File No.016
キチャワンタケ
Caloscypha fulgens (Pers.) Boud.
(チャワンタケ目ピロネマキン科)
上述のマツカサキノコモドキのすぐそば、ヒノキの樹皮や木くずの積もったのが腐って黒くなったところにたくさん生えていた。直径が数ミリ〜1ミリと、それほど大きいきのこではないけれど、色が鮮やかなオレンジ色なので、とてもよく目立つ。
よくありがちなチャワンタケかと思って手にとってながめているうちに、なんとさわったところから緑色に変色していくことに気がついた。こんなチャワンタケがあるのかと思って調べてみたら、「日本のきのこ」にも載っているキチャワンタケであった。「イロガワリチャワンタケ」とかいう名前だったら記憶に残りやすいのに、ずいぶん平凡を装った名前がついているものである。
緑色に変わると書いたが、どちらかといえば青色に変色して、それがもともとの黄色とまざって緑色に見えているようだ。このきのこに限らず、イグチの仲間とか、黄色いきのこが緑ないし青に変わる例が多い。ふつうの植物の葉が緑から黄色に変わるのとちょうど反対なのは、ちょっとおもしろい気がする。
[データ]
採集日:1999年2月7日
発生地:兵庫県新宮町
ヒノキ・アカマツ・タケの林内地上に発生。