「4月に赴任するA君、君とシェアすることになったから。部屋片づけておいて。」(by上司)
へ?
ただでさえ、23時35分のフライトまで時間がないと思っていたのに、旅行直前に、
そんな・・・。ただ、その代わりに、少し早く退社することができた。
部屋の片づけをし、シャワーを浴びる。思ったより早く終わった。夜8時過ぎに家を出ることにした。
いつも会社に行くときにパソコンを入れているお気に入りのベネトンの鞄1つだけを持ち、
私は、初めてのヨーロッパへ旅立った。
バスで空港まで行こうと思い、バス停まで行くが、道路が混雑していたので、MTR(地下鉄)に切り替え、
香港駅へ。ここは、東京のTCATの様にチェックインカウンターが並んでいる。別に大きな荷物があるわけでも
ないのだが、できるだけ早くチェックインして、良い席を取ろうという魂胆があった。
海外旅行経験の乏しい私は、飛行機といえばいつも3〜4時間の行程であったため、途中で席を立つ必要がないので、
必ずWINDOW
SEATを希望していた。ところが今回は初めての12時間フライトである。途中で便意を催すことも
あるだろう。せめて通路側の席を取らねば!!
というのが魂胆の全貌だ。会社の同僚に、通路側をaisle seat
というのだということを教えてもらい、準備は万端!!というところだった。のだが、フライト3時間前にも
関わらず、window seatもaisle
seatもいっぱいで、間の席になってしまった。せっかく早めに家を出たのに。大失敗だ。でも、
パリでトランジットした後のローマまでの便ではaisle
seatが確保できた。(意味無いっちゅーの!!)
香港駅でチェックインをすると、エアポートエクスプレス(70ドル)を利用して空港まで行くことになる。これが3回目の経験だった。
9時半過ぎに空港へつき、まずはマクドナルドで腹ごしらえをする。10時35分のboarding
timeに合わせて搭乗ゲートへ 行くが、一向にgate
openの気配が無い。結局11時近くになってやっと搭乗することができ、香港を離陸したのは、ちょうど深夜0時であった。
初めて乗った欧州系航空会社エールフランスは、「フランス人は匂いを匂いで隠すらしい」という私の心配をよそに、
なかなか清潔で快適であった。座ると、アイマスクとイヤホンと耳栓の入ったパックをもらい、(プレゼントらしいが要らないや。)早速音楽を
聞いてみる。やっぱりありました。Japanese
musicのチャンネルが。しかし、音飛びが激しく、チャンネルも1チャンネルだったため、映画やニュースの放映のたびに
音声が中断していた。ま、日本に対する扱いなんて、所詮そんなもんだけど。
私が心待ちにしている「ウエルカムおつまみ(自称)」はなく、いきなり1時ころに
夕食のサービスが始まった。デザートはケーキにストロベリーソースがかかった懲りようだったが、いわゆるフランスパンは硬くて、私のデリケ〜トなお口には似合わなかった。
機内食では、(貧乏人根性で)かならずビールを注文しているのだが、今回はワゴンに並んでるのが目に入った、シャンパンにすることに。
なんて、ミーハーな私。
食事も終わり、man watchingをする。左隣は、YONEXのバトミントンのラケットを持った女性。カタカナを棒読みするような英語を話すので、 私はてっきり日本人だと思っていたのだが、音を立てまくる食事の仕方を見て、日本人ではないことを確信する。右隣は、190cmはあろうかという大柄の青年で、 香港IDを持ってることから、留学生であると思われる。事実、食事中まで読書をかかさず勉強をしていた。いろいろ観察をしていると、時計は1時30分をすぎ、 私は眠くなったので、眠りに落ちることにした。
2000年3月28日(火)
何度か途中で目が覚めたが、11時ごろまで寝ることが出来た。それにしても、
この飛行機は太陽から逃げるように西へ向かっているので、まだまだそとは真っ暗。
しばらくして半照明が点き、朝食が運ばれる。さすがに朝食にチョイスはなかったが、
オレンジジュースで喉を潤し、缶詰フルーツとストロベリーヨーグルトで、ビタミンC
と一緒に余剰カロリーも摂取。(それにしても、旅行中の朝食は、缶詰のフルーツが
度々搭乗した。欧米人は、こういうカロリーの過剰摂取は平気なのだろうか。)
12時をまわったところで、イタリア(フランスも同じ)の夏時間に合わせるため、時計を
6時間もどす。う〜ん、6時間得した気分。(後で、損するんだけど)それに、この
寝ぼけ具合は、「朝の6時ごろ」って感じかな。
それにしても、
初めて大陸を横断する飛行機に乗ったのだが、全然ゆれが少ない。以前、日本からシンガポールまで
太平洋上を飛んだときは、結構なゆれにドキドキしたのに。それに海の上を渡ると窓の外は
見渡す限りの海で、全然つまんない。大陸の上だったら、さまざまな地上の風景を見ることができるだろう
という期待もあった。(結局、窓際には座らなかったので、見えなかったけど。)やっぱり、海上より陸上の方がいいな。
たとえ、空を飛んでいたとしても。
そんなことを考えている中、時刻は6時35分(ここからはイタリア時間)、小雨の降る
パリ・シャルル・ド・ゴール空港に着陸した。この時、私の心中は決して穏やかではなかった。午前6時35分。それは、次のローマ行きの
飛行機のボーディングタイムに等しかった。
は??私は、疑問に思った。 大丈夫なんだろうか?
こういう時、日本の空港だったら、優先的に降ろしてくれて、次の飛行機へ移動すると思うんだけど・・・・。
ところが、着陸した後、飛行機を降りるまでにずいぶんと時間がかかった。トランジット客を
優先的に降ろすなんてことは当然なく、ビジネスクラスの客が全員降りるまで、エコノミーの乗客は降ろして
もらえなかった。は??フランスの階級意識って、こういうこと??
私は、かなり疑問に思った。かなり待たされたあと、
やっと私はヨーロッパの大地を踏みしめることができた。
感動に浸る暇も無く、私にはローマ行きの飛行機に搭乗しなければいけないという緊急業務があった。
飛行機を降りると、「ローマ行きトランジットはこちら」という札をもっているお姉さんがいて、小さな車に乗せられた。
それは、ルノーのバンだった。私を飲み込んだそのルノー車は、まもなく出発し、トランジット先のゲートへと急いだ。
バンを降り、建物に入ると私を待っていたのは、ファイナルコールだった。待っててね、もうすぐ行くから・・・と階段を
駆け上り、ついたフロアは、なんと搭乗ゲートではなく、イミグレーションだった。
は???
私の頭は真っ白だった。なんで、トランジットするだけなのに、入国審査があるの??
でも、文句を言っている暇はないし、
どうせ通じるだけの会話力なんて持ち合わせていない。私は、「EU外国籍」の方に並び、入国審査を受ける。時はすでに7時。離陸まで15分しかない。
イミグレを抜けると、今度こそ搭乗ゲート・・・・と思っていたのが、そこは出発ロビーだった。
は??? パニックの連続である。
おーい!!私の飛行機、あと10分で離陸なんだけど・・・・。私の願い空しく、手荷物検査の前に長蛇の列が出来ている。
仕方ない、並ぶしかないか。と一旦は思ったが、どう考えても10分や20分はかかりそう。近くにいた空港職員に聞くと、よく分からない英語だったが、
どうやら、「あんたは、急がなくちゃいけないんだから、割り込め!!」って言っているようだった。とりあえず列を無視し、一番前に行って、深刻そうな
表情で、「I'm
hurry!」とか言ったら、気の優しそうな英国紳士(勝手にそう決めた)が笑顔で順番を譲ってくれた。幸いにも、手荷物検査で引っかかることは
なく、(実は、サスペンダーをしていると、金属探知器に必ずひっかかかるのだ。)
そこを抜けると、ようやく目の前に搭乗ゲートが現れた。
搭乗ゲートには2人の係員がいたが、1人は電話中で、1人は接客中だった。私は、接客をしている方の
おねーちゃんにボーディングパスを見せながら、「もうすぐ離陸しちゃうこの飛行機に乗りたいんだけどー。」
と、body
languageを試みた。(だって、なんて言っていいか分かんなかったし、向こうも私のこと待ってると思ったから・・・。)
ところが!!
この慌てぶりがにじみ出ている私に向かって、「ちょっと待て」だと。
は〜?
1,2分待たされ、やっと私はゲートを通過することができた。(え??
急いでるんとちゃうん?
焦ってるのは私だけで、こんなのって日常茶飯事??)
私は、いろいろ考えながらもとりあえず小走りで進んだ。そして、なんとその先の道が分岐していて、(一応、頭上に電光掲示板があり、かろうじて判断することが出来た)
左のゲートへと進むと、げげ!!?? 下り階段。もしかして、バス!?
私の予想は見事に当たり、眼下に私を待っている1台のバスが見えた。
そのバスはほぼ満員で、私が来るのを待ち構えていた。
私が乗るとしばらくして扉が閉まり、そのバスは走り出した。(え??
私一人を待ってたの!?)小心者の私は、
周りの視線を見ることが出来なかったが、別に痛い視線を送っている人はいなかった様に思う。バスが止まり、外に出ると、目の前にはかなり小さい飛行機が。(え??
パリ〜ローマって、
花形路線じゃないの!?)もう、私の頭の中にいくつquestion
markが踊っているのかさえ分からなくなってきた。とりあえず、人の波にそって進んで飛行機の内部に。
コックピットのすぐ後ろと思われる入り口から進入し、機内を見渡すと、3−3シートで100人くらいしか乗れないほんとに小さな飛行機だった。もちろんビジネスなんてなく、
全席エコノミー。私は17Cの席につく。
う〜ん。とってもローカルな雰囲気。ホントにこれは国際線なのだろうか?
さすがにリクライニング機能はあったが、
肝心のミュージック機能がない!! ふざけんな、エールフランス!!
これから、2時間、どうせいっちゅうねん!!
そこは気の弱い日本人、困った素振りも見せず、まったくスマートに振る舞う。いかにも、「エールフランスなんて乗りなれてるもんね〜」って感じで。
機内は半分くらいしか埋まっていなく、早朝の清々しさではなく、けだるい空気があった。(多分、それを演出していたのは、となりの女性だったと思う。)
通路を挟んで反対側に座っていた女性は、ちょっと失礼!とかいって、私をどかせると、窓際の席に座って眠りに落ちた。
私の「この三連席を占領するぞ!!」という野望をいとも簡単に打ち破ってくれたその女性は、
「私、二日酔いなの。気分悪いわ〜。」または
「私って、低血圧なの。朝弱いのよね。ごめんなさいっ。」という顔と態度をしていた。
そのねーちゃんが元いた席の隣は、日本人夫婦だった。機会があったら話しかけようかな〜とか思っていたが、
結局話しかける機会は訪れなかった。
私の搭乗を待っていたと思われる飛行機の中では、乗務員が搭乗者リストのようなものを片手に、搭乗者チェックをしていた。
どうやら、1人足りないらしい。(なんだ、私のほかにもまだ乗ってない人がいるんじゃんか。)
しばらくして中年のおじさんが乗ってきた。それを待っての出発だったので、離陸は結局7時54分。私が、焦って急いだのは、何だったんだー!!
と心の中では思っても、
決して顔には出さぬまま、飛行機はパリ・シャルル・ド・ゴール空港を飛び立った。
飛行時間は2時間弱だというのに、やっぱり出ました、朝食が。さっき、食ったばっかりなので半分くらいしか食べられなかった。(あ〜、もったいない。)でも、オレンジジュースとミートパイ
はしっかり鞄にしまった。今日一日のローマでの予定を立てようと、ガイドブックを取り出し、予習を始める。
しばらくすると、さっきの低血圧&二日酔いねーちゃん(私が勝手にそう決めた)が話し掛けてきた。ローマへ行くの?
一人? あらー、危ないわよ。
スリが多いのよ、ローマは。決して尻ポケットなんかに財布入れてちゃ駄目よ。そうそう、ホテルは予約してあるの?
どこのホテル? 地図を見せてごらんなさい?
あら〜、テルミニ駅(ローマのターミナル駅)の近くね。
タクシーで行くの?(歩いて3分の距離を、タクシーで行くかい!!)
あら? 歩き? 危ないわよ。 ローマは危ないんだから。 あら、私?
私は仕事でいくのよ。 ここ、ここのところに会社があるの。そうだわ!
あなた一人なら、一緒にテルミニまで行きましょう!
私がついていってあげるわ。
っとまあ、こんな感じで一方的に話しまくった。最初は胡散臭い女かと思い、敬遠しようと思ったが、相手のペースに乗せられてしばらく話をして、なぜか一緒にホテルまで行くことになった。一人旅を好む私は、本当は誰かと行程を共にするのは好きではない。
(元々、そういう目的の旅行ならいいが。)こんな旅先であった人でさえも、私のスケジュールに強制力をもって入ってくる存在がいやだった。でも、そんなこと
彼女に英語で説明できないし、他に断る理由もなかったので、とりあえずOKした。
ローマのフェミウチーノ空港に着陸し、飛行機を降りると、先に降りた彼女はちゃんと待っていた。
「荷物は?」と聞かれたので、「これだけ」と答えると、ちょっと不思議そうな顔をしながら肯いた。そして、
彼女にリコンファームをしたいから、市内へ行く電車に乗る前にエールフランスのカウンターに寄りたいと伝えると、
(リコンファームが最後まで彼女には通じなかった。)彼女はなかなか私の意図が理解できず?
なぜ? なぜ? と 繰り返す。
そうして終いには、「あっそう、じゃ、一人で行けば。」ってな感じで、別れてしまった。
ちょっとムッとしたが、内心ホッとした。だって、リコンファームもしたかったけど、空港をもうすこしいろいろみて
おきたかったから。彼女と別れると、いつのまにか到着ロビーについていた。その間には、イミグレーションも税関も存在しなかった。
(私が見落としただけかな!?)そして、案内板を頼りに(っていっても、イタリア語の表記は分かんない!
絵だけが頼り)2階へあがり、エールフランスのカウンターを探して、
リコンファームをしてもらう。電話中のおばちゃんに恐る恐る英語で話しかけ、(きれいな英語で対応してくれた。)
コンピュータ操作をして返してもらう。チェックインカウンターをちらっとみて、レストランとショップがある3階へ上がる。
私には、ローマについてから始めにしなければいけないことがあった。それは、両替だ。香港の銀行でイタリアのリラに替えた際に、50万リラ札しか
無いと言って、それを渡された。50万リラといえば日本円で3万円に相当する。そんなお札、町角の店が扱ってくれるはずが無い。空港で何か買おうと
本屋やCDショップをちょっと徘徊するが、結局お金は使わず、市内へ向かうことになった。
鉄道駅までのスカイロードは3階部分からでていたので、その中の動く歩道にのって、鉄道駅へ。普通はそこで
市内までの切符を購入するのだろうが、私には鉄道パスがある。(あとで気付いたのだが、テルミニ駅へ行く電車には1等車両しかないので、
2等パスでは乗車できない。1等を買っていて良かった。)でも、その鉄道パスに、使用開始日を入れてもらわなくてはいけない。
窓口でパスポートと鉄道パスを差し出し、開始日と終了日をいれてもらい、スタンプをおしてもらう。ホームの前に駅員らしき人がいたので、
「このパスで乗れる?」と聞くと、「乗れるけど、ここにパスポート番号書いてサインをしておかないとだめだよ。」と教えられた。
ホームの脇には列車案内板があり、行き先と番線、時刻のほかにしっかり「DELAY」の欄が。なんだ、やっぱり最初っから電車は遅れることが前提になっているのか。
っておもってしまった。だって、すでに一番上の電車には「10min
delay」って書いてあるんだもん。
10時7分発のテルミニ駅行きの電車の中は、成田エクスプレスよりは一段落ちるが、
車両の両端にはコンパートメント席(初めて見た!!)もあり、列車内はブルーに統一され、きれいな雰囲気だった。
静かに走り出してから、(動き始めのあの、「ごっとん」っていう衝撃が無い!!)15分ほどして、物静かなおじさんが
検札にきた。ヨーロッパの鉄道には改札口がなく、列車内での検札が一般的らしい。
単線でもないのに、列車は所々で徐行運転をしたり、止まったりと、一向に急いでいる気配は感じられない。
結局ガイドブックには30分と書いてあった行程が、50分近くかかってしまった。
車窓を眺めていると、だんだんと大都市へ近づいていることがわかる。それも、近代的ではなく、中世と近代・現代が入り交じったような 風景。ローマの中心であるテルミニ駅が近づいていたのだった。列車は24番線に到着。いよいよ、憧れの街、ローマと対面だ!!