WDM / Wavelength Division Multiplex
■ WDM。Wavelength Division Multiplex。 波長分割多重。 波長の異なる複数の光信号を1本の光ファイバに多重する技術。 WDM端局装置を光ファイバの両端に設置するだけで、 光ファイバを数十本敷設したのと同じ伝送容量を確保できる。 WDM技術により、中継網の伝送容量は飛躍的に伸びた。 いまや基幹網では、 数Gbpsのチャネルを複数束ねることのできる製品が中心となっており、 研究レベルではテラビット級の開発も進んでいる。 ■ WDMが使用する周波数。 WDMにおける周波数の利用方法は、ITU-T G.692に規定されている。 具体的には、各チャネルの伝送に使う単位波長の周波数や、 隣り合う単位波長の周波数間隔などが定められている。 現在のシステムでは、 主にCバンドと呼ばれる波長1550nmの領域を利用する。 最も普及しているエルビウムドープ増幅器の増幅帯域だからであり、 石英系光ファイバでは最も伝送損失が少ない波長帯域のため、 中継距離を大きく取れるからである。 しかし現在では、増幅技術の進展により、 Sバンド(1480nm〜1520nm)や、Lバンド(1570nm〜1620nm)の使用も進んでいる。 一方、隣り合う波長同士の間隔については、 約0.8nm(100GHz)のものが主流である。 これもさらに多重数を伸ばすため、波長間隔が短くなってきている。 ■ WDMの種類。 WDMには、多重数に応じて、2波長WDM、CDWM、DWDMに分類される。 (1) 2波長WDM 一般に1.31μmと1.55μmを用いる。 ATM-PONシステムや1芯メディアコンバータなど、アクセス系で用いられる (2) CWDM (Coarse WDM) 波長設定精度を緩和する一方で多重数を抑えた経済的な技術。 波長間隔は 20nm程度、波長数は 4〜8波程度と 比較的少ない。 (3) DWDM (Dense WDM、高密度WDM) 大容量伝送が必要な中継系で用いられる。コスト、難易度、ともに高い。 波長間隔は 0.1nm程度で、数十〜数百波を多重する。 ■ WDMの網トポロジ。 現在のWDM網トポロジは、基本的に 光ファイバの両端にWDM端局装置を設置して1本の太いパイプとして使う ポイント・ツー・ポイントの形態である。 WDM装置は、接続される機器のプロトコルを問わない。 大手通信事業者が基幹網に用いるSONET/SDH伝送装置はもちろん、 ISPや一般企業ユーザが使うATMスイッチ等も接続可能である。 一般的には、光基幹網の国際規格となっているSONET/SDHとともに用いる 「SONET over DWDM」という実装が多い。 送信側装置は、入力信号(SONET/SDHのOC-nなど)を一度電気信号に戻し、 チャンネルごとに波長の異なる光源を用いて異なる光信号に変換する。 この光信号を光合波器により1本の光ファイバに結合して伝送する。 受信側装置は、光ファイバからの光信号を光分波器により各波長ごとに分岐し、 受光素子によって電気信号に変換する。 以上。 2004/02/26 pm