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第四話 パーティープレイ
 森の中で、一人のルリコーンの声がこだました。

 Flien: 「パーティーに入れてください」

 ヒベルニアの森で孤独に耐えきれなくなった僕は、偶然発見したレベルの近いパーティーに、恥も外聞もなく飛びついた。その結果が、上の発言である。

 根が小心者の僕は、果たして彼らが受け入れてくれるのかどうか、それよりなにより、今の僕のヘナヘナ英語が彼らに通じたのかを、激しく不安に思いながら彼らの返答を待っていた。

 「OK」

 パァーっと目の前が明るくなる。受け入れてもらえたのだ!
 おお! なんて気のいい奴らだ!

 ほどなくすると、彼らのリーダーが僕をINVITE(パーティーへの誘い)したらしく、僕の画面に『パーティーに誘われましたが入りますか? Yes/No』と言うようなダイアログが現れた。
 当然ここは、Yesボタン・・・というか、Acceptボタンを押す。すると、パーティーウィンドウが開いて、そこにパーティーメンバーの名前、クラス、レベル、HP、Buff状況、等々が表示された。僕にとっては見慣れないウィンドウなので、HPの下に表示されているのがPOWなのかENDなのかがよくわからない。・・・まあきっとPOWだろうな・・・たぶん・・・。

 ところで、このパーティーウィンドウは、表示される情報量が多くて便利と言えば便利なんだけど、逆に情報量が多い分使う画面スペースも大きくて、このウィンドウが出ていると、画面の1/5がウィンドウで埋まってしまって、周囲の景色がよく見えなくなってしまう、という短所もある。そこで、パーティーウィンドウの中にあるMINIというボタンを押すのだ。そうすると、パーティーメンバーの名前とHPだけが記されたミニウィンドウが表示される。Heal係でもPull係でもないし、当面はこのミニウィンドウだけで大丈夫だろう。

 実は僕は、過去一回だけミッドガルドでトロルのスカルドと、ほんの30分ほど組んだことがあるんだけど、三人以上の人と組むのも、ヒベルニアで組むのも初めてだ。今後の僕のパーティープレイ人生を占う意味でも、ここは気合いを入れてかからねば。

 キッ、と気合いを入れて、パーティーの仲間とともに狩りを始める。

 ちなみに現在のメンバーは、チャンピオン、ナイトシェード、バード、それにレンジャーの僕。
 殴り、殴り、回復に、殴り、となかなかのバランスだ。
 チャンピオンの人が、ValorスキルをつかってPullしてくるのを、弓で、剣で、シバキまくる。
 なかなかいい感じだ。

 でも実は、最初のうちは結構苦労した。それまでずーっとソロだったので、やっぱり少し勝手が違うのだ。弓はいつ撃つのか、とか、そもそも殴るのと弓とどっちがいいのか、とか、考えながらやっていたので、初めのうちは、僕が戸惑っているうちに他の三人が敵を殺してしまっていて、僕はなにもしなかった、なんて事もしょっちゅうだった。

 それでも大分慣れてきて、しばらく順調に狩りを続けていた。メンバーも何人か出入りをして、気がつくとこんな光景になったりしていた。

 ルリ子さん、こと、ルリコーン三人衆の図、である。
 ちょうどよく、マントの色も三人三様で、結構かっこいい。

 僕以外の二人は、最近導入されて今最も流行のクラス、ナイトシェードだ。弓で数秒狙いを付けなくては遠距離Pullができないレンジャーの僕を尻目に、ナイトシェードのヤツときたら、華麗に魔法で引っ張ってきやがる。くそっ。
 同じ系統のクラスの割に、無骨な斧二刀流のシャドウブレード(ミッドガルド)とはかなりイメージが違うぞ。

 ともあれ、さらに狩りは続く。

 特になんの波乱もなく、延々と引っ張っては殺すの繰り返しだ。全然日記としておもしろくないったら・・・。

 ところで、この今回のパーティープレイ。効率が良かったかというと、そうでもなかった。Pull係の人が、わりかし慎重派だったのか、それともこの程度のPull間隔がDAoCでは普通なのかは判断できないけど、EQで自分がPull係をしていた頃に比べると、戦闘ごとのインターバルが長いのだ。僕だったら、『POW?』『POW?』『POW?』とかききまくって、戦闘OKと判断できるかぎり、Pullしまくるんだけどなぁ。

 せっかくの大戦力なのに、休み休みにスローペースで戦うので、せっかく強めの敵をローリスクで倒しても、Expは分割されるは、ペースは遅いわで今一つだ。Expの上昇はソロよりちょっとだけましかなぁ、って感じ。
 まあ、重要なのはExp効率じゃなくて、一人孤独にやってるよりはるかに楽しい、ってことだからいいんだけどね。けどね・・・ちょっともったいないかな、って。
 でもデシャバって失敗するのもイヤなので、流れに身を任して、まったりとプレイをすることにする。

 なんてことを考えながら、さらにさらに狩りは続く。

 何度かのパーティーメンバーの出入りの後、さらにルリコーンが増えて、ルリ子三人衆は、ルリ子四天王になった。こうも増えると、ヒベルニアはエルフやケルトじゃなくて、ルリコーンが標準人種だったのではないか、という気さえする。

 で、増えたルリ子さんはまたしてもナイトシェードだ。
 ナイトシェード、ルリ子さんの間で大流行。

 ・・・っていうか、この大量のルリコーンは、ナイトシェードを試すために、ナイトシェードに向いてそうなルリコーンでやってる人が今だけ多い、ってことなのかも。あまり同族が多すぎるのも、好きでルリコーンを選んだこちらとしてはおもしろくないので、是非そうであってほしいものだ。

 てな感じで、さら狩りをし続けること小一時間。カバンも戦利品で満タンになったし、Expもレベルアップまでの50%くらいまで貯まったし、ちょっと疲れたので休みたくなった。今日はこの辺にしたおこうかな。

 「街でモノ売って、ちょっと休むよ。組んでくれてありがとうね」

 そう言って、僕はこのつかの間の仲間達に別れを告げ、この日の冒険と修行をやめにしたのだった。

 つづく。







−登場人物−

Flien (Lurikeen / Ranger Lv7)


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