飼育方法



(成虫)
本来、雑木林の朽ち木を好む大クワガタには、同じような環境を作って飼育するのが最適
である。飼育ケースには水槽かプラスチックケースを用いる。大きさは「衣装ケース」として
市販されているものほどで構わない。その中に朽ち木を細かく砕いたものを5cm〜10cm
程度底に敷き、その上に産卵木を置く。朽ち木の代わりに市販の昆虫マットを使えば手軽
である。餌はリンゴ、ハチミツ、バナナなどがよく、ハチミツを与えるときには水でやや薄め
て脱脂綿に染め込ませるとよい。クワガタの活動期は夏であり、したがって与えた餌も腐敗
するのが早いため、餌の管理には充分気を使わなければならない。毎日夜間に餌を充分
食べられるようにし、隔日ごとに餌を与えるようなことはやめる。また、ときどきヨーグルトの
ような動物性蛋白質も与えるようにする。動物性の蛋白質が不足すると、メスがオスを捕食
してしまうことがあり、産卵の成績も悪くなる。
クワガタにとっては適度な湿気はたいへん重要である。朽ち木が完全に乾くようだとクワガ
タにとっては危険になるので、最低でも1週間に1度は霧をふいて加湿する(ただし、保管
場所・保管状態によってはこの限りではない)。もちろん、加湿のしすぎは悪い結果を生む。
ひとつの飼育ケースに入れる数としては、オス1・メス1〜3が望ましい。オスを複数入れると、
争いあい、空間に限りのあるケース内では逃げる場所がないため弱いほうが殺されてしまう
こともあり、そのようなことが起こらなくとも強いオスが全てのメスを独占してしまい、繁殖に弊
害がでてくる。ただし、個体数が多い場所に分割飼育を行うことは効率的でないので、様子
を見ながら複数のオスどうしを同一ケースで飼育しても構わないが、力のバランスには気を
使うこと。
大クワガタが越冬することは前に述べたが、飼育をしている大クワガタが越冬を始めるのは
10月下旬以降が一般的である。変温動物である大クワガタは、冬眠状態になると環境の変
化(特に温度と湿度)に対する機能がほとんど皆無となるため、越冬に入る前に、人工的に
適した状態を作ってやらねばならない。作業を行う時期は10月上旬頃が適当で、飼育ケー
スに敷き詰められている砕いた上に充分に加湿した朽ち木固まりを置き、その上に適度(朽
ち木の重量の1割くらいの水を使う)に加湿した朽ち木の砕いたものを再度敷き詰める(10
cm)程度。そして水分を逃がさないために黒いビニールシートに針で穴をあけて被せる。
保管場所は少々寒くても日陰の風通しの良いところにする。

(幼虫)
メスは産卵木に坑道を掘って産卵を行うので、産卵木の状態を見て判断をする。成虫の活
動期間は5月〜10月であるが、交尾、産卵はその期間に断続的に行われている。この期間
メスが安心して産卵を行えるよう、オスを1週間おきくらいの間隔で取り出したほうがよい。ま
た、産卵木も1ヶ月に1度は取り替える必要がある。従来は卵を取り出す方法が良いとされて
いたが、最近では幼虫になってから産卵木を割いて取り出す方法が良いとされている。幼虫
は1齢(初齢)で取り出すのだが、産卵後ひと月で取り出すようにすれば、ちょうどよい時期と
なる。ここで注意しなければならないのは産卵木を割るときに幼虫を潰したり、傷をつけたり
しないようにすることである。1本の産卵木には複数の幼虫がいるのが普通であり、1齢幼虫
は体も小さい(約3〜5mm)ので、見落としたり潰してしまう可能性が高いのである。
産卵木を割る前に150cc〜200ccのビンを用意して、その中にフレークを固く詰める。固く
詰めたフレークの上に指先などで少しくぼみをつけ、そこに取り出した幼虫を入れる。やがて
幼虫はフレークの中い食い入り、ビンの底近くで生活するようになる。ただし、気温が10℃以
下になるとフレークに食い込みにくくなるので注意する。ビン内の幼虫は一般に1ヶ月〜2ヶ
月で2齢幼虫となり、3齢幼虫(終齢)には孵化した秋から翌年の夏にかけて変態を行う。3齢
幼虫になる期間の幅がかなり大きいが、個体差、飼育条件などによって違うので一定化はほ
ぼ不可能である。3齢幼虫が終齢幼虫となるが、この頃には大きくなっているので800cc〜
1500ccくらいのビンへと移す。3齢幼虫用のビンに詰めるフレークはそれまでと同じ質が望
ましいが、全く新しいフレークだけを使用せず、それまでのものを少し混ぜる。大きなビンに
移したとき、幼虫の体重が減少することがあるが、これは幼虫が酸素をだして環境を整える
作業を行っているからであり、特に心配することでない。ビンのフタには5mmくらいの穴を通
気のために開ける(適当なフタがないときはビニールでよい)。3齢幼虫を飼育するビンは、
陽のあたらない涼しい場所に保管し、成虫になるのを待つ。その間フレークを取り替える必
要はないが、乾燥には注意を心掛ける。
補足となるが、ひとつのビンに入れる幼虫は各齢とも一匹だけであり、大きな飼育ケースなど
を使って多数の幼虫を一度に飼うことは管理の面などを考えるとおすすめできない。

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