MPEG / Moving Picture Experts Group
■ MPEG。エムペグ。 デジタル動画像の符号化に関する国際標準化活動を進めているISO配 下の専門家グループ名。または、そこで決められた動画像の圧縮技術の 名称。ふつうMPEGといえば動画の圧縮技術を指し、団体名を MPEG委員 会と呼んで区別する。 MPEG-1からMPEG-4までの複数の規格があり、それぞれ、想定する媒体 や実現できる画質、必要な通信速度が異なる。なお、MPEGには、音声デ ータの圧縮も含まれる。 簡単な原理としては、動きのある画像の変化に対してその差分だけを記録 していくことで、圧縮を実現する。 ■ MPEG-1。Moving Picture Experts Group phase 1。 CD-ROMなどの蓄積メディアでの保存/再生を想定して標準化されたデジ タル動画符号化方式。電気通信分野での動画圧縮技術であるH.261を ベースに、1993年3月に策定された。 適用領域は、1.5Mbpsまでのデータ転送レートをもつ CD、ハード・ディス ク、DAT、MOなどのデジタル記憶媒体。再生品質は、VHSのビデオ並み。 ビデオCDなどに採用されている。 ■ MPEG-2。Moving Picture Experts Group phase 2。 放送メディアでの使用を考慮した動画像符号化方式。1995年3月に標準 化された。再生品質は、ハイビジョンテレビ並みと、MPEG-1より高画質。 S-VHSのビデオ並み、またはそれ以上の画質と言うことも。音声の符号化 にはAACを用いる。 CS放送(DirecTV/SKY PefecTV)、BSデジタル放送などの衛星放送 や、地上波デジタル放送、DVDビデオなど、広範囲に利用されている。 再生時には、動画と音声を合わせて4〜15Mbps程度のデータ転送速度 が必要。720×480ドットの画像を1秒間に30コマ表示する。 ■ MPEG-3。Moving Picture Experts Group phase 3。 ハイビジョン放送用に想定されたものだったが、MPEG-2規格に包括でき たため、MPEG-3という規格そのものが存在しない。 ■ MPEG-4。Moving Picture Experts Group phase 4。 携帯電話(IMT-2000)や電話回線(ISDN)などの通信速度の低い回線を 通じた、低画質で高圧縮率の映像の配信を目的としたもの。具体的には、 動画と音声を合わせて64kbps(〜384kbps)程度での再生を想定してい る。基本規格のVersion 1(1999年3月)、上位互換のVersion 2 (2001年3月)がある。音声圧縮には、AACを採用。 MPEG-4は、圧縮率の向上だけでなく、移動体通信を想定したエラー耐性 機能の強化や、テレビ電話での自然な会話を想定した低遅延性の実現な どの特徴がある。また処理負荷が軽く、端末の低消費電力化にも適してい る。 ■ MPEG-7。Moving Picture Experts Group phase 7。 コンテンツの検索性を高めるために必要な記述子の標準化を目的とした規 格。ビデオやオーディオなどのマルチメディア・ファイルへのアクセス能力 を拡大する。正式な名称は、マルチメディアコンテンツの記述インターフェ ース(Multimedia Content Description Interface)と呼ぶ。 2001年に標準化された。 コンテンツの数が膨大になり、個人による管理が追いつかなくなる時代を 想定し、ホームサーバが各コンテンツの属性・特徴量をもとに自動的に管 理し、必要時に検索エンジンで検索できるようにするもの。 ■ MPEG-21。 Moving Picture Experts Group phase 21。 マルチメディアの各種標準化ツールを統合しようとするもの。 マルチメディアフレームワーク(Multimedia Framework)と呼ばれる。 詳細は不明。 ■ MP-3。MPEG Audio Layer-3。エムピースリー。 MPEG-1の規格のうち、オーディオ部分に相当する圧縮技術を採用したも の。オーディオCD並の音質を保ったまま、データ量ファイルサイズを大幅 に圧縮できるため、オーディオプレーヤー等でよく使われる。 MPEG-1規格には、MPEG-1ビデオとMPEG-1オーディオがある。 MPEG-1オーディオには、異なる3つのレイヤがある。Layer-1(圧縮率 約1/4)、Layer-2(圧縮率約1/7)、Layer-3(圧縮率約1/11)。MP-3 の圧縮率が最も高い。 ■ MPEGのまとめ。 ---------+---------------------------+------------------------------- フェイズ | 符号化ビットレート(目安)| 主なアプリケーション ---------+---------------------------+------------------------------- MPEG-1 |1Mbps程度 | ビデオCD ---------+---------------------------+------------------------------- MPEG-2 | 4〜10Mbps程度 (SDTV)| DVD | 数十Mbps (HDTV)| 地上波・BS・CS・CATV ---------+---------------------------+------------------------------- MPEG-4 | 〜384Kbps (QCIF)| TV電話、移動体通信 | 128Kbps〜2Mbps (CIF) | インターネット | 15Mbps程度 (SDTV)| 放送用途 | 38.4Mbps (HDTV)| 放送用途 ---------+---------------------------+------------------------------- MPEG−7 | − | EPG、ホームサーバー応用 ---------+---------------------------+------------------------------- 2003/07/04 pm