マルチキャストバックボーン
■ MBone / Multicast Backbone インターネット上に仮想的に構築された IPマルチキャスト実験基盤ネットワーク。 1992年3月に、米ゼロックス社 パロアルト研究所の S.ディーリング(S.Deering)氏が中心となって始めたプロジェクト。 同年のサンディエゴIETF会議の模様を、インターネット経由で、 3大陸20サイトに向けて、リアルタイムで放送したのが始まり。 一般にインターネットの構成機器はIPマルチキャストに対応していない。 このためMBoneでは、各マルチキャストサイトのルータ間では、 IPトンネリング技術を使用している。 ここでトンネリング技術とは、 IPマルチキャストのパケットを IPユニキャストのパケットでカプセル化して運ぶことである。 こうすれば、IPマルチキャストパケットを、 IPユニキャストのインターネット上で、透過的に転送できる。 MBoneの目的は、IPマルチキャスト関連の通信技術を開発したり、 新しいIPマルチキャスト用アプリケーションをテストすることにある。 いわゆる、テストヘッドとして機能している。 当初、MBoneルータの大多数は、 ルーティングプロトコルとしてDVMRPを使用してきた。 しかし現在では、より大規模網に適したPIM等の採用が進んでいる。 1997年時点の資料では、 25カ国以上、3,400超のサブネットがMBoneに接続している。 現在はさらに拡大していると思われるが、規模は不明である。 日本国内にも、MBoneと接続したマルチキャスト網であるJP-Mboneがある。 参照URL http://www.jepg-ip.ad.jp/ipm96/doc/tutorial/Mbone/ ■ JP-MBone 日本版MBone。 日本国内にある、IPマルチキャスト実験ネットワーク。 国際的なIPマルチキャスト基盤網であるMBoneに接続されている。 JP-MBoneは、国内のマルチキャストバックボーンとして、 北は北海道から、南は沖縄までと広域に構築されており、 会議の模様の実況中継実験などに利用されている。 1992年7月のボストンIETFの模様を国内に中継するために、 日本から本家MBoneに接続したのがJP-MBoneの始まりである。 正式な運用は、1992年11月、WIDEインターネットで始まった。 現在も、WIDEプロジェクトを中心として実験運用が続いており、 多数のインターネットプロバイダが接続している。 JP-MBoneは、AS9616を取得している。 国内ネットワークはDVMRPで運用されているが、 国内マルチキャストIXと海外向けの接続については、 2002年以降、PIM-SM化することで合意している。 以上。 2003/07/01 pm