「お兄ちゃん。荷物、唯が持ってあげるね。」
「あのな.....俺はもう大丈夫だから...自分で持てるって。」
俺の言葉を無視して、唯が俺の荷物を引っ手繰る。
「あ、唯ちゃん.....私にも半分持たせて。」
「うん。じゃあ、こっちをお願いね。」
「...返せ。自分で持つ...女の子に荷物を持たせたりしたら男が廃る。」
二人から荷物を奪い返そうと手を伸ばすのだが.....
「りゅうのすけ君。傷はふさがったとは言え、腕のギブスは取れてないのよ?
あまり無茶はしないで....」
涙目になって俺をじっと見詰める桜子ちゃん。
「桜子ちゃんの言う通りだよ。お兄ちゃんはただでさえ無鉄砲なんだから、
たまには唯たちの言う事も聞いてよ。」
恨めしそうに俺を見つめる唯。
.......はぁ、あんだけ世話になっちまったんだから逆らえないよな.....
今日は俺が退院する日。
崖から落ち、一時はかなり危ない状態だったらしい。
それでも何とか助かり.....
それからの半年間、殆ど毎日二人が見舞いに来てくれたのだ。
手の使えない俺に、ご飯を食べさせてくれたり.....
身体を拭いてくれたり.....
もっとも、服を着替えさせてもらうのだけは遠慮したけどな。
そんなこんなで俺の身体も良くなり、今日に至るわけだ。
ただ、崖から落ちた時に両手で頭をかばった為、両手は未だに使えない。
医者の話では、しばらくのリハビリが必要だそうだ。
まぁ、気長にやるさ。
そんな事を考えていると....
「あーーー!!!お兄ちゃんこんな本読んでーーー!!!」
不意に上がった唯の叫びで我に返る。
いつのまにか唯は俺の荷物を漁り....
......げっ!!!あれは病院の売店で買ったエロ本!!
「りゅうのすけ君の.....エッチ...」
さ、桜子ちゃん!?そんな目で見ないでくれ〜!!
これは男の性なんだ〜!!
「怪我人なのに....こんな本読んで.........
これだから男の人って嫌だよね...」
唯は桜子ちゃんに目配せし...二人で
”うんうん”
とうなずきあっている。
「こらーーーーー返せーーーー!!!」
奪い返そうとする俺。だが、半年間殆ど寝たきりだった俺の身体は言う事を聞かず...
バランスを崩し、壁に熱烈キッス。
そんな俺を見て二人は...楽しそうに笑った。
「...ちくしょーー....人の不幸を笑いやがって....」
そう言いながら俺も、一緒になって笑った。
結局俺は、どちらか一人を選ぶ事は出来なかった。
今は三人で居るのが楽しい。多分、唯も桜子ちゃんもそう考えているだろう。
いつかは終わりが来る関係だろうけど.....それまではこのままで居たい。
俺達の気持ちが変わらない間は....
ずっと....ずっと.....
折れた翼 完
果報者の蛇足文(by 御巫 吉良)
綾辻プー助さん、後篇の投稿ありがとうございます!
最初はWヒロインのどちらかが泣く展開なのかと思ってましたが……見事、ハッピーエンドでしたね。
しかし……唯ちゃんと桜子ちゃんを独り占め。羨まし過ぎるぞ、りゅうのすけ!(爆)
このSSの筆者、綾辻さんは桜咲く街のHP主催者で、Piaキャロ2、FFZのSSの他、CGも書いておられる多芸な御方です。
まだこのHPを知らない方は是非、上記のリンクより御覧になってください!
また、このSSの感想を綾辻さんに伝えましょう!
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