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第九話 Jordheim後日談かつて侵入を試みた僕を、ものの見事に拒絶したミッドガルドの首都、Jordheim。
このたび、僕ことシャドーブレードのNezは、さる方の声に背中を押される形で、この無骨な城(?)を再び訪れることにしていた。
と言うことで、Gotarから再び長い道のりを経て、僕は現在Vasudheimにいる。ここまで来れば、Jordheimは目と鼻の先だ。もう遠くにその姿を確認できる。
前回はここで、目に入ったJordheimの威容に心を奪われ、一目散に走って向かってしまったのだが、二度同じ過ちを犯すほど僕も愚かではない。まずはここ、Vasudheimでバインドをするのだ。
/bind
完了。
これで、もし、仮に前回同様、ゾーン処理と同時にホームポイントへ吹っ飛ばされたとしても、このVasudheimに戻されるだけだ。ここからならば、何度でも侵入に挑戦できようというものだ。
よし、準備は万端。
いざ、突入〜。
・・・。
・・・。
!!
いけた!
ゾーン処理が終わり、暗転していた世界に再び風景が戻ると、そこは見たことのない場所だった。
チャット欄のシステムメッセージには、しっかりとこう記されている。
You have entered Jordheim.
これこれこれ、これだ!
この一文を見るために、僕ははるばるGotarから走ってここまでやってきたのだ。
ふう、やっと中に入れたよ・・・
・・・おっと、なんかすでに目的は達成された気分になってしまった。
ここまで来たからには、とりあえず中を探検してみなくては。
ってなわけで、出発進行だ。少し進むと、城門を通り過ぎ、中にはミッドガルド風の町並みが広がっている。立ち並んでいる家は、たまに煉瓦でできたものもあるけど、たいていは木造の小屋のようだ。
さらに街路を見てみると、場所によっては木だか石だかの板が、申し訳程度に渡されていたりするけど、多くの部分は舗装されていない土肌むき出しの地面だ。踏み荒らされていないところには、芝生と言うよりも雑草に近いモノが、ちらほら生えている。
見た感じの印象は、ミッドガルドらしいと言えばミッドガルドらしいけど、ヒベルニアのTir Nan Ogに比べると、どうしても田舎臭さはぬぐい去れない、ってな感じだ。
EQをやった人向けに言えば、Tir Nan OgがQeynosとするならば、JordheimはFreeportというような感じ。
さて、さらに歩き回る。
武器屋と防具屋。各クラスのトレーナーに、生産スキルの師匠達。さらにはギルドレジスターにギルド章制作係。ここにいない人はいない、というくらいに、多種多様なNPCがいる。この部分では、Tir Nan Ogにも全く引けを取らないと言っていいだろう。むしろ、建築の単純さという点を考慮すれば、Jordheimの方が使いやすいくらいかも知れない。
まあ、どちらにしても、生産やギルド結成関係以外のNPCをつかうなら、ゾーン越えのない、外の村を利用した方が実用度という点ではいいのだろうけど。
そうやって歩き回っていると、Tir Nan Ogにもあった鍛冶場が、ここJordheimでも見つかった・・・んだけど、これがまた、ハンパじゃないほどに込み合っていた。その様子は左の写真の通りだけど、実際にはこの倍くらいの人が生産スキルに従事している感じだった。
さすがは、鍛冶と言えばドワーフ。
ドワーフと言えばミッドガルド。
正しく鍛冶天国である。
・・・。
・・・なんて事は、全く関係ないケド。
たぶん、こないだの僕と同じように、β中にトレードスキルの可能性を垣間見ておこう、と言う人が多いんだろうな。DAoCの生産は、ボタン押すだけなので結構オテガル、かつ、PC相手に商売しなくても比較的投資を少なくレベルを上げられるので、やりだすと止まらないと言う感じだったし。
まあ、僕は今ここで生産をやる必要もないし、そもそもこのキャラには元手となるお金もないので、生産にハマってる人々を横目に、探索を続ける。
鍛冶場のあるすぐ近くには、NPCの商人が集まるテントがあったりもした。
テントのまわりには買い物客とおぼしき人や、ただ友達と雑談しているような人が、たくさん集まっていて、そのときの天気が快晴だったこともあり、雰囲気はまさに青空市場、と言った風で、北国のミッドガルドもなかなか熱いではないか、って感じだった。
今までミッドガルドは、なんとなくさびれた印象があったのでなおさらだ。
僕もついついテントや、そのまわりの建物に入って、店の売り物を覗いてみてしまう。
んー、そういえば、左手に斧持てるようになったのに、まだ試してなかったなぁ・・・。
ムクリ。
物欲が芽生える。
オミヤゲニ、オノヲカッテカエルカ・・・。
・・・買っちゃえ。
斧屋! 斧屋はどこじゃー!
ズダダダダダダ。
今までのんびり物見遊山を決め込んでいたくせに、急に生き生きと走り回る僕。
やはり人を真に動かすのは欲望である。
ズダダダダダダ。
・・・あった!
さぁ売るのだ! 今すぐ斧を売るのだ、店主よ!
ってなわけで、価格数spの安い斧を衝動買いしてしまった。
ふっふっふ。これで今日から二刀流ライフ、もとい、一刀一斧流ライフが始まるのである。
サッ!
・・・かっこわるいカモ。
このアンバランスな見た目に若干のめまいを感じつつ、Jordheimみやげを持って、この地を後にする僕なのであった。
つづく。
−登場人物−
Nez (Kobold / Shadowblade Lv5)
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