謎宮会 1997/11

結城 昌治


【略 歴】

 1927年東京都に生まれる。日本版〈エラリイ・クイーンズ・ミステリ・マガジン〉が開催した第一回短編コンテストに「寒中水泳」を応募、第一席入選し59年にデビューした。初期長編には“ひげの刑事”郷原部長刑事が活躍する本格推理三部作『ひげのある男たち』『長い長い眠り』『仲のいい死体』(それぞれ59・60・61年)などがある。63年『夜の終る時』で日本推理作家協会賞、70年『軍旗はためく下に』で直木賞、85年『終着駅』で吉川英治文学賞を受賞。日本のハードボイルドを確立させた作家として名高く、世評高い私立探偵・真木の三部作『暗い落日』『公園には誰もいない』『炎の終り』(それぞれ65 ・67・69年)の他、『死者におくる花束はない』(61年)を始めとする私立探偵・佐久の軽ハードボイルド・シリーズ、『夜の終る時』に代表される悪徳警官もの、そして名作の誉れ高いスパイ小説『ゴメスの名はゴメス』(62年) など、さまざまなタイプのハードボイルドを開拓した。しかしその作風はハードボイルドのみに留まらず、デビュー時の本格推理に始まり、クライム・コメディ『白昼堂々』(65年)、SFタッチの『見知らぬ自分』(73年)、戦記文学『軍旗はためく下に』、時代小説『斬に処す』(71年)、伝記『志ん生一代』(77年)、ショート・ショート集『泥棒』(78年)など多彩なジャンルに挑戦 、そのいずれにも優れた成果を残している。「葬式紳士」「孤独なカラス」など短編の評価も高い。また俳人としても『歳月』『余色』の句集を刊行した。96年永眠、遺作は『泥棒たちの昼休み』。
 日本のミステリを海外のレベルに近づけた、偉大なる立役者の一人。

【全長編・連作短編/及び短編集(一部)】
  ☆『ひげのある男たち』(徳間文庫・絶版)
  ☆『長い長い眠り』(中公文庫)
   『罠の中』(集英社文庫・絶版)
   『隠花植物』(角川文庫・絶版)
  ☆『仲のいい死体』(角川文庫・絶版)
  ★『死者におくる花束はない』(講談社文庫・絶版)
   『ゴメスの名はゴメス』(中公文庫)
   『夜の終る時』(双葉文庫〈日本推理作家協会賞受賞作全集17〉)
  ★『死体置場は空の下』(講談社文庫・絶版、連作短編)
   『幻の殺意(幻影の絆・改題)』(角川文庫・絶版)
   『裏切りの明日(穽・改題)』(中公文庫・絶版)
   『夜は死の匂い』(集英社文庫・絶版)
  ◇『暗い落日』(角川文庫・絶版 → 講談社文庫・絶版〈改定版91年〉)
   『白昼堂々』(講談社文庫/大衆文学館)
  ★『死の報酬』(講談社文庫・絶版)
  ◇『公園には誰もいない』(角川文庫・絶版 → 講談社文庫・絶版〈改定版91年〉)
   『夜の追跡者』(角川文庫・絶版)
   『春の悲歌』(集英社文庫・絶版)
  ◇『炎の終り』(角川文庫・絶版 → 講談社文庫・絶版〈改定版92年〉)
   『軍旗はためく下に』(中公文庫)
   『不良少年』(中公文庫・絶版)
   『斬に処す』(角川文庫・絶版)
   『虫たちの墓』(講談社文庫・絶版)
   『魚たちと眠れ』(角川文庫・絶版)
  ◆『死者たちの夜』(角川文庫・絶版、連作短編)
   『見知らぬ自分』(角川文庫・絶版)
   『赤い霧』(中公文庫・絶版)
   『始末屋卯三郎暗闇草紙』(徳間文庫・絶版、連作短編)
   『志ん生一代 上・下』(朝日文庫・中公文庫)
   『仕立屋銀次隠し台帳』(中公文庫、連作短編)
   『泥棒』(集英社文庫・絶版、ショートショート全集)
  ◆『犯罪者たちの夜』(角川文庫・絶版、連作短編)
   『遠い旋律』(中公文庫・絶版)
   『真夜中の男』(講談社文庫・絶版)
   『死者と栄光への挽歌』(文春文庫・絶版)
   『逆流 オフィス・ラブ殺人』(角川文庫・絶版)
   『世界でいちばん優秀なスパイ』(集英社文庫・絶版)
   『花ことばは沈黙』(集英社文庫・絶版)
   『終着駅』(中公文庫・絶版)
   『森の石松の殺された夜』(徳間文庫・絶版、短編集)
   『エリ子、16歳の夏』(新潮文庫・絶版、連作短編)
   『怖い話と短い話』(中公文庫、短編集)
   『修羅の匂い』(文春文庫、連作短編)
   『決着』(新潮社、連作短編)
   『指揮者』(中公文庫、短編集 ※『エンドレス』から二編を割愛し、新たに「喪中につき」「某月某日、晴」の二編を加えたもの)
   『出来事』(中公文庫、短編集 ※結末に連作短編の趣向あり)
   『泥棒たちの昼休み』(新潮社、連作短編)

※ ☆は郷原部長刑事シリーズ
  ★は久里&佐久シリーズ
  ◇は私立探偵真木シリーズ
  ◆は弁護士シリーズ。

※『修羅の匂い』は私立探偵・流木が登場する連作であり、この流木は『出来事』の巻末短編にも登場している。

※ また、この他にも『ものぐさ太郎の恋と冒険』(73年)という童話があるらしいのだが、出版社が判らない。御存知の方、ご一報ください。

(以上、葉山響作成)

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謎宮会 webmaster:meikyu@rubycolor.org(高橋)

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