「なぁ香里」

「何? 相沢君」

「今日はお前の誕生日だな」

「そうね」

「栞も気を利かして今は二人きりだな」

「そうだったの」

気を利かしてというか俺が追い出した。
先月のこと(ヴァニラアイス参照)もあって
今日、栞がいると全てがパァというか
俺の選択肢が増えてカ○ソ的な危機に陥り
死亡率が上がるというかなんというか。

「そこで香里、唐突だが…」

「何?」


「俺(葉月)は今(現在)、姉キャラ萌えだぁーーー!!!」



THE 誕生日〜姉キャラ〜



だぁーーーー


だぁーーーー


だぁーーーー


「で?」

「だから今日は特に可愛がって(主に床)やろう」

「な、な、なにをバカな(真っ赤)」

顔を真っ赤にして、これがCGだったら
みんな萌え萌えになってたろうに
葉月のボケがCGまだ使えてないから
こうなるんだ。

すんません m(_ _)m(葉月)

それよりも姉萌えとか言いながら
シスプリがマイブームってどうよ。

「と、いうわけで祝杯じゃ〜」

「え、ええ」

バスコーン☆

という景気のいい音(爆音?)を鳴らす今宵のクラッカー
さすが秋子さん、エエもんつこうとりますな。
というか誰だ俺。

「メリークリ」

「一撃必殺!!!(MAX)」

どごむ☆

鳩尾にモロ入ったぞ…
しかもKOF使用だから今の俺は気絶中
昔風に言えばピヨリ?
つーか気絶してるのに何故、独白が?

「今は3月よね」

「………(汗)」

ピヨピヨ(汗)

「気絶中にはやっぱラッシュかけるわよね」

「す、すいませんでした。つい水滸演舞のマネをしちゃいました。」

みんな知ってるか? 水滸演舞
気絶フェイントがあるんだぞ。
CPU戦にはまったく意味無いが
気になる人はSS版か秋葉のゲーセンにあると思うから
やってみれ、水滸伝知ってるともっとおもしろいかも。
ちなみに格ゲーね。

「で?」

「御誕生日おめでとうございます美坂香里様」

「ありがと」

「では栞特製ケーキから」

きこきこ(台車で運んでる)

「な……」

香里のやつ絶句してるな。
それも当然だろう、なんてったって栞特製。
今回は量が多いんじゃんくて、とにかくデカイ。
結婚式のケーキ並だ。
しかもご丁寧にいちごソースで栞のサイン入り。
だがサインまで異次元的とはな。

『そんなこと言う人嫌いですー』

幻聴かな?

「さあ香里、ケーキを切るぞ」

「えぇ、お願いするわ」

「なに言ってるんだ香里もいっしょに切るんだよ」

「なんで、あたしまで…」

「初めての協同作業の練習だ」

あえて協同作業を強調する。

「初めてのって……け、結婚? でも、あたし達まだ高校生だし…ゴニョゴニョ」

顔を沸騰したように赤くしながら一人暴走する香里。
うーむ、なかなか可愛いのぉ、萌えだな。

「なに一人でぶつぶつ言ってるんだ香里、早く切るぞ」

「えぇ!? でもこういことは心の準備が……」

「何言ってるんだ? 練習に準備もなにも無いだろう」

「へ? 練習?」

「そうだ、俺の言葉を読み直してみろよ」

「………(読み直し中)」

「『俺、香里のことが好きだ、だから結…』」

「だぁーーー!!! んなこと書いてないだろ!」

「チッ…『初めての協同作業の練習だ』これでいいでしょ」

チッってあんた、しかも逆切れ!?

「そうだよ、さっさと斬るぞ」

「はいはい」

「いざ! ケーキ入刀!」

ぶっしゅうーーー!!!

「ぎゃあぁぁぁーーー」

なんか斬っちまったな。上の『斬る』は誤植じゃないんだな。
血溜りの中に金のアンテナが…。
これから推理するにこれは、北川だ!!!

バァーン(SE)

む? ケーキの中に手紙が…

『拝啓 祐一さん
 お元気ですか? 私はいつ死んでもおかしくない状態です。
 人間の神秘を感じますよね?
 やっぱりこの状態を維持できるのは祐一さんのおかげです。
 あの冬の日私を拉致して、あまつさえ居候している家で
 私を手篭めにして、そして肉体調教をし
 私を卑しい姓の奴隷にしてくれたおかげです。

嘘を書くな嘘を。
あながち間違いでも無いが。

 それはともかく、さっき家の前でアンテナ揺らしてる
 不審人物がいましてのでケーキ詰めにしたので
 食べる時、気をつけて下さい。
                        かしこ』

「………」

「………」

俺と香里は無残にも血のデコレーションをされたケーキを見つめた。
栞…忠告はもっとわかりやすくしてくれ。
それとも追い出した、はらいせか?

「とりあえずこれは捨てるか」

「そうね」


「秋子さぁーーーん!!!」


高らかに秋子さんの名を叫ぶ俺。
あ、香里が引いてる。

「なんですか? 祐一さん」

音も立てずに現れる秋子さん、さすがだ。

「これお願いします」

「了承」

音速の域を超え光速のスピードでいなくなる秋子さん。
そのあとにはピカピカになった美坂家のリビングが…
ますます惚れたぜ秋子さん。

「あたしは何も言わないわ」

「そのほうがいいだろう」

この後、北川がどうなるかはわからんが
しばらく秋子さんの新作だけは注意して見なければ。
アンテナかなんか生えてきたら嫌だしな。
一応、主人公だし威厳は保ちたいからな。

「じゃあ気を取り直して今度は栞特製『誕生日ですし派手に逝きましょう料理』だ!!!」

逝くのはお前だけだ、栞。

「これはちょっと多すぎない?(汗)」

うむ引いてるな、俺達は慣れてるからいいけど
一般人だったら見ただけで胸焼けが起こるだろう。

「まあ、これはなんとかするとして」

しなきゃ俺の命が危うい。

「今日のホントのメインはこれ!」

ドン☆

「ワイン?」

「秋子さん特製『若い恋人達には必須アイテム的ワイン』だ!!!」

どんなネーミングだ。

「また、アルコール?」

「香里も嫌いじゃないだろう?」

「それは……」

「それとも、また飲ませて(ヴァニ以下略)やろうか?」

「な、なに言っ……………うん飲ませて…」

「いいのか? 香里」

こくこく

香里も積極的になったもんだ。
お兄さん嬉しいよ。
では、遠慮なく


(官能モード)

俺はワインを口に含むみ
香里の顎を軽く上に向かせると
何も引いてない桜色の唇にそっと口付ける。

「…ん…」

軽く頬を撫でると少しずつ唇を開けていく。
開いた唇との隙間にそっとワインを流す。

「…ん……んむ……んん…」

こくこくと、ゆっくりと飲み込む音が聞こえてくる。

「……ん……んん……ふぅ」

「どうだ? 香里」

「…うん…」

まだ余韻に浸っているのか返答も曖昧だ。
少し酔い始めたのか、頬が少し桜色に染まってきている。

「もっと欲しいか?」

「…ええ…」

少し虚ろげな瞳で答える香里。
その期待に答えるべく、
俺はもう一度、口付ける。

「…ふぅむ…ん…ん……んんぅ〜…」

だんだん慣れてきたのか
唇を押し付けるようにワインを飲む香里。

「……んむ…んむ……ぷふぅ……んんむぅ」

飲み終わり一度呼吸をすると
ワインも無いのに自分からキスをしてくる。
仕舞いには自分の腕を俺の首に回し
何分程し続けたのだろうか。
甘ったるいような心地良いような
曖昧な感覚が俺を包み込む。

(官能モード終了)


「気はすんだか? 香里」

「……………よ」

「ん? なんだ香里」

「…………わよ」

「なんだ良く聞こえないぞ」

「うるさいって言ってんのよ! 何回言えばわかるのよ!!!」

ドォーーーン!!!

「な、な、なんだ香里!?」

「誰に断ってあたしのことを呼び捨てにしてんのよ!」

「ひぃ、すんません!!!」

さっきまでのしおらしい態度は何処行ったのか
もの凄い剣幕で俺に突っかかる。

あっ、目が座ってる。

「さあ、もう一度あたしの名前を言ってごらんなさい」

「か、香里」

「はあっ! てい!」

「ぐふっ…ごぉ」

左フックから髪をつかんでの
ナックルアローが見事に決まる。
拳がめりこむめりこむ。

うーむ、これはかなりの絡み酒だな。

「………」

無言の圧力

「かおりしゃまでしゅう〜(泣)」

「それでいいのよ、まったく出来の悪い犬ね」

犬呼ばわりされる俺(泣)
でも悲しいかな今の香里には逆らえない。
逆らった瞬間、48の殺人技の1つどころか
48個全部仕掛けてきそうだからだ。

「ほら、注ぎなさい犬」

「口うつし?」

「ああ?」

「なんでもないです(泣)」

おかしいな、こんなはずじゃ無かったのに(汗)
もっと萌え萌えな展開を期待してたのに。
何がいけなかったんだ(※お酒です)

「ゆう〜いちぃ〜」

「ハ、ハイ、ナンデスカ! て、あれ?」

なんか香里の様子がさっきと違うぞ。

「ゆう〜いちぃ〜聞いてるの〜?」

「ん? なんだ香里どうしたんだ?」

「んとねぇ…あれ? どうしたの! その傷?」

おまえがやったとは言えない。
だって今の香里、俺が今日期待してた
展開になりそうなカンジだから。
俺のこともいつのまにか名前で呼んでるし。

「なんでもないよ」

「なんでもないことないよ! ちょっと見せて!」

「ぐお」

ぐい、と言う擬音が適当な勢いで俺の首を引っ張る。
性格が180度変わっても力は変わんないのね(泣)
折れるかと思ったぞ。

「ほら、おとなしくして」

「お、おお」

「あ〜痛そう〜、こぶになっちゃってる〜」

香里は子供をあやすように俺を抱き抱えると
こぶになってる部分を割れ物を扱うように
優しく優しく撫でてくれた。

「はい、もう大丈夫でしょ?」

「あ」

「なに?」

「その、な」

「うふふふ、なに? 言わないとわかんないよ? ゆういちぃ」

「その、さっきのをもう一回…な?」

「ふふふ、ゆういちくんは甘えんぼさんね〜」

「そ、そんなんじゃ…」

「いいから、いいから」

さっきと同じように俺を撫でる。
この心地良い感覚が俺の体全体を支配する。
気分がとても落ち着く。

「なあ香里」

「………」

「香里?」

反応が無いので顔を見上げると

「…す〜…す〜…」

幸せそうな顔をしながら寝ている香里がいた。 本当に幸せそうで、見ているこっちまで幸せになれる。
そんな気になる、安らかな寝顔だった。

「こんなのもたまにはいいよな」

大事なお姫様が風邪ひかないようにしないとな
これもナイトのお仕事だ。


―― Happy Birth Day Dear香里 ――




あとがき

こんなのもたまにはいいよな(笑)
そんなカンジな葉月です、どうも
今回は趣向を変えてみました。
どうですか?
毎回毎回あんなカンジじゃネタが続かない
ってのが真実ですけどね(苦笑)
こういうのどうでしょうか?
感想待ってますよ〜

書いた日 2002/3/1 UPした日 2002/3/1

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