VLAN / Virtual LAN
■ VLAN。Virtual LAN。ブイラン。 L2スイッチの機能の1つ。 ポート配下の端末を複数の論理的なグループにまとめ、 それぞれを異なる独立したLANとして認識すること。 VLAN機能は、フレームの転送をグループ内だけに限定する。 端末は、同じVLANの端末とは通信できるが、 異なるVLANの端末とは通信できない。 これにより、セキュリティの向上を図ることができる。 VLAN間で通信するには、ルータ等が必要である。 VLANはまた、ブロードキャストドメインを分割できる。 このため、既存網の物理的なトポロジに関わらず、 論理的にネットワークを再構築することが可能である。 ■ ポートベースVLAN。ポートVLAN。 スイッチの物理ポート毎にVLAN属性情報を割り当てる方法。 各ポートに静的にVLAN情報を割り当てる方法(スタティックVLAN)が、 最も一般的。 ポートベースVLANでは、 複数のスイッチで構成されたネットワークでVLANを組む場合、 設定したVLANの数だけケーブルを渡す必要があり、 ポート数の消費も大きい。ケーブルの引き回しも大変。 ■ トランク化。トランキング。 スイッチ間をまたがってVLANを構築する場合、 またはVLANをルータやサーバに接続する場合に、 VLANを1本の物理ケーブルに集約すること(トランクリンク)。 1本の物理ポートを複数のVLANに所属させ、複数のVLAN属性情報をやり取りする。 ただし、スイッチ間の場合は、同時に複数のVLAN通信を行うことはできない。 ※ スイッチの接続ポートには、 アクセスリンクとトランクリンクの2種類ある。 アクセスリンクとは、単一のVLANに所属する接続で、クライアントPCを接続する。 トランクリンクは、複数のVLANにまたがったフレームを伝播する接続をいう。 他のスイッチやルータ、サーバを接続する。 ■ タギング。タグVLAN。Tagging。 スイッチ間をまたいでVLAN通信を実現する方法。 基本MACフレームにVLANのグループ番号を示すタグ情報(タグ・ヘッダ) を追加した「タグ付きMACフレーム」を使用することで フレーム単位でVLAN属性を付与する。 VLANをサポートした複数のスイッチ間は、 この情報を参照することにより、 あるイーサネット・フレームがどのVLANに属しているかを識別し、 受け渡しすることができる。 VLANタグは、アクセスリンクで付与、削除される。 このため、エンドデバイスがVLANタグを意識することはない。 タグのフォーマットは、IEEE802.1Qやシスコ社のISLがある 。 ■ IEEE 802.1q。 IEEEが策定したVLANタグの国際標準フォーマット。 基本MACフレームの内部(ヘッダの後ろ)に VLAN識別フィールドを挿入する方法を採る。 ただしこのフィールドを使用する場合は、 フレームの最大サイズは、1518オクテットではなく、1522オクテットとなる。 規格上で最大4,094個(※)のVLANを設定できる。 Cisco Catalyst1900シリーズは、IEEE802.1qをサポートしてない。 ■ タグヘッダ。 タグヘッダ。 基本MACフレームに付加する4バイト長の拡張フィールド TPID (tag protocol identifier)フィールド(2バイト) 付加したタグのプロトコルを指定する TCI (tag control information)フィールド(2バイト) タグ情報の本体となる VID (Virtual LAN Identifier)(12ビット長) VLANのグループ番号を表す 0〜4,094までの値を指定する。4,094は管理用に予約されている CFI (Canonical Format Indicator) MACアドレスの表記形式を指定(CSMA/CD形式かFDDI形式) ■ プライオリティ(有線順位付け)フィールド。 VLAN情報と同時に優先制御情報を送信できる。 IEEE 802.1pで標準化されたが、現在はIEEE 802.1Dに包括された。 先頭の3ビットはユーザ優先度」フィールドを表す。 「0」から「7」の8段階で指定できる。 対応するLANスイッチは、このユーザ優先度を識別し、 優先すべきフレームかどうかを判断する。 LANスイッチは優先処理でクラス分けできる「トラフィック・クラス」の数は 製品ごとに異なる。ユーザ優先度と対応つけて処理する。 トラフィッククラスが4段階であれば4段階でしか優先度を制御できない。 ■ トランキング (リンクアグリゲーション) IEEE 802.1ad ハブ間を複数のポートで接続し、 これを理論上1つのポートとして使用すること。 複数本のケーブルを束ねて1本の論理リンクを作る機能。 一般にハブ間通信の高速化に利用される。 (冗長性を提供する意味もある。 ポートの一部にトラブルが発生しても、残りのポートで通信を継続できる。 リンクを張った経路の一部に障害が発生しても、 すぐにほかの経路に切替わる。) ----- ■ VLANタグ IEEE802.1qでは、通常のMACフレームに、4バイトのVLANタグが挿入される。 4バイトのVLANタグが付くことによって、 MTUの大きさが(1518バイトから)1522バイトへと変わる。 このようなフレームはベビー・ジャイアント・フレームと呼ぶ。 ←VLANタグ→ +-------------+------+-----+--------+--------+-----+ | MACアドレス | TPID | TCI | タイプ | データ | CRC | +-------------+------+-----+--------+--------+-----+ ■ TPID/TCI IEEE802.1qでは、VLANタグは、 前半2バイトのTPID(Tag Protocol Identifier)と、 後半2バイトのTCI(Tag Control Information)から構成される。 TPIDは、通常のMACフレームか、VLANタグを含むフレームかを 識別するためのものである。 もし、TPIDが0x8100ならばVLANフレームであり、 それ以外であればふつうのフレームである。 TCIは、3ビットのプライオリティ、 1ビットのインジケータ(CFI: Canonical Format Identifier)、 12ビットのVID(VLAN-ID)などで構成されている。 ■ VLAN-ID IEEE802.1qでは、フレームが所属するVLANを識別するために、 12ビットのVID(VLAN-ID)が使用される。 VLAN-IDは12ビットなので、 VLAN-IDで識別することのの最大値は、212=4,096個となる。 このうち0と4,095は、予約されているので、 ユーザが実際に使用できるのは、4,094個である。 また、ベンダが独自に、 ネットワーク機器などの管理のために予約しているVLAN-IDもある。 このため、使用できるVLAN数は、さらに少なくなるので注意する。 以上。 2004/03/24 pm