インターネットバックボーン


■ Tier1。階層1。

  インターネットの接続階位の最上位。
  インターネットはもともと米国を中心に発展してきたため、米国にある。
  米国以外の国が世界中と通信するには、
  海底ケーブルで結ばれている米国を経由することが多い。

  Tier1に位置する最上位ISPを、一般的にTier1ISPという。
  Tier1接続事業者は、すべてのISPの上流に位置し、
  全世界のどのプロバイダからもネットワークを借りる必要がない。
  Tier1ISPは、UUNET、SPRINT等、世界でも数社のみである。

■ Tier2。階層2。

  インターネットの接続階位の第2階層のこと。
  Tier2に位置するISPを、Tier2ISPという。
  Tier2のISPは、Tier1ISPに直接接続し、その下位に属する。

  Tier2に位置する国内のISPを、一般に国内1次ISPという。
  1次ISPは、国内のインターネット接続階位としては最上位に位置する。
  大手のISPは、おおむね1次ISPである。

  なお、1次ISPの下位に接続するふつうのISPのことを、
  さらに国内2次ISPと呼ぶことがある。 

■ トランジット。Transit。

  IPパケットの全インターネットへの中継を
  Tier1ISPや国内1次ISPなどの上位プロバイダに委ねる接続形態。
  ある上流ISPから有償でフルルートを購入すると、
  上流ISPが全インターネットへの経路を中継してくれる、というもの。

  ここでフルルートとは、インターネット上の
  すべてのネットワークに到達できるための経路情報をいう。
  フルルートはTier1のISPが保持しており、
  その総数は、2003年6月現在で約12万個にも及ぶ。

  通常ののISPが全インターネットへ接続するためには、
  Tier1やTier2のISPに物理的に接続するとともに、
  これらの事業者からフルルートを調達する必要がある。

■ ピアリング。Peering。

  ISP同士が対等な立場で接続し、
  互いに自ASの経路情報を無償で交換するもの。
  ピアリングを行なえば、両方法ASの範囲内に起着するパケットを、 
  直接にやり取りできる。
  
  トランジットを利用すれば、フルルートを得られるものの、
  その調達にかかる金銭コストは、
  トランジットに接続するバックボーン回線容量に比例して大きくなる。

  このため、国内ISPなど近接するISP同士は、
  相互にピアリングを行なうことによって、
  トランジットに流れるトラフィック量を節約している。

  なお、単にピアリングと言う場合には、
  ふつう2つのプロバイダが相互に同意し、
  直接物理的に接続するプライベートピアリング(個別相互接続)を指すが、
  広義にはIX接続を含む。

■ IX接続。Internet Exchange。

  IXとは、複数のISPを相互接続する地点や施設のことをいう。
  日本では実験用のIXであるNSPIXPのほか、
  商用のIXサービスとしてJPIXJPNAPMEXなどがある。

  ここに回線を乗り入れて、
  同じIXに接続する多数のISPとピアリングを行なうことをIX接続という。
  ふつうはLANスイッチを挟んでレイヤ2で接続し、
  ピアリングに同意した個々のISPが、互いの経路情報を無償で交換する。

  IX接続は、ピアリングの一形態であり、
  一般にIXに流すトラフィック量が増えるほど、
  トランジットに流れるトラフィック量を節約することができる。

  [ JPIX ]

    日本インターネットエクスチェンジ。
    KDDI、NEC、富士通などが出資して設立。
    1997年から商用ベースのIXを運用している。

    現在、100以上のプロバイダや企業がつながっており、
    2003年初めには、トラフィック量の最大値が20Gbpsを超えた。
    国内の商用IXとしては最大級のトラフィック量である。

    http://www.jpix.co.jp/jp/

■ シングルホーム。Single-Homed Network。

  シングルホームとは、
  外部との接続を1つしか持たないネットワークを指す。

  シングルホームで運用する場合は、
  ふつう上位ISPから提供される
  プライベートASとIPアドレスを利用する。

  このためシングルホームのネットワークは、
  インターネット上から見ると、
  上位ISPに含まれているように見える。

■ マルチホーム。Multi-Homed Network。

  マルチホームとは、
  複数の外部接続を持つネットワークを指す。

  マルチホームの場合、
  AS番号やIPアドレスを自ら取得し、BGPを運用する必要がある。

以上。

2004/03/24 pm


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