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第五話 英雄の名を・・・
 最近はこのように、他人を踏み台にしてレベルを上げている僕、こと、Flien。

 紹介しますと、踏み台にされているのはGatsさんという、それはそれは優秀な戦士の方。毎度毎度のご迷惑をかけているにもかかわらず、こんな僕にかまっていただいて、この場を借りて最大限の謝辞を送りたいと思います。

 さて、そんな僕が最近発見したのは、弓の強さ。
 レンジャーのクセしてレベル7くらいまで剣重視の戦闘スタイルを取ってきたわけだけど、これが間違いだった。片手に一本しか持てない剣よりも、弓の方が高精度・高命中率で、パーティー時のダメージソースとしては有用なのだ。殴られながら撃てないので、ソロでの使用は制限されてしまうけどね。
 ああ、こんな事を言うと、『いまさらやっと弓かよ』とか言われそうだ・・・

 てなわけなので、上記のGatsさんや、野良で見つけたTANKさんが敵を引きつけているところに、ひたすら弓を打ち込んではExpの分け前をもらう日々を、最近は送っています。

 そして、そんな生活も二日三日。そしてついに・・・



 レベル10になった。
 レベル10と言えば、レンジャーとしては二刀流に到達するレベルであり、補強型革鎧を纏えるレベルである。さらに、一般的にキャラクターとして、名字を付けることができるレベルなのだ。こいつはイベント盛りだくさんのレベルである。

 レベルを10に上げた後、さらにしばらく狩りを続けてからパーティーを抜けて、一路、首都Tir Nan Ogへと向かう。なぜなら、Gatsさんに教わったところによると、名字を付けるには、首都の名前登記官(なんじゃそりゃ)に会う必要があるらしいからだ。

 首都へ行き、行きがけに武器屋をのぞいて、二刀流の左手に持つ武器を買ったりしつつ、登記官を捜す。居場所もGatsさんに大まかに聞いていたので、迷うことなくすぐ見つかった。やはり侮れない生の情報。うくく。

 聞いたとおり、その人物は、ギルド作成関連のNPCのそば、Tir Nan Ogの王宮的存在の中にいた。その名もズバリ、[Name Registrar]という肩書きをもったNPCだ。

 右クリックで話しかけると、

 登記官 「 /LASTNAME <あなたの名前> と入力しなさいな」

 と言ってきた。

 入れる名前はもう考えてある。言われた通りに、会話ウィンドウを表示させたまま、コマンドを入力する。
 そうすると、ダイアログが出て『本当にこの名前でOK?』と聞かれた。
 ・・・ふむふむ、綴りもよし、OKだ。

 ACCEPT

 ジャーン!
 ・・・と言うような効果音を始め、特になんの劇的な変化もなく、唐突に僕の頭上の名前が、フルネームになった。演出がまるでないのもちと寂しい・・・。

 ともあれ、名字の付いた僕はこんな感じだ。



 その名も、Flien Chulainn。
 真・女神転生シリーズでおなじみのケルトの英雄、魔槍ゲイボルグでその名を知られる、Cu Chulainnから名字をもらってみた。Chulainnは『ホリン』または『フーリン』などと読むらしいのだけど、名前のFlien(フライン)との語呂を考えて、ここでは『フーリン』と読ませる方向でいこう。
 フライン・フーリン。
 明らかに名前負けしそうな感じだけど、気分は出るのでいいのだ。

 レベルアップで得たスキルで、鎧も新しくなり、剣も両脇に二本吊すようになった僕は、気分も新たに冒険と修行に励むのであった。

 つづく。







−登場人物−

  • Flien Chulainn (Lurikeen / Ranger Lv10):
     僕。本編の主人公。著者自身

  • Gats Berserk (Celt / Champion Lv11):
     最近お世話になっている戦士さん。僕の身代わりに死ぬこと多々。感謝感激雨霰


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