軸配置は2000系よりも
1軸少ない
○○
+○○+
○○
○○は駆動軸
という2両6軸配置でした。当初は連接台車にする設計ではなかったようですが,1両13.8m(連結面間)
の全長に大きなタイヤ付きの台車を二つ納めると床下機器の配置場所がなくなるという理由から
連接台車が採用されたようです。台車には左右に二つのモータがタイヤの間に配置され,1つの
モーターで前後二つのタイヤを駆動する仕組みになっています。ブレーキは回生ブレーキ付きで,
6000系同様ディスクブレーキを採用しています。制御方式も2000系の抵抗制御から6000系と同じ
チョッパサイリスタ方式に変更されました。
内装も基本的に6000系に準じた作りとなっており,ドアや連結面などは6000系と同じ形になって います。ですが,6000系内装の大きな特徴である札幌名所のイラストは描かれていません。それでも 6000系と同じ様な色調の化粧板を使っているので,室内はそれほど暗い印象はありません。

3000系の外観は営団地下鉄6000系に似た形をしていますが,営団6000系と違い貫通扉にも 窓が開いています。昭和53年登場の3001編成は当初,正面が濃い緑と薄い緑のツートンカラーの 塗装がなされていましたが,すぐに薄い緑1色のカラーリングに変更されました。当初のカラー リングはほとんど濃い緑で,薄い緑は運転席窓周りのほんの少しの部分だけでした。塗装変更が 行われたのは,前面の印象があまりに地味だったからでしょうか。
手元には旧塗装の写真はありませんが,資料をもとにプラレールで再現してみました。 プラレールでも旧塗装のイメージは大体つかめるかと思います。この旧塗装車両は3001編成のみで, それも登場直後のごく短期間しか走っていませんでした。このような短期間での塗装変更は,国鉄 時代のキハ183系100番台が登場2週間ほどで塗装変更されたのと似ています。札幌地下鉄の車両が 塗装変更されたのは,この3000系の例と6000系に連結されていた8300形が8000系への更新の際に 塗装変更されたのがあります。

先にも書きましたが,3000系は昭和53年から平成2年までの13年間に5編成40両が登場しています。 車両数こそ少ないですが,隔年で1〜2編成が増備されていて,13年間にわたる長期間同じ形式の車両が 製造されていたのは札幌地下鉄では他に例がありません。ちなみに2000系は昭和45年から昭和53年の9 年間,6000系は昭和49年から昭和56年の8年間,7000系は昭和62年から平成7年の9年間です。さらに, 5000系は平成7年から11年の5年間,8000系は平成10,11年の2年間のみの製造です。ちなみに右の写真の 3000系は人身事故のため,「大通」の幕を掲げています。
12年間もの長期間にわたって製造された3000系ですが,この期間に特に大きなマイナーチェンジ はありませんでした。強いていえば,昭和53年製初期型の3001編成と中期型3002〜3004編成,平成2年 製の最終型3005編成という3区分ができ,若干違いがある程度です。初期型3001編成は車体ブザーの音が 他編成とは違います。3001編成のブザー音は6000系のものと同じでとても耳障りな音なのです。また3001 編成のみドア上にドア番号のシールが貼られています。さらに,3001編成の3801形は,平成12年くらい まで方向幕の「麻生」のフォントが微妙に違いました。一方,3005編成は3000系他編成にはドア上に 出っ張りがついています。この出っ張りは5000系にもあり,私はラッシュ時などにドア付近に立つとき に掴まる部分として重宝しています。

3001〜3004編成のドア上(左)と3005編成のドア上(右)
見にくいですが,3005編成には出っ張りがあります。

3801形の「麻生」幕(左)と3805形の「麻生」幕(右)
3801形のもののほうが細字(現在は交換されています)。
平成10年頃から,3000系は車体の更新作業が行われました。具体的内容は転落防止幌の取り付け, シート地の更新作業です。最初は3002編成から行われ,この時にはシート地の更新のみが施工され, 転落防止幌は取り付けられていませんでした。その後,2編成目の更新車である3004編成からシート地 の更新とともに,転落防止幌の取り付けが行われ,以後,3001,3005,3003編成という順序で平成12年 度くらいまでに全編成の更新が終了しました。その中で3005編成は転落防止幌の取り付けのみでシート 地の更新は行われませんでした。
あと,3001編成と3004編成の先頭車3101,3104,3801,3804形の連結面車端部の3人掛けシート には,着席区分の窪みが付いています。この窪みは同じ編成でも中間車にもなく,他編成にもないと いうよくわからない窪みです。3001と3004の両編成は,更新時期が近いのが関係しているのかもしれ ません。現在は手元に詳しい資料がありませんが,同年度の更新施工かどうかを調べてみます。3000 系各編成の違いは下の表にまとめてみました。この他,現在は3000系の方向幕も全てLED化されて います。

3801形の車端シート(左)と3401形の車端シート(右)
同じ編成の車両でも,車端シートの窪みの有無に違いがある。
| 編成 | 製造年 | シート地 | 他編成との違い |
|---|---|---|---|
| 3001 | 昭和53年 | 更新済 | ブザー音,ドア番号シール,3101,3801形車端シート窪み |
| 3002 | 昭和57年 | 更新済 | |
| 3003 | 昭和60年 | 更新済 | |
| 3004 | 昭和60年 | 更新済 | 3104,3804形車端シート窪み |
| 3005 | 平成2年 | 未更新 | ドア上出っ張り |
3000系は最古参車でも昭和53年製と車齢は30年弱ですが,残念ながら淘汰の危機に直面しています。 交通局の経営健全化計画の中で地下鉄のワンマン化が明記されており,3000系もワンマン化の際には 全編成とも置き換えられる予定です。また,運行本数の削減により所要編成数も減少することから, 保有車両も札幌地下鉄全体で3編成減らされる見込みです。あくまで個人的な予想ですが,5編成の 3000系の置き換えは4編成にとどまり,1編成削減ということになるのではないでしょうか。
ワンマン化により3000系が淘汰されるのは,3000系は5000系とドア位置が異なり,ワンマン化の ためホームドアを設置する際に支障をきたすことが大きいかと思われます。南北線は平成25年度までに ホームドアが設置され,ワンマン化が開始される予定で,これは3000系の命が長くともあと8年ほどだ ということを示しています。ただし,『札幌市営地下鉄事業10か年経営計画』を見ると,平成20年度 までは東西線の車両更新のみのようで,もうしばらくは3000系の活躍も見られそうです。
参考資料:
奥野和弘「新車ガイド 札幌地下鉄にニューフェイス 3000系登場」『鉄道ファン』,212,交友社,1978.12。
「札幌市交通局 南北線2000形・3000形 東西線6000形 車両主要諸元一覧表」『鉄道ファン』,212,交友社,1978.12。
『鉄道ファン』,交友社,446。
『札幌市営地下鉄事業10か年経営計画』札幌市交通局,2005年1月。