2ch全板人気トーナメント
無党派さん
氏の全試合総括
○予選
 勝ちぬけ3板、という中選挙区制度下にて争われた予選。
 この時期をごく大雑把に総括するならば、各種中規模ブロックの誕生期・
成長期と言うことが可能であろうか。
 「同盟」という概念は《三国志・戦国》板から発生した(異説有り)ものだが、
例え彼らがはじめていなかったにせよ、遅かれ早かれ板同士のブロック形
成という現象が生じたことだけは間違いない。
 この板ブロックは吸収・合併を繰り返しつつ巨大化していき、予選終了時
までにおおまかに4つのブロックに分かれることになる。

【三戦枢軸】【依存症・精神疾患連合】【ニュース連邦】【モーニング娘。帝国】
(以下、順に【枢軸】・【連合】・【連邦】・【帝国】と呼ぶ)

 また上に挙げた以外にも、さまざまな小ブロックや無所属の板たちも活
発に存在していた。

 この時期までに形成された4つの中規模ブロックの名称には一つ、個人
的に興味深い点がある。
 【「ニュース」連邦】【「モーニング娘。」帝国】の2つが名称の上で加盟板を
選んでいるのに比較して、【「三戦」枢軸】【「依存症」連合】の2つの名称が
加盟板を選ばない……という性質を持っているのである。
 【連邦】は《ニュース速報》から分かれた板によって主に構成されていた。
【帝国】はモーニング娘。関係の話題を扱う板によって構成される。
 それ以外の板にとってはこの2つのブロックは、その名称が故に友好関
係は築くことは可能でも、ブロックに加盟することは困難な状態が……構
成していた各板の自覚とは無関係に……続いていたのである。
 それと比較すれば、【枢軸】と【連合】は、加入することが易かった。彼ら
自身がどこまでが加盟板であり友好板である、と切り分けることが困難な
程に。
 この「名称」における差異が、本選に入ったあと同盟関係の発展に大き
く影を投げかける一因だったと見るのは、うがち過ぎであろうか?

 そして全32戦の完了を持って、予選が完了する。
 この時点で、得票数が800を超えた板はたったの5つ。
《モーニング娘。(狼)》《三戦》《Download》《競馬》《ラウンジ》

 《狼》《三戦》《競馬》の3つは【帝国】【枢軸】【連合】のそれぞれ
中心となる板であり、他板からの支援の中で叩き出した得票である。
 特に《狼》はこの中でも唯一1000突破達成という突出した記録を得た。
 《Download》と《ラウンジ》の得票も注目して良い。殆ど同盟関係を持たな
いまま、この得票を獲得したのである。
 そしてその得票能力が故に、単独板ながら《Download》が一つの勢力を
形成していくことになる。

○予選終了時〜本選抽選
 本選は予選とは異なり、定数1の小選挙区制下で行われる。
 経験則に従い、この制度下では2大政党制……この場合には2大ブロッ
ク制……に収斂する、ということは極めて確度の高い予想だった。
 決勝戦が2板によって争われるシステム上、これは「予想」というより確
定条件として扱ってよい事象である。
 むしろそれを前提条件とした上で、各中ブロックがどちらの陣営に属す
るか、そしてそれぞれのブロックの中心となるのはどの板であるのか……
予選が完了するよりも前に、既にそのことに分析対象は移行していた。
 一方の中心は《狼》。予選時に飛びぬけた得票を示した板である。彼ら
がトーナメントに途中で飽きて、勝負を放り出さない限り、この予測は揺る
がない(もっとも、飽きる可能性は低くなかったが)。
 もう一方の中心は、予選終了時ではまだ分からない。すでに大会に興味
を失った気配の濃厚な《ラウンジ》は除外されるとしても、他の3板のどれ
が中心を占めてもおかしくはなかった。

 しかし本選の抽選が行われた時点で、早くもその中心が確定してしまう。
 《Download》がAブロック。そして残りの《三戦》《競馬》が《狼》と同じDブロッ
クに属することになったのである。
 この状況下では、「決勝戦において」《狼》と対戦できるのは《Download》
のみ。
 《Download》と《狼》を中心とする二つの巨大ブロックによる決勝……予選
が終わり、本選の抽選が行われた時点で既に、この構図は半分決定して
いたわけである。
 それと同時に、《三戦》と《競馬》が最終的に《Download》側のブロックに
属することも確定する。《狼》と対戦し《Download》と対戦しない以上、他の
選択肢はない。
 また、中心である《ニュース速報》が一回戦で対戦する関係上、《Download》
と【連邦】が提携する可能性もなくなり、必然的に【帝国】と【連邦】は連携を
行うことになる。
 本選のトーナメント表が発表された時点で既に、これだけのことが「ほぼ
確定事項」になっていたのである。
(もっとも、私がこの構図に気付いたのは本選1回戦の途中であるし、抽選
時に確定されたことを確信したのは、この文章を書き始めた後であるのだが)

 この《Download》を中心とした巨大ブロックを、ここでは仮に[[二次元ブロッ
ク]]と表記することにしたい。このブロックには漫画・ゲーム・小説系などを対
象とする板が多く含まれていたからである。
 もう一方、《狼》を中心とした巨大ブロックをそれと対比させて[[三次元ブロッ
ク]]と呼ぶことにする。
 ただし、これらのブロック名称自体にはあまり意味はないことをご了承いた
だきたい。

○本選開始〜ブロック決勝
 さて「二大ブロック間の抗争」という構図が顕在化し方向付けられたのは、
早くも本選3戦目の「《ハングル》《ラーメン》《数学》戦」である。
 この戦いにおいて[[三次元ブロック]]の支援を受けた《ハングル》に対し、
[[二次元ブロック]]の支援を受けた《ラーメン》が勝利してしまうのである。そ
してその勢いを持って翌々「《Download》《ニュース速報》《鉄道路線・車両》」
においても[[二次元ブロック]]が勝利する。
 これ以降、「[[二次元ブロック]]と[[三次元ブロック]]の覇権争い」という構図
は、時に顕在化しつつ、時に潜在化しつつ本大会の勝敗を左右する要因で
あり続ける。

 またこの時点で同時に、本選全体を支配した
「《狼》に勝てるのは《Download》だけ」
「《Download》に勝てるのは《狼》だけ」
「《三戦》《競馬》に勝てるのは《狼》《Download》(この場合《狼》)だけ」
 という法則が完成してしまっていた。……当時は明確に意識していなかった
が、後から振りかえればそのことは明瞭である。
 あとは選対のモチベーションを維持し、同盟関係で大きなミスをしなければ、
この4板がそれ以外の時点で敗北するほうが困難だったわけである。
 無論、先に挙げた2つの条件を満たすのは(特に注目されている彼らだけ
に)並大抵の努力で可能なことでなく、それについては賞賛されて良い。

 対戦表の関係上勝ち残っていた、ブロックに属さない「無所属」の板につい
ては、「二大ブロック間の抗争」に組みこまれなかったが故に3〜4回戦の段
階において善戦しつつも敗北していくしかなかった。
 【連邦】に所属する板の多くのサーバーが破壊され、これがための混乱状
況により【連邦】が衰退したのがこの時期であることは、特筆されていい。
 以前から退潮気味だった【連邦】自体の支援能力とネットワークが、この事
件によってほぼ半減しているのである。

○準決勝〜決勝
 激戦の続く本選の中で一息ついた観のある準決勝。
 それは期せずしてそれぞれのブロックの内部での、「代表選挙」という性格
の濃いものであった。
 人柄(板柄?)の良い《羊》と《アーケード》が、それぞれ高い戦闘能力を持
つ《狼》と《Download》に敗北するというパターンであり、この2つの戦いはまる
で鏡に映したかのように同一の様相を示していることは興味深い。
 もう一つ、この両者には興味深い共通点がある。あくまで対戦表の結果な
のだが、《羊》と《アーケード》が《園芸》《モナー》《Leaf・Key》《プロレス》といっ
た大量の浮動票を見こめる板と対戦し、かつ勝利を収めているのである。
 しかしこの共通点が決勝戦に与えた影響は対照的と言うべきだろう。
 《羊》は《狼》ともともと兄弟板であり、勝利した板との対戦関係はそのまま
決勝戦の《狼》に持ち込まれることになった。
 対して《アーケード》は《Download》と近い距離を持っていたとは言えず、そ
の対戦関係は直接的には反[[二次元ブロック]]という投票行動には結びつ
いていない。
 完全に偶然の結果ながら、決勝戦に色濃く影響を与えた事象としてこの点
を指摘しておきたい。

 そして7月18日。二大ブロックによる総力戦としての最終戦。

 超越的な力を持つが故に、同盟を増やすことの薄かった[[三次元ブロック]]。
 自分を弱者の側に置き、積極的に同盟を増やしていた[[二次元ブロック]]。

 強いて言えばそういう色分けが可能であり、それが故に《狼》が敗北する結
果に繋がった。そう、言えなくもない。

 しかしこれはあくまでもあと付けの説明であり、試合が終わるその瞬間まで、
どちらが勝利すると言いきることはできなかった。
 ちょっとした諸事象のタイミングの差異、トーナメント対戦表の変化があった
ならば、結果はまた違ったものになったであろう。
 両者のふんばりは非常なものであり、彼らに勝敗を仮託する形になった各
板の努力もまた称揚に値するものである。

 ともあれ、恐れられていた板間の対立・反目も激しいものは発生せず、多く
の交流のきっかけとなった2ch のトーナメントは完了した。
 あまたの数の参加者、観戦者、そして運営の各人に対して最大限の敬意を
表しつつ、この長文の筆を置きたい。