SONET/SDH
■ SONET/SDH。 Synchronous Optical Network/Synchronous Digital Hierarchy。 光ファイバによる高速デジタル通信方式の国際規格。 音声、データをを問わず、複数の回線を束ねて効率よく伝送できるため、 通信事業者の基幹網に広く用いられる。 OSI参照モデルでは、物理層の仕様に相当する技術である。 SONETとは、米ベルコア社が開発した技術をベースにして、 ANSIが策定した北米標準仕様である。 またSDHとは、SONETをベースにして、CCITT(現ITU-T)が 世界統一インターフェースとして標準化したものである。 この両者は、ベースは同じ技術であり、 156Mbps以上では基本的なフレーム構成も同一であることから、 併せてSDH/SONETと称するが、 詳細な仕様には違いがあり、混在すると十分な性能が発揮できない。 ■ インターフェース速度 SONETとSDHでは、インターフェースの名称が異なる。 SDHでは「STM-n」、SONETでは「OC-n」と表記する(nは自然数) SONET/SDHを採用する多くの通信事業者は、 622Mbps(OC-12/STM-4)や2.4Gbps(OC-48/STM-16)、 または10Gbps(OC-192/STM-64)で幹線網を構築している。 【 多重化インターフェース 】 SONET/SDHでは、高速インターフェースを そのまま単一のチャネルとして使用することもできるが、 低速インターフェースを階層的に多重化することもできる。 また、ンターフェース同期がとられているため、 低次群から高次群まで、一気に飛び越し多重をすることも可能である。 (例)1.5Mbps×84本多重→156Mbps、 156Mbps×16本多重→2.4Gbps ■ フレームフォーマット。 STM-1/OC-3のフレームは、 9行×270列の配列(2430バイト)が基本構成であり、 オーバーヘッド部分 9行×9列と ペイロード部分 9行×261列からなる。 このうちオーバーヘッド部分には、以下のようにSOHとAU PTRが含まれる。 (1) セクションオーバーヘッド(SOH) 保守運用上必要な情報を格納するフィールド。 @ 伝送路切替情報 A 中継装置が検出した故障情報 B 符号誤り監視 C 建設工事や試験調整時の音声打合せ信号 (2) 管理ユニットポインタ (AU PTR=Administrative Unit Pointer) 低速データが格納されている位置を示すフィールド。 このフィールドを参照すれば、 どの回線の信号がどの位置に多重化されているかがすぐに分かり、 任意の低速データを取り出せすことができる。 【 フレームの多重化 】 SONET/SDHでは、高速チャネルのペイロード部分に より低速なチャネルのフレームを複数格納して伝送することができる。 手順@ 低速データを"コンテナ"と呼ばれる箱に収容する。 手順A コンテナ個々にPOHを付加して、"バーチャルコンテナ"を形成する。 (POH=単位区間ごとの運用管理情報) 手順B 複数の"バーチャルコンテナ"を高速フレームのペイロードに格納し、 オーバーヘッド部分にAU PTRを付加する。 ■ SONETリング。 SONET/SDHの網トポロジは2重リング型であり、 きわめて信頼性・耐障害性の高いネットワークを実現することができる。 このリング構成のことを、一般にSONETリングと呼ぶ。 SONETリングでは、一方の経路に障害が発生しても、 瞬時(50ms以内)に逆周りの経路にデータを迂回し、継続的にサービスを提供できる。 この切替え方式を「プロテクション」と呼ぶ。 なお、SONETリングの構成方法には、UPSRとPLSRの2種類がある。 (1) UPSR。Uni-directional Path Switched Ring SDHでは、SNC(Sub Network Connection Protection)と呼ぶ。 リングの一方向に現用系のトラフィックを送信しながら、 常に反対回りに予備系のデータを流しておく運用方法。 伝送路の帯域の半分は実運用には使えないという欠点がある。 (2) BLSR。Bi-directional Line Switched Ring SDHでは、MS SPRing(Multiplex Section Shared Protection Ring)と呼ぶ。 順周りと逆周りの2つの経路のうち一方の経路のみを使用し、 送受信の両方のトラフィックを運ぶ運用方法。 障害時は故障箇所の両端のADMでループバックさせる。 予備系を確保しないため、リンク容量を確保できる利点がある。 ■ ADM。Add-Drop Multiplexer。 SONET伝送装置の一種。 SONET伝送路に信号を出入れ(add/drop)するための多重化装置。 SONETリング内に数珠繋ぎに配置され、 複数の低速チャネルを、高速チャネルに対して出し入れする。 参考URL 富士通 FLMシリーズ http://www.ustelecomsupply.com/fujitsu.htm ■ IP over SONET。 IPパケットをPPPフレームに埋め込み、 PPPフレームをSONET伝送路上で非同期に転送する手法のこと。 Packet over SONET(POS)ともいう。 ※ ふつう、IPをSONET上で転送するには、 ATMセルに分割してからSONETに載せる方法を採るが、 POSでは、IPをSONETに直接載せる形になる。 ATMセルに分割するとオーバーヘッドが大きくなるほか、 パケットの一部セルを紛失した時に すべて再送することとなり、転送効率が悪いためである。 以上。 2004/02/26 pm