歯車党日記

オタク系フリーライター&編集者・石黒直樹の徒然日記&コラムです

『とらぶるういんどうず』コミック化に関する詳細事情について

05/04/12-19:52
 今回の「とらぶるういんどうず」コミック化に関して、私の感情的な対応もあって各所で誤解を生んでいるようですので、改めてお詫び申し上げます。
 いままでの書き込みなどに記されている疑問点を総合して、まとめさせていただきましたのでご確認ください。

●企画の公開時期に関して
 まず雑誌の企画や連載などには「守秘義務」という契約が存在しており、企画自体が確実に動かせるようになるまでは、その企画の関係者にしかお話しすることができません。
 多くの「」方々がおっしゃっている「なぜ二次裏にスレッドを立てて事前に意見を聞かなかったのか?」という件ですが、二次裏自体が「オープンな匿名掲示板」であるため、そこに書き込むことは不特定多数の方に企画が漏洩することとなるため、上記の守秘義務に違反することとなり不可能なのです。
 OS娘に大なり小なり関わっていた「」の意見が聞ける、クローズドな掲示板などを作るという手段を使うことも考えましたが、アクセス権を与える際にどうやってOS娘に関係した「」だと判別するのかという問題が出てきます。さらに上記の守秘義務を守っていただくことを考えると、どうしても個人認証が必要となり、匿名による活動がデフォルトの「」にそれを要求するのは難しいのではないかという結論となり、事前の意見募集は断念することとなりました。
 そして、昨年夏以降の二次裏を見ているとOS娘ネタを排除する一部勢力が活発に動いている様子も見受けられたため、果たして意見募集をしても有効なのかという危惧がありました。上記のように個人を見分けられないため、アンチOS娘の「」がファンを装って場をかき回すという可能性もありましたので。

 さらにつけ加えると、この企画自体が非常に流動的なものであり、頓挫の可能性も高かったことも企画公開の時期が遅くなった原因でもあります。
 当初はOS娘を描いているプロ級の絵師「」に頼んでイラストストーリー&ショートコミック的な物をと考えていたのですが、単独でOS娘を描くことになるということからか、なかなかオファーを受けていただける絵師「」がいませんでした。その過程で栗橋伸祐氏がふたばちゃんねるによく出入りされている方であり、執筆も可能だということでお願いすることとなりました(この時点でイラストストーリー&ショートコミックから、ある程度のページ数とストーリーを有した漫画オンリーへと方向が変わります)。
 企画の方向性が固まりはしましたが、まだこの時点では掲載誌が決まっていませんでした。OS娘自体の知名度・人気は高まってはいましたが、掲載枠を決める権限のある人にはネットの動向などにはあまり詳しくない人も多く、なかなかページ枠を確保できませんでした。宙出版よりは発売されるファンブックとの連携効果も視野に入れつつとなると時間は限られるため、場合によっては企画自体をお蔵入りさせることも検討していました(出版業界ではあまり珍しくはないことです)。
 掲載誌を模索しつつ(万が一の場合は他社での掲載も視野に入れていました)、枠が決まり次第製作に入れるよう交渉と平行して各種の準備を進め、何とか4月26日発売の電撃帝王にページを確保でき、正式に企画が動かせたのが3月上旬…〆切まで約一ヶ月弱という段階です。告知しようにも素材が全くなく、かといって他の絵師のOS娘の絵を使うわけにもいかなかったため、原稿が完成してから、その絵を使って告知しようということとなり、皆さんもご存じの通り4月上旬の公開となったのです。

●作家の資質に関する発言について
 私の言葉が足らず「二次裏の絵師をバカにしているのか」と受け止められてしまいましたが、改めて詳しく経緯を書かせていただきます。
 先にも記したとおり当初は「二次裏絵師によるイラストストーリ&ショートコミック企画」を想定し、OS娘をよく描かれているプロ級の絵師に候補を絞りましたが、オファーを受けていただけなかったために漫画へと企画変更した経緯があります。そして漫画の場合はイラスト物よりもハードルが高く、OS娘漫画を描く場合には以下の要件を満たす描き手でないと発注が難しかったのです。

・限られた時間で20ページ強の作品を描ける執筆量と構成力がある(アンソロジーなどファンだけがターゲットの本なら、前提となる設定などの説明が不要のため短いページ数でも可能なのですが、OS娘をしらない読者にもわかるような話にするためにはこれだけのページ数が必要となります。なお今回のコミックは22ページの作品です)。
・〆切を守れて、途中で逃げ出さない(ある程度キャリアを積んだ方には滅多にいませんが、若い作家の中には時々……)。
・モノクロで原稿が作れる(最初からCG主体でカラーから描き出した描き手の場合、印刷に耐えうるモノクロのデータを作るノウハウがない場合も多いのです)


 上記の要件で見たす二次裏の絵師となると、実力未知数のアマチュア「」には発注が難しく、すでにプロで活動されている方に絞られます。そしてプロ作家の場合だと会社間の力関係や業界の仁義のために連絡先がわからなかったり(教えてもらえなかったり)、スケジュール調整の問題などもあってさらに難しいこととなります。
 しかし作家の中には、ふたばちゃんねるでROMに徹している&参加はしても文字のみ(仕事以外の場で絵を描くのを良しとしない&よく画像が貼られる作家の場合は無断使用やネットへのアップにお墨付きを与えることになりかねないのであくまで正体を隠して黙認という考えが多いようです)という潜在的な「」作家もかなり多いのです。その類の作家でしたら上記の要件はクリアできますし、実績のある&作業ペースの読める作家でしたら、掲載の際の会社側への説得もしやすくなります(企画物とはいえ、未知数の新人にいきなり20ページ強を与えるのは難しいのです)。その結果、栗橋伸祐先生にお願いすることとなりました。

●「二次創作」とは何かについて
 この言い方が同人誌との混同を招いてしまっているようなので、改めて詳細を説明させていただきます。
 まず「OS娘」というキャラクターが、「」ごとに様々なイメージをもつた存在であり、その最大公約数が各代表作者の描かれるキャラだとこちらでは考えています。今回の漫画版についても、そんな最大公約のキャラクターをベースに、マンガとしての味付けを加えていくという形でキャラや物語を構成しています。「公認ではあるが公式ではない」という言い回しについてですが、所謂某誌のような無断使用でないという意味での「公認」、そして漫画がOS娘の新たなパブリックイメージを意味するものではないということで「公式ではない」とさせていただきました。
 ちなみに商業誌上での両者の使い分けは、以下のようなものだと考えていただければ幸いです。

・公式……元になる原作アニメ・小説に忠実なコミック化、または原作の物語世界内に存在するエピソードとして描かれるサイドストーリー
・公認……原作のキャラクターや世界観は使いつつも、物語世界内に存在するわけではない、アンソロジーなどに見られるパロディコミック系のもので、なおかつ原作側のチェックを受けているもの。


●各キャラ作者との連絡や契約について
 Meあき氏の「「他のキャラ描いた人も良いって言うなら私はいいですよー」と返答して、そのまま忘れてたら決定みたいな事になっていて、」という部分から、本当に許可を取ったのかという疑念を持たれているようですが、詳しい流れは以下の通りです。

・マンガやイラストストーリーのようなものができないか、ネタ具現化委員会(以後「ネタ具」)経由で各作者に打診してもらう。
・「他のキャラ描いた人も良いって言うなら私はいいですよー」というMeあきさんのお話しから、他の方達の同意もいただいたけたとの連絡がネタ具より到着。それをうけて、具体的な企画書と契約面での条件提示(後述)などを、再度ネタ具経由で各作者に打診。
・契約条件に後述のような修正を加えた上で、企画を正式に動かすことが決定。


 以上のようなことが決定したのが昨年の秋あたりです。この後、前述のような経緯で企画が流動的となり、漫画オンリーで行くことを関係者に連絡。年を明けてから原作脚本第1稿を作成し、その正否の判定や修正の希望などをおこなってもらうべくMeあき氏をはじめとする各作者に脚本を配布。内容チェックの上でMeあき氏から寄せられた希望などを加えて正式脚本完成。それを元に漫画の制作がスタートとなりました。間が空いてしまったために「いつの間にか決まっていた」との誤解が生じたものと思われます。
 なお、こちらの連絡ミスからMeあき氏以外の作者の方に完成原稿のコピーが行き渡らなかったというミスがありましたことを、ここにお詫びいたします。

 今回のコミック化に際して、各作者が「OS娘を金で売った」的な意見が時折見られますが、今回の漫画化に際して各作者との間で報酬的な物のやりとりはありません。
 当初は単行本化などがされた場合には、通常の原作物コミックの基準に合わせた原作者印税を各作者に分配するという契約条件を提示しました。しかし「OS娘はみんなで作ったものだから」という理由から印税に関しては各作者共に辞退されました。
 そういった各作者様の意思は汲み取るものの、以下のような形で各作者および仲介していただいたネタ具現化委員会様には献本することとなっています。

・各作者……掲載雑誌の献本、単行本化された場合には単行本複数の献本&作品製作への協力に対する薄謝。
・ネタ具現化委員会……掲載雑誌の献本、単行本化された場合には単行本の献本。


以上が今回の件に関する事情説明となります。




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Posted by 石黒直樹
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