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奈良・平安期の日中文化交流――ブックロードの視点から

あとがき

                            王 勇

一九八九年、日本国際交流基金から科研費の交付を受けて、共同研究プロジェクト「中日漢籍交流史の研究」(代表者:王勇)がスタートを切った。爾来、メンバーの入れ替わりはあるものの、江大学日本文化研究所を主体とするグループが内外の支援に支えられながら、地味な研究を継続してきた。これらの成果は、おおよそ以下の諸書にまとめられている。

 ○中国典籍在日本的流伝與影響(陸堅·王勇共編、杭州大学出版社、一九九〇年)

 ○中日漢籍交流史論(王勇編、杭州大学出版社、一九九二年)

 ○中国館蔵和刻本漢籍書目(王宝平編、杭州大学出版社、一九九五年)

 ○中日文化交流史大系・典籍卷(王勇·大庭脩共編、浙江人民出版社、一九九六年)

 ○日中文化交流史叢書・典籍(大庭脩·王勇共編、大修館書店、一九九六年)

   ○日本蔵宋人文集善本鈎沈(厳紹編、杭州大学出版社、一九九六年)

 ○中国館蔵日人漢文書目(王宝平編、杭州大学出版社、一九九七年)

○江戸時代中国典籍流播日本之研究(大庭脩著、戚印平·王勇·王宝平共訳、杭州大学出版社、一九九八年)

あしかけ十年間、中日間における書物交流の歴史的考察、流出図書の現存状況の調査がほぼ一段落したところ、ここ数年は東アジア全域に視野をひろげ、書物交流の文明論的意義を解明することに、研究の重点を置くようにした。

右の構想は、幸いにも多くの師友から賛同を得て、実施に移すことができた。一九九九年に「東アジアのブックロード」の共同研究企画が国際交流基金に採用され、二〇〇〇年には国文学研究資料館に招かれて「ブックロード――中日書籍交流のメカニズム――」の共同研究を主催し、二年間の成果をほぼこの論文集に収録している。

書籍をめぐる十年余間の研究生活を振り返ってみると、戸川芳郎先生からは書誌学、大庭脩先生からは史料収集、中西進先生からは比較文明論、池田温先生からは文献考証などを、不敏ながら多く学ばせていただいた。ここで、学恩を蒙った諸師に深甚なる謝意を捧げたい。

本論文集に玉稿を賜わってくだった後藤昭雄教授、村井章介教授、田中隆昭教授、徳田武教授、新川登亀男教授は、それぞれの分野で国際的に知られる大家であり、未熟の学徒として編者二人は深い感激とともに、僭越の自責に良心を苦しめられる。

張競氏、蔵中しのぶ氏、王敏氏、銭国紅氏、王宝平氏は、編者と同世代の益友として、一貫して共同研究を精力的に支えてくださり、学問の追求と知的な趣味とを多く共有してきた。論文集刊行の喜びをまず右の諸氏と分かち合いたい。

日本国際交流基金と国文学研究資料館は、二年間の共同研究を手厚く支援してくださった。とくに松野陽一館長、岡雅彦副館長をはじめ、国文学研究資料館の方々には物心両面とも大変お世話になった。記して御礼を申しあげたい。

農文協の坂本尚専務と原田津常務は、商業的な利益を度外視して、本書の出版を快諾してくださった。知音に恵まれた恩をしかと心に銘じる。拙著『中国史のなかの日本像』(農文協、二〇〇〇年)の助産婦だった泉博幸氏が、本書の編集を担当してくださり、心強く感じる。

若手の俊才として前途無量の久保木秀夫氏が共同編者となってくれたことを幸運に存じる。氏の献身的なサポートと効率的な組織力がなければ、共同研究が順調にはかどることも、論文集がこのような形で世に問われることも、おそらく出来ないであろう。

王勇  二〇〇一年八月吉日

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