(注)前提条件として浩平と祐一の容姿,声色が同じものだと思ってください、そうでないと話が成り立たないんです。(T△T)

ご理解のほどお願いいたします。

ではお楽しみください。

 

『お出かけしたいの』

 ある土曜の放課後,澪が俺の教室に来るなり書いた文字がこれだった。

「ふむ・・・それもいいな,俺ちょっと用事があるんで2時に駅前って事でいいか?」

『いいよ』

「おし,それならしっかり待ってろ、その時間前後5分以内にいってるから。」

『うんなの♪』

 ・・・と書くと澪は早足で教室から出ていった・・・。

「さてと・・・それじゃぁとっとと用事を済ませるか・・・。」

 俺はこういうと教室を出た・・・その数時間後に起ることも知らずに・・・。

 

ONEアナザーストーリー2

折原浩平〜たとえばこんな大間違い〜

 

「ええと・・・時間は1時50分,俺にしちゃ上出来だな・・・。」

 多分長森がこの場に居合わせたら「うわ・・・浩平が待ち合わせの時間に間に合ってるよ・・・,こんなの浩平じゃないよぉ〜」

 などと言うに違いない・・・。

「あとでお仕置き決定だな・・・。」

 俺はいわれのないことで長森にお仕置きすることを心に決めると,澪を待った。

そんなことを考えていると・・・

どむぅ!!

 腹に激痛が走る・・・何かがぶつかった・・・というよりは突っ込んできたという感じだ・・・。

「なんだ一体?」

 俺は顔をしかめながら顔を下に向けると・・・見なれない女の子が俺に抱き付いていた・・・。

「すいません、あまりの嬉しさについ体当たりしてしまいました・・・。」 

 笑った顔がとても可愛い・・・それが第一印象だった・・・。

しかし・・・そのタックルはとても利いたぞ・・・。

「それじゃ行きましょう。」

 その子はそう言うと俺の腕を引っ張って歩き出す、どうにやら俺を誰かと間違えているようだ・・・。

「ちょ〜っとまてぇい!!」

俺がその子を止めるとその子は「?」と不思議な顔をして俺を見た。

「もしかして誰かと間違えてないか?俺は折原浩平と言うんだが・・・。」

そう俺はその子に言うと・・・。

「祐一さん、そんなこと言って私を困らせないで下さい!!」

 そう言って拗ねてしまった・・・がこれで決まりだ・・・この子は俺を他の人間(多分この子の彼だろう)と間違えている・・・。

「あのなぁ〜・・・俺は折原浩平って・・・だぁ〜・・・そこでいじけるなぁ!!」

 ・・・はぁ仕方ない、俺は腹を決めた・・・今日1日は俺は”祐一”という人物になりきることにしよう・・・澪・・・すまん、今日は一緒に出かけられそうにないわ・・・。

 この子・・・”栞ちゃん”は俺のことを”祐一”というやつに間違えている,しかも声を聞いてもそれに気がついていない・・・。

 ということは多分この祐一というやつも今澪に捕まっているに違いない・・・。

とりあえず俺は平静を装って聞いてみる,まずは名前の呼び方に気をつけなければならない・・・。

「さて栞,どこに行こうか?」

「えーとですね・・・今日はクレープが食べたいです。」

そう言った。どうにやら呼び方は問題ない,行き先についてはパタポ屋がある・・・。

この瞬間俺は長森に感謝した・・・ありがとう長森,さっきのお仕置きはやっぱなしだ・・・。

「おし,それじゃ行こうぜ,俺いいところ知ってるんだよ。」

「わーい,嬉しいです♪」

・・・こうやってこの子の笑顔を見ているとちょっとだけ心が痛んだ・・・が,やってしまったものはしょうがない。

 サイは投げられたのだ・・・。

そして俺は栞の手を引っ張りパタポ屋に行くことにした・・・。

 

・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・

「おいしーですぅ〜♪」

どうにやらここのクレープはいたく気に入ったらしい・・・これで3枚目だ・・・。

「栞・・・そんなに食べると太るぞ?」

「う・・・わたしが機嫌良く食べてるのに祐一さん酷いです,極悪人です,そんなこと言う人嫌いです!!」

 ・・・と非難している声にしか聞こえないのだが・・・元々の明るさがそうさせているのだろうか・・・それとも祐一という人物の事をそれほど思っているからだろうか,あまり口調はきつくない,プクっと頬を膨らませるくらいだ・・・。

「ははは・・・悪い悪い・・・。」

「嫌です,許してあげません。」

「う・・・どう知れば許してもらえるんだ・・・?」

「そうですね・・・」

 栞は人差し指を口元にやって少し考えると笑って・・・

「キスしてくれたら許してあげます。」

そう言ったのだ・・・・。

「ぐ・・・・」

 俺は困った・・・・成り行きとはいえ見知らぬことキスはまずいよなぁ・・・・なにか誤魔化せる物は・・・・・・・あれだ!!

「おい,栞あれを見てみろ!!」

俺はショウウインドウに展示されている”あの奇妙なぬいぐるみ”を指差した。

「え?どれです?」

「あれだ、あれ!!」

 一見ハムスターのようだが全く可愛くないその生き物(?)これに関心が行けばいいのだが・・・。

「うわぁ〜可愛いです♪」

・・・・あまりにも上手く行き過ぎだ・・・がどうにやらキスは免れそうだ。

「祐一さんこれ欲しいです。」

どうにやらかなり気に入ったらしい・・・。

 俺もいっしょに覗いてみるフリをする、昔見たことがあるのでそうまじまじと見る意味がないからだ。

「えーと値段はゼロが1.2.3.4.5.6・・・50万!!・・・これは無理だ・・・止めておこう」

「・・・・・」

「な?栞・・・・。」

「・・・・」

「栞?」

「・・・・・」

「栞ちゃぁ〜ん?」

「・・・」

「もしかして・・・欲しかったりする?」

「はい・・・。」

 お前もか栞ちゃん!!(泣)なんでこんな不細工なやつが可愛いんだ?俺には分らんぞ・・・。

「でもな・・・ほら50万なんてお金ないだろ?」

「はい・・・。」

「それじゃぁやめとこう・・・な?」

「・・・・」

どうにやら何を言っても無理らしい・・・。

「分った・・・いつか買ってやるからそれでよしという事にしてくれ。

「分りました,祐一さんがそういうなら納得します。」

・・・・・・・・・・

 こうして俺達は商店街を離れる事になった。

 ・・・・少し問題が出来たけど・・・頑張れ祐一・・・・。

・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

そのご・・・栞がどうしても公園に行きたいと言い出したので俺達は公園に向かうことにした・・・。

 

・・・・

「今日は楽しかったです・・・。」

「それは良かった・・・。」

「あそこのクレープやさんおいしかったですね,また一緒に食べに行きましょう。」

「ああ,もちろんだ。」

「約束ですよ。」

・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

少しの沈黙が流れる・・・・。

聞こえるのは噴水から流れる水の音と,時折聞こえる風の音・・・それだけだ・・・。

 その時だ・・・。

「祐一さん,あれ見てください。」

 そう言って栞ちゃんが指差したのは今から公園に入ってこようとするカップルだった・・・がどこかで見たことがある・・・。

「!!」

そう,男の方は俺にそっくりで女のほうは澪なのだ・・・。

どうにやらあれが祐一というやつらしい・・・。

 相手が気づいていればば交代する事が出来るのだが・・・・そう考えていると2人は俺達とは反対側の方に座った・・・。

「そうかのどが乾いたか,それじゃなんか買ってきてやるよ何がいい?」

そういうと”祐一”はむこうの陰にある自販機に向かっていく・・・。

(これはチャンスだ・・・。)

「栞,喉か沸いただろ,何か買ってきてやるよ。」

 俺はそういうと自販機の方に向かっていった・・・。

 ガタン・・・。

俺が自販機につくと祐一はコーヒーを買っている最中だった。

「よ!!あんたが”浩平”さんか?」

俺が自販機につくと待っていたように祐一が話し掛けてきた。

「ということはあんたが”祐一”さんか・・・。」

「そういうことだ。」

「全く・・・こうもそっくりで、着てる服まで一緒とはね・・・。」

全くビックリだ,これなら長森も間違えるに違いない・・・。

「悪かったな,あんたの連れ、連れ回しちまって・・・。」

そういうと祐一は先程買ったコーヒーを俺に渡した。

「俺も悪かったよ・・・で,これは?」

俺はこのコーヒーはなにか聞いてみた。

「澪ちゃんが飲みたいんだとさ・・・ほれさっさと行ってやれよ。」

「ああ・・・悪いな,頂くぜ。」

「礼には及ばんよ。」

「それじゃぁな・・・。」

「ああ・・・次に会う機会があったらな・・・。」

そう言って俺達は別れ自分の大切な人の元へと戻った・・・。

こうして俺の奇妙でドキドキした1日は終わりを告げたのである・・・。

折原浩平18歳のある日だった・・・。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

後書きというか言い訳

どうも,蔡月です。

今回はチャレンジでした・・・。

とあるHPで祐一のことを”浩平の兄弟であるかのように言動が似通った男”と、書いてあったことからこの話が生まれました。

片方を書きつつもう一方の構想を練っていくという作業を繰り返しながら出来ました。

その割にセリフの流用が激しいです。(苦笑)

なお澪がどうなったかを知りたい方はもう1編,”相沢祐一〜たとえばこんな大間違い〜”をご覧ください。

それではこのへんで・・・。

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