イーサネット概要


■ イーサネット。Ethernet。

  最も普及しているLANの伝送技術であり、LANの代名詞。
  1973年以来、DEC社、インテル社、ゼロックス社によって開発され、
  現在では、IEEE 802.3分科会が標準化を進めている。

  最初に公開されたイーサネット仕様は、
  DEC社、インテル社、ゼロックス社の3社が共同で開発したもので、
  3社の頭文字をとってDIXイーサネットと呼ばれる。
  3社は、これを1980年に開催されたIEEE 802委員会に
  「Ethernet 1.0」規格として提出、
  さらに1982年に開催されたIEEE 802委員会では
  「Ethernet 2.0」の規格を提出した。

  この動きに並行して、IEEEは1980年2月、
  LAN技術の国際標準策定を目的としたプロジェクトとして
  IEEE 802プロジェクトをスタート。
  1983年には国際標準仕様、IEEE 802.3 CSMA/CDを策定した。
  さらにこれを補完する仕様としてIEEE 802.2 LLCを策定した。
  こうして、イーサネットは今や
  押しも押されもせぬ代表的なLAN技術の地位を獲得した。

  DIXの仕様とIEEEの仕様はほぼ同じだが、
  全く同一と言うわけではなく、そのままでは互換性がない。
  すなわち、DIX仕様はフレームヘッダ内にタイプフィールドを持ち、
  直接的に上位層プロトコルの識別が可能であるが、
  IEEE仕様では、これを長さフィールドに替えてしまったため、
  LLCヘッダ等を使って初めて上位層の識別ができる。

  ふつうは、両仕様をまとめてイーサネットと呼んでいるが、
  DIX仕様のイーサネットをEthernet U、
  IEEE仕様のイーサネットをIEEE 802.3などと
  区別して表現している場合もあるので、  
  どちらのフレーム仕様を指しているのか、注意が必要である。
  なお、現在のTCP/IPではDIX仕様のフレームを使用している。

■ イーサネットのプロトコルスタック。

  イーサネットは、
  OSI参照モデルの物理層とデータリンク層を規定している。

  IEEEでは、さらにデータリンク層を、
  MAC副層とLLC副層の2つに分けて定義しており、
  IEEE802.3委員会では、このうち物理層とMAC副層の仕様を担当し、
  IEEE802.2委員会では、LLC副層の仕様を担当している。
  また、それ以上のレイヤはIEEE802.1委員会が担当している。

  

  (1) 物理層

    イーサネットの物理層は、
    IEEE802.3委員会が標準化を進めている。
    具体的には、ケーブルの種類、符号化方式などを規定する。

    最初の802.3プロトコルは、同軸ケーブルを使用する10BASE5で、
    ついで10BASE2がリリースされた。
    その後、1990年にUTPを利用する10BASE-T規格が追加された。

  (2) MAC副層。Media Access Control Sublayer。

    イーサネットのデータリンク層のうち下半分をMAC副層と呼び、
    IEEE802.3委員会が標準化を進めている。

    MAC副層は、イーサネットのMAC関連の機能のすべてを担っており、
    伝送メディアへのアクセス制御の方法(CSMA/CD)や、
    伝送フレームの形式(MACフレーム)などを定めている。

    IEEEが規定するMAC副層プロトコルは複数あり、
    ほかにIEEE802.4(Token Bus)、IEEE802.5(Token Ring)などがある。

  (3) LLC副層。Logical Link Control Sublayer。

    イーサネットのデータリンク層のうち上半分をLLC副層と呼び、
    IEEE802.2委員会が標準化を進めている。

    LLC副層は、下位プロトコル(伝送メディア)の違いを吸収し、
    これらの違いに依存しない論理的な部分を規定する。
    例えば、ネットワーク層PDUをフレーミングする方法や
    FCSによるラー制御、MAC副層アドレッシングなどを定めている。

    またはLLC副層は、IEEE802.3と
    DIXイーサネットとの互換性を持たせる役割も担っており、
    このためにLLCヘッダやSNAPヘッダが用いられる。

  (4) それ以上

    IEEEが定める種々のLAN仕様に共通のプロトコルを規定する。
    例えば、スパニングツリーを定めたIEEE802.1Dや、
    VLANの仕様を定めたIEEE802.1Qなどがある。

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2004/03/02 am


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