Kanon After Story

暴走!バレンタイン!!(暴走シリーズ3)

作:御巫吉良(KIRA・MIKANAGI)


「祐一さん・・・」
「なんだ、栞?」

 ここはいつもの噴水。
 俺の目の前には恋人――まだこう呼ぶのは照れ臭い――の、栞が恥かしそうに俯いてチラチラと俺の表情を窺っている。

 今日は2月14日。バレンタインデー。
 去年とは違って俺にはチョコをくれる(はず)の彼女がいる!

「うう・・・生きてて良かった・・・」
「あの、祐一さん・・・どうして拳を握り締めて泣いているんですか?」

 おおっと、いかん、いかん。
 毅然とした態度を取っておかねば。

「いやあ、何でもないよ・・・それより、何か用があるんだろ?」
「ええ・・・これ、受け取って貰えますか?」

 おずおずと栞が俺に差し出した物は・・・間違いなくチョコレート!
 ・・・っと、落ち着け、落ち着け、俺。
 慌てなくてもチョコは逃げやしないんだから。

「ああ、もちろんだとも」

 俺は喜びに崩れそうになる余裕の表情を必死に保ちながらチョコレートを受け取った。
 栞がくれたチョコは・・・・・・

「い、板チョコ?」

 俺が栞から受け取ったチョコは・・・簡素な板チョコだった。サイズは特大だが・・・
 ま、まあ、気持ちの問題だよな、肝心なのは気持ちだよ、うん!(←かなり動揺してます)

「あ、ありがとうな、栞! これ、今食っても良いかな!?」
「え? 食べるんですか?」

 俺の言葉に栞は怪訝な表情を浮かべた。

「ああ! せっかく栞から貰ったんだからな」
「・・・・・・構いませんけど、本当に良いんですか?」

 栞はチョコと俺の顔を何度も見比べながら念を押す。

「構わないんだよな。じゃあ、食うぞ」
「・・・・・・はい」

 俺はチョコの包装を手早く取ってチョコを取り出した。
 中身もやっぱり簡素だ。せめて“I Love You”くらい入れてても良いのになあ・・・
 ええい、気にしない、気にしない! さ、食べよう・・・・・・

 パラ。

 ん?
 何か紙切れが落ちたな・・・チョコの箱からか?
 俺はその紙を拾い上げた。
 ん? 何か書いているな。なになに・・・・・・

『どくいりきけん たべたらしぬで』

 ・・・・・・・・・・・・

「し、栞!! 何だこれは!」
「はあ。脅迫状ですけど」
「きょ、脅迫状!?」
「ええ。使い古された手口ですけど、これだけ古い手口なら意外と効果的かと思ったのですが・・・」
「・・・いや、もう良い・・・なんで俺のチョコにこんなものが・・・」

 栞が首をかしげた。

「・・・あの、勘違いをなさっているのでは?」
「なぬ?」
「私はそのチョコを駅前のデパートのお菓子売り場に置いてきて欲しかっただけなんですけど・・・」
「そんな話聞いてないぞ!」
「ええ。話そうとしたら祐一さんがどうしても食べたいって仰ったのでまだ言ってませんでした」

 ううう・・・結局こんなオチなのか・・・


 この後、俺はまたまた栞の悪行に手を貸す事となるのだが・・・・・・それはまた次の機会に。


 ひとまず完


あとがき

あうー、すいません。御巫吉良です。
一応、バレンタインSSです・・・ひでー話ですが(^^;)
本当はこの続きも書きたかったのですが、時間がありませんでした(T_T)
続きも書きますのでそれまではこれでご勘弁を・・・では。

2000/2/14作成

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