|
|
くらしき物語・極道姉妹バージョン
原著作者・ruritateha2010姐さんからの提言 |
|
漫画の創作技術については人それぞれでしょうが
新しい連載の構想を考えるときに一番苦しむのは
それぞれのキャラクターの性格付けと人物の相関図です。
キャラクター造型自体はファッション雑誌などの資料を見ながら何通りも描いてみて
ある程度技術があれば出来上がるものなのですが
その造型に命を吹き込む作業が私には一番苦しいことです。
私自身もこのキャラクター造型は会心の出来!と思ったものが全く読者に支持されず
勢いで作ったキャラクターに熱心なファンに支持されたりと試行錯誤の毎日です。
私は漫画連載するときは大まかなストリー構成を事前に考えた上で
それを肉付けしていくという方法を取っています。
同業の友人とも話をしますが一番苦しむのはネームを切るときです。
このキャラクターならこういう話し方や行動はしないとか
読者にとって良い意味で期待を裏切らなければいけないというプレッシャーに
毎回胃が痛む作業を繰り返しています。
実際ある程度ネームとコンテを仕上げれば
後は単純にペン入れの作業なので単純な肉体労働です。
もちろん忙しいときにはアシスタントさんにも手伝って貰いますし
自分で背景やベタ塗りやトーン張りなど全部描くという事は
デビュー半年くらいだけでした。
ただアシスタントさんの技術や個性も人それぞれですから
それを自分のカラーに近づけていくという事は大変なことでした。
でもそれは漫画家としての仕事のうちなのですよね。
以前鈴賀レニさんがいがらしさんの裁判で応援陳述書を出したのを拝見しましたが
彼女の主張は全くの的外れのいがらしゆみこさんへの賞賛でした。
アシスタントさんに上手く働いてもらうのも漫画家として仕事の範疇です。
いがらしゆみこさんのローズやはちまんのような仕事を見ていると漫画家として
もうやっていくつもりが無いのだろうなと思います。
くらしき物語の人物相関図のラフ画など恥ずかしくて表に出せません。
それにあーちゃんやはちまんのカラー原画も
観光地の安っぽい絵葉書のような絵で背景パースと人物パースも全く狂っています。
それに気が付かないでOK出したとしたら
基本的なデッサン力も衰えているのだろうと思います。
技術的にはキャラクターのアップのイラストが実は一番簡単に描けるものなのです。
デッサン狂いも誤魔化す事が出来ますし骨格も考えずに描いても大丈夫ですから。
一番技術を要求されるのはあおりや俯瞰といったものです。
キャンディの新作原画というのも
当時の絵とは明らかに違うものだとはっきり解りますし
人物の目線がうつろで顔全体のバランスも崩れているのが新作の特徴です。
絵は描かなければ明らかに技術が低下します。
年齢的なものもあるのでしょうがペンの勢いも若いときに比べると衰えてきます。
プロにとって過去の作品の絵を新たに描いてくれという要求が
実は一番辛いことなのですよね。
自分の絵でも日々変わりますしどう過去の絵を模写しても似なくなるものなのです。
ですからいがらしさんの描いた新作キャンディ原画のグッズは
似て非なるものだと思います。
「キャンディの絵を描けるのは私だけ」という主張も違います。
キャンディの絵を描いたのは25年前のいがらしゆみこさんだということです。
だからこそプロを名乗るのなら今の絵で新しい作品を描くべきなのです。
時代によって漫画の絵柄も流行り廃りがあります。
その中で自分がどう咀嚼して自分の絵として取り入れていくのかというのも
大切なことだと思います。
古びない絵というものはありません。
だからこそ新しいものを模索することが必要なのだと思います。
漫画家を私も10年以上やっていますがいつでも不安だし
日々勉強が必要だと痛感しています。
いがらしゆみこさんは第一線で30年以上も描いてきた女性なのですから
過去の作品より現在の作品に集中して頂きたいと思っています。
本当に良い作品を作ればきちんと読者は評価してくれます。
そして自分でも漫画を描いてて良かったという気持ちが生まれると思います。
いがらしさんにはデビュー当時の「漫画を描く楽しさ」を思い出して欲しいですね。
キャンディのような大ヒットはたまたま時代が要求していて
色々な意味で関係者が力を出し切ったからこそ偶然生まれたものだと思うのです。
いがらしさんだけの力では決してありません。
原作の水木杏子さんの秀逸な構成力、講談社の編集さんの尽力、アニメの東映さんも頑張ったから
大ヒットさせられたと思うのです。
そこのところをいがらしさんにもう一度考えて欲しいと思います。 |
|
BACK |
Graphics Provided By: In A Mood Designs
I
|
|