IPX / Internet Packet Exchange


■ Novell NetWare。

  Novell社が開発したサーバ用OS。主な用途はファイルサーバ。
  クライアント/サーバモデルに厳密に従う点が特徴。
  また、IPX/SPXプロトコル群をデフォルトで使用する。

  ネットワークOSのデファクト標準として、
  1980〜1990年代前半にかけて、一般の企業に広く採用されたが、
  WindowsNTの出現以降は、下火である。

■ IPX/SPX。

  米ゼロックスが開発したXNSプロトコルをベースに、
  Novell社が開発したもの。

  OSI基本参照モデルの第3層/第4層を中心に、
  TCP/IPと同様の層状のプロトコル群を構成する。
  IPX/SPXでは、上位層プロトコルの識別に、ソケットを使用する。
  これは、TCP/IPにおけるポートに相当するものである。

  IPX/SPXプロトコル群は、
  企業向けサーバOSであるNovell NetWareのデフォルト・プロトコルとして、
  NetWareとともに広く普及したが、現在はTCP/IPに地位を譲った。

■ IPX。Internet Packet Exchange。

  IPX/SPXプロトコルスタックの中心となるプロトコル。
  OSI参照モデルのネットワーク層とトランスポート層の機能を併せ持つ
  コネクションレス型プロトコルである。
  TCP/IPにおけるIP+UDPと同様の役割を持つ。

■ IPXアドレス。

  IPXアドレスは、全部で10バイト(80ビット)から成る。
  4バイト(32ビット)のネットワークアドレスと、
  6バイト(48ビット)のノードアドレスで構成される。
  通常は16進数で表記する。
  例:00007C80:0000:8609:33E9

  ネットワークアドレスは、
  サーバーのインタフェースに割り当てておけば、
  クライアントをネットワークに接続したときに
  自動的にクライアントに通知される。
  一方、ノードアドレスは、通常の場合、
  NICにふられたMACアドレスをそのまま利用する。

  このため、個々のパソコンに手動でアドレスを設定したり、
  DHCPを走らせたりする必要がない。ARPも不要である。

■ SPX。Sequenced Packet Exchange。

  OSI参照モデルのトランスポート層の機能を持つコネクション型プロトコル。

  コネクションレス型のネットワーク層プロトコルであるIPXと
  一緒に用いることにより、IPX通信に確実性、信頼性を付与する。
  つまり、TCP/IPスタックにおけるTCPに相当する役割を持つ。

■ SAP。Service Advertising Protocol。

  IPXネットワークにおいて、
  各サーバが各自のサービス情報を交換するためのプロトコル。
  OSI参照モデルのトランスポート層で動作する。

  全てのNetWareサーバは、60秒ごとにブロードキャストを送出して、
  お互いに提供できるサービスの情報を交換する。
  また、 NetWareサーバはSAPテーブルを保持しており、
  こうして全サーバで情報を共有する。

  Ciscoルータもまた、SAPに関する限り、NetWareサーバと同様に動作する。

■ GNS。Get Nearest Server。

  NetWareクライアントが、
  最寄りのNetWareサーバを探し出すためのプロトコル。

  クライアントは自分が利用したいサービスを提供するサーバの場所を知るために、
  GNSリクエストをブロードキャストする。
  GNSを受け取ったサーバ(ルータ)は、
  自身のSAPテーブルからリクエストに合致するサーバを検索した上で、
  クライアントに対してGNSリプライを送出し、
  要求されたサーバの位置(ネットワークアドレス)を教える。

■ NetWare Core Protocol。

  IPXネットワーク上で、
  NetWare自身がファイルサーバとしての機能を提供するプロトコル。
  具体的には、ファイルアクセス、印刷、同期、セキュリティなどの機能を
  提供する。

■ IPX-RIP。IPX-Routing Information Protocol。

  IPX網に適用するディスタンスベクター型ルーティングプロトコル。
  RIPルータは、IPXルーティングテーブルを保持し、
  60秒ごとにブロードキャストを送出して、経路情報を交換する。

  メトリックには、ティックスとホップ数の2つを用いる。
  ティックスとは、リモートネットワークに到達するまでの遅延時間を
  1/18秒単位で表した数値である。
  IPX-RIPは、基本的にはこのティックスで最適経路を計算し、
  ティックすが同値の場合にのみ、ホップカウントを使用する。

  IP通信におけるRIPと同じ名前だが、中身は全く別物である。

■ NLSP。NetWare Link Services Protocol。

  IPX網に適用されるリンクスステート型ルーティングプロトコル。
  RIPとSAPの後継としてNovell社が独自に開発したもの。

■ カプセル化方式

  IPXをイーサネットでカプセル化する場合、
  以下の4種類のカプセル化方式を使用できる。
  
  +-----------------------+-----------------+
  | Novell                | Cisco           |
  +-----------------------+-----------------+
  | Ethernet_802.3 (Raw)  | novell-ether    |
  +-----------------------+-----------------+
  | Ethernet_802.2 (LLC)  | sap             |
  +-----------------------+-----------------+
  | Ethernet_SNAP         | snap            |
  +-----------------------+-----------------+
  | Ethernet_II           | arpa            |
  +-----------------------+-----------------+

  Ethernet_802.3は、NewWare3.11以前のデフォルト、
  Ethernet_802.2は、NetWare3.12以降のデフォルトのカプセル化方式である。

  ※ 上記の4種類のフレームタイプには互換性がない。
     このため、同一のセグメントにおいては、
     全デバイスのフレームタイプを一致させる必要がある。

     もしも異なるフレームタイプを使う場合には、
     異なるフレームタイプを使うホスト間では通信ができない。
     仮想的に複数のネットワークが存在することになる。

以上。

2004/01/09 pm


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