File No.007
ベニウスタケ
Cantharellus cinnabarius Schw.
ヒダナシタケ目アンズタケ科

一目見たとき、ヌメリガサ科の赤いきのこかと思った。それぐらいふつうのひだを持っている。だのになぜ「ヒダナシタケ目」なのかというのは、ひだの断面をルーペで見たとき納得した(下図参照)。なるほど確かに「ひだ」でなく、「しわ」である。
ところで、余計なお世話かもしれないが、『日本のきのこ』でも『新菌類図鑑』でも、ベニウスタケは写真写りが悪くて、損をしている。実物はもっときれいである。

[データ]

肉眼的特徴  傘は浅いじょうご形に開き、周辺部は内側に巻く。径1.5〜2.5cm、表面はやや繊維状で、浅いしわを有し、橙色を帯びた朱色。乾燥時はやや退色する。肉はうすく橙赤色、臭いはない。ひだはわずかに橙色を帯びた類白色で、柄に長く垂生し、不規則に分岐と吻合とを繰り返すが、横脈はあまり発達しない。柄は2〜3.5cm×5mm、傘と同色〜やや淡色で、表面は傘と同質、中実。肉は白色。

顕微鏡的特徴  胞子は広楕円形で、(7.8±5.7)μm、表面は平滑、非アミロイド。菌糸は無色で薄膜、ひだ部においてはほぼひだと平行に走り、径3〜4μm、傘部ではやや太く、径5〜6μm。担子器は円筒形で50×5μm。菌糸にクランプを有する。

発生地 兵庫県新宮町。コナラ・クリなどの広葉樹林内地上に散生。

採集日 1998年7月20日

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