中国文化と日本文化
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謎に包まれた東京のアンダーグラウンド

 古本屋で買った戦時中の東京地図が、ことの始まりだった。秋庭俊はそれを2002年版の最新市街図と見比べると、ふと気がついた。国会議事堂の周辺で、丸の内線と千代田線は旧地図では平行に走っているのに、新地図では交差している。
 「単なる間違いか。それとも何か隠されているか。」真相究明のために、調査が始まった。そして、ないはずの地下鉄がGHQ作成のインテリジェント・リポートに載っているのはなぜか?営団公表の図面に建築されていないはずの地下鉄がなぜ紛れ込んでいるのか?疑惑は疑惑を呼び、たったひとつの結論に導いていく。
 戦前にすでに東京には地下網が完備していた、と。
その証拠のひとつとして、著者は次のような事実を突きつける。
 「182 メートル 88 センチ 1 ミリ」。丸の内線・赤坂見附-四谷間にこのような半径のカーブがある。その手前のカーブは 400 メートル、その後は 200 メートルの半径になっている。十メートル刻みの数字が並んでいるなか、なぜか、ここだけがこれほど細かい数字なのだろうか。
 「このトンネルは、もともと、メートルで設計されてはいないのではないだろう」
 ふと、思いついて手帳を開くと、案の定、これはマイル法の二○○ヤードだった。日本でマイルが使われていたのは戦前に限られ、それも、ほとんどは明治大正の頃のことである。つまり、この部分のトンネルは戦前からここにあって、戦後、丸の内線はここまで建設を進めてこのトンネルを利用し、これを出たところから新たな建設を始めていることになる。もちろん、このトンネルを壊しつつ新たなトンネルをつくっていくこともできるが、それでも、「二○○ヤード」はここに戦前からトンネルがあったことを示している。……
 日本政府も東京都も営団地下鉄も、その事実をひた隠しにしているという。なぜだ?だいたい、縦横無尽の地下ネットワークを隠れてつくる必要がどこにあったのか?だれがなんのために、世間に知れない地下鉄を利用したというのか?
 次々と疑問が湧くが、それらを解こうとする手法は、きわめて地道である。地図と文献資料を渉猟し、わずかな手がかりを集積する。さらに、地下鉄の車内からトンネルの闇を凝視するのである。トンネル用のノートをつくって、連日いくつかの路線に乗り、蛍光灯の本数、線路の間の壁の有無、壁の変色の程度などをチェックして回ることもしている。こうして、東京の地下に眠る巨大な秘密が明るみに出された。
 しかし、著者は全てを書き明かしていない。天皇の「人間宣言」を拒否して、「神の国」を本気で信じる勢力が政権を握っている日本では、逆鱗に触れるような謎解きを読者に委ねるのも仕方ないことだろう。
 詳細は秋庭俊著『帝都東京・隠された地下網の秘密』(洋泉社、2002.12)を読まれたし。ここに目録だけを掲げておく。
 
序 七つの謎
 第1章 入れ換えられた線路
 第2章 一等不採用
 第3章 知られざる東京の地下
 第4章 地下は新宿を向いていた
 第5章 二〇〇ヤード
 第6章 戦前、ここにも地下鉄が走っていた
 第7章 帝都復興
 第8章 東京の下にはもう一つの東京がある
                                    王 勇(040316)

 

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