RIP / Routing Information Protocol




■ RIP。Routing Information Protocol。リップ。 

  ディスタンスベクター型のルーティングプロトコル。
  IGPとして最も古くから使われてきた歴史がある。
  RIPは、UDP上で動作する。ポート番号は520。
  ルーテッドプロトコルは、IPのみをサポートする。

  RIPには2つのバージョンがある。
  最初のバージョンはRIPv1で、RFC1058に規定されている。
  RIPv1は経路情報の更新時にサブネットマスクを送信できない仕様になっている。
  このため、クラスフルルーティングのみで、CIDR/VLSMを使うことはできない。

  現在主流なのはRIPv2。これは、RFC1721〜4に規定されている。
  一方RIPv2では、この点が改善され、クラスレスルーティングに対応している。

■ ディスタンスベクター型ルーティングアルゴリズム。





■ スケーラビリティ問題。

  RIPのメトリックはホップ数のみ。許容するホップ数は15まで。
  もしもルータが、ホップ数15の経路情報を受け取った場合は、
  その経路情報をすぐに廃棄し、次のルータには配信しない。

  30秒に1回ルータ間で経路情報(UDPブロードキャスト)を投げる。
  ルーティングテーブル全体を交換する。このため収束時間が長い欠点がある。
  ルーティングループが発生しやすい。

  上記の2つの理由から、小規模ネットワークにのみ適用される。

■ RIP/RIP2タイマー

  ルーティングプロトコルにはいくつかのタイマーがある。

  

■ RIPの動作。

  1) ルーティング更新タイマー。Update。

  30秒に1回ルータ間でルーティングテーブル全体を交換する。 
  変更された部分が1個であっても、経路表全体を交換する。
  トポロジに変化が無くても、必ず交換する。

  2) ルート無効タイマー。Invalid。 

  あるルートについての更新情報が180秒間連続して途絶えた場合、
  このルートを無効と判断する。
  このとき、すべての隣接ルータにそのルートが無効であることを通知する。

  3) ホールドダウンタイマー。Hold Down。

  ルートが無効と分かってから180秒間は、
  当該ルート情報の定期更新(無効の事実を知らないルータから届く経路情報)
  を受け付けない。

  4) ルートフラッシュタイマー。

  ある経路に関するアップデート情報が、240秒間連続して途絶えた場合は、
  その経路エントリを、経路表から削除(フラッシュ)する。 

■ RIPタイマーのまとめ。

  

■ ルーティングループ。Routing Loop。

  経路情報を“定期的に”交換する距離ベクトル方式では、必然として、
  大規模になればなるほど経路の収束(コンバージェンス)に時間がかかることになる。

  このため、各ルータの経路表の更新が同時にできず、
  結果としてルーティングループ(無限カウント)が発生する等の問題点がある。

  ※ IPパケットには、TTL(=64)フィールドがあるので、
  本当に無限にループする訳ではないが、帯域を無駄に消耗することは変わらない。

■ ルーティングループ対策。

  ルーティングループの解決方法は、
  全部で6つあり、複数の方法を組合わせて使用される。

  1) 最大ホップ数の定義。

  ホップ数に許容上限値を設けること。
  たとえば、RIPの最大許容ホップ数は15である。

  2) スプリットホライズン。Split Horizon。

  ルート情報を受信したとき、同じインターフェースからは
  当該ルート情報を送り返さないようにすること。 
  (お前に冗談を言った奴に、同じ冗談を言うな)

  3) ルートポイズニング。

  ホップ数16(到達不可能)を設定したルート情報を
  全ての隣接ルータに送出することにより、
  当該ルートがダウンしていることを明示的に示すこと。

  4) ポイズンリバース。

  ルートポイズニングを受信した場合に、
  受信インターフェースから同じ情報を送り返すこと。
  ポイズンリバースは、スプリットホライズンに優先するので、注意する。

  (ルートポイズニングを受信したルータは、
  すぐにルート情報を消去(フラッシュ)するわけではなく、
  しばらくはPossibly Downという印を付けて、そのエントリを保持する。)

  5) ホールドダウン。

  ルートがダウンしたと分かってからしばらくの間は、
  当該エントリの定期更新を停止したまま、じっと待っていること。
  不適切なルート(フラッピングするルート)がすぐに復活しないようにする。

  ホールドダウンは、
  トリガーアップデートでより適したメトリックの情報を受け取った場合や、
  タイマーが時間切れになったときに限って、解除される。

  6) トリガーアップデート。

  インターネットワーク内で変更が検出されたときに、
  定期的な更新を待つことなく、すぐに経路情報を送信すること。

■ 等コスト負荷バランシング。Load Balancing。

  メトリックが同値の経路を複数持つ場合、
  それぞれのルートにトラフィックを等しく分配する方法。

  RIPは、等コスト負荷バランシングをデフォルトでサポートしている。
  このため、最大6本の同じメトリック値のリンクに、
  トラフィック負荷を分散させることができる。

  ただし、RIPはメトリックとしてホップ数のみを使うため、
  リンクの帯域幅を無視して、均等に配分する。
  このためピンホール輻輳が起こる場合がある。

  他にOSPFも、等コスト負荷バランシングをサポートしている。
  コスト均等負荷バランシングと呼ぶ場合もある。

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  RIPは、ルーティングプロトコルの中では最も簡単なもの
  プロトコルの実装が軽いため、低価格ルータでも対応している
  スケーラビリティが低く、ルータを多数使用する網には適さない

  RFC1858に規定されており、以下の4つのバージョンが有る
  RIPv1 ―― クラスA・B・Cしか対応できない
  RIPv2 ―― 現用、VLSM(可変長サブネット)に対応したもの
  RIPng ―― IPv6に対応したもの

  制御パラメータ(経路情報としての優先度を表す、前述)としては
  「Metric(メトリック)」を使用する
  これは最大値が16までなので、16ホップ以上の網では使えない

以上。

2004/03/24 pm


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