DOCSIS 2.0 セミナー受講ノート


■ DOCSIS2.0の背景

  今後CATVオペレータは、
  サーバ・クライアント型の(クリックアンドビュー型の)
  レガシーサービスだけでは、生き残れない状況にある。

  今後、PtoP(ピアツーピア)トラフィックが
  データ通信トラフィック全体の20〜30%を占めるようになってきた。
  ・容量の大きいファイルの交換(ナップスター等)
  ・音声・映像を利用するコミュニケーション(IP電話、テレビ会議)
  ・オンラインゲーム

  DOCSIS2.0を導入すれば、
  上り帯域幅を拡大し、対称型サービスを提供することが可能となる。
  新しいPtoPのサービスも、積極的に提供できるようになる。

■ DOCSIS2.0の重要な特徴

  DOCSIS2.0は、次のような重要な特徴を持っている。

  (1)変調方式に64QAMと128QAMを採用した。これにより、
       周波数の利用効率が1.5倍に向上し、上り通信帯域が3倍に向上した。
       →6.4MHzの周波数チャネルで、31Mbpsのスループットを実現した。

  (2)物理層の多重化方式(上り通信)に、S-CDMAとA-TDMAを採用した。
       A-TDMA=Advanced TDMA
       S-CDMA=Synchronous CDMA

  (3)MAC層において、論理チャネルの考え方が定義された。
       同一の周波数チャネルに複数の論理チャネルが共存できるようにした。
       →異なるバージョン、異なる変調方式でも混在が可能になった。

  (4)RF妨害に対する耐雑音性を向上した。
       リードソロモン符号化を改善し、誤り訂正機能を強化(16ビットまで)。
       インターリーブを採用し、バースト雑音への耐性を強めた。

  (5)DOCSIS1.0/1.1との互換性を確保した。
       DOCSIS1.0/1.1と、バックワードを共用できるようにした。
  
■ MAC層の変更点

  DOCSIS2.0では、
  1つの物理チャネル(RF周波数)に複数の論理チャネルを載せることにより、
  従来のDOCSIS1.0/1.1で使われているTDMA多重化方式と、
  新しくDOCSIS2.0で採用したA-TDMA、S-CDMAが相乗り(共存)できる
  ようになっている。

  DOCSIS2.0では、
  各々の論理チャネルは交替で信号を送ることになっている。
  つまり、1つの論理チャネルが信号を送っている間は、
  他の論理チャネルでは信号を送らない仕組みになっている。

  DOCSIS2.0の論理チャネルには4種類あり、
  ケーブルモデムごとに、どの論理チャネルを使うかを決定することができる。
  ・S-CDMA論理チャネル
  ・A-TDMA論理チャネル
  ・A-TDMA/DOCSIS1.x混在論理チャネル
  ・DOCSIS1.x論理チャネル

  CMTSとケーブルモデムとの間で同期を取る方法は、
  従来のDOCSIS1.0/1.1では「タイムスタンプ」のみだったが、
  S-CDMAの場合には、より精密な同期方法
  (下りシンボルクロックから上りシンボルクロックを取る)を使用する。

■ 物理層の変更点

  従来のDOCSIS1.0/1.1の変調方式は、QPSKと16QAMしかなく、
  最大スループットは約10Mbpsだった。
  しかし、新しいDOCSIS2.0では、8QAM、32QAM、64QAMも採用することにより、
  最大31Mbpsのスループットを出せるようになった。

■ 運用システムの変更点

  DOCSIS1.0/1.1では、IETF標準のRFC2670をMIBとして使っていたが、
  DOCSIS2.0では、新しいMIBを策定して、これを使うことにした。
  現在、この新しいMIBは、現在IETFでRFC化されつつある。

■ 標準化の動向

  DOCSIS1.0/1.1は、ITU-T勧告J.112により、国際標準となっている。
  また、下り信号については、ITU-T勧告J.83にも規定されている。
  日本国内仕様は、Annex C と呼ばれている。

  DOCSIS2.0は、ITU-T勧告J.122に規定される見込みである。
  日本仕様は、Annex J となる。

2002/08/29 am


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