謎宮会 2000/ 3

島田一男


【略 歴】
 1907年京都市生まれ。複数の学校を転々とした後、30年に渡満、大連市役所勤務を経て満州日報社に入社。その直後に満州事変が勃発、第二次世界大戦へと突入したため、終戦までの十五年間は従軍記者としての日々を送った。この時の上司が山口海旋風であり、ほか大連第一中学校時代の先輩だった大庭武年とも親交を持っている。また勤め先の新聞の連載が中断した時は、その穴埋めとして「死人の丘殺人事件」などの習作を発表したこともあった。
 戦後は46年、《宝石》第1回短編懸賞に「殺人演出」を投じてデビュー(掲載は47年、なおこの時の同期入選に山田風太郎・香山滋など)。以降数々の短編を執筆、その傍ら48年には衒学趣味と物理的トリックを投入した第一長編『古墳殺人事件』を発表。続いて同傾向の第二長編『婦鬼系図(のち『錦絵殺人事件』と改題)』を刊行したが、知人の勧めによりスピーディーな展開と軽快な会話、人情話的な色彩で読ませる作風に転換し、49年の新聞記者もの第一作「拳銃と香水」で独自の境地を切り開く。51年には「社会部記者」その他の短編で第4回日本探偵作家クラブ賞を受賞した。
 その後は陸続とシリーズ・キャラクターを創造、初期の代表的シリーズには南郷次郎(55年『上を見るな』ほか)、加下千里(58年『拳銃を磨く男』ほか)、海堂次郎(60年「鉄道公安官」ほか)などがある。58年からはNHK連続ドラマ〈事件記者〉の脚本をひとりで担当し(66年まで継続)、高い人気を博した。脚本執筆から開放された後は『犯罪乱流』『最終都内版』など小説でも事件記者シリーズを展開。ほか単発でも『波の墓標』『人喰いの夜』などの長編、『Qを出す男』『女事件記者』などの連作短編集が多数ある。時代小説の著作も多い。
 73年には『科学捜査官』を発表、更なる新境地を開拓し、『迷宮捜査官』『国際捜査官』『女捜査官』『現場捜査官』など二十八作の捜査官シリーズを書き上げた。老境に至っても創作意欲は衰えず、『七色の裸婦』『極道探偵』などの連作短編集や〈湯の街ミステリー・シリーズ〉(86年『錦ヶ浦殺人事件』ほか)、鉄道警察隊(88年『走る捜査線』ほか)、八王子分署事件簿(93年『白樺山荘怪火事件』ほか)などの新シリーズを積極的に創造、最期までペイパーバック・ライターとして第一線で活躍し続けた。96年死去。
 生涯現役を貫き通した異色の多作家である。

(以上、葉山響作成)

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