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場所は某カードショップ。仮に、黄色い潜水艦とでもしようか。
タチケンシロウは今日も今日とて、サマナーとして精進すべくカードスリーブを購入していた。家に帰って、特定の場所に切れ込みを入れたり、特殊なメガネでのみ視認できるインクを塗ったりするのだ。 (注:この物語はフィクションです。実在のモデルはいますが)
すると、デュエルスペースから、こんな声が聞こえてきた。
「とき〇モ? やめとけやめとけ。オレの知っているやつがすげえハマってるんだけどさあ、もうヤバいんだよ。かなり。 し〇り萌え〜、とかいって画面に釘付けなんだぜ」
「うっそ。マジ?」
「こういうゲームをただやるだけなら、別にいいんだけどさあ。 現実との境が区別できなくなると、もう終わりだよな。そいつ、歌舞伎町で風俗の客引きに声かけられて、なんて答えたと思う? 『いえ、二次元にしか興味ないですから』だと」
「うわ〜、もう末期症状?じゃん」
「恋愛ゲームもいろいろあるけど、とき〇モはないよ。とき〇モは。あんなのは(以下誹謗中傷により割愛)だよ、絶対」
「きっとさ、そういうやつって、『ココロという言葉から何を連想する?』とか聞かれて迷わず図書館とか言うんだぜ」
「言えてる言えてる」
その時二人は、妙な気配を感じた。例えるならそう、冷たい熱気とでもいうような・・・。
振り返ると、そこに一人の鬼がいた。Lv120妖鬼って感じだった。視線で人が殺せそうなほど、目が爛々と輝いていた。
「外道!! 貴様には死すら生ぬるいッッッ!!!!! 勝負だ!! 打(ぶ)つぞ!! デュエルだ!! 死合うぞ!!」
殺人的な鬼気を放つタチケンシロウ。だが、相手もまた只者ではなかった。
「ほほう。町田四天王の一人、チープさまにデュエルを挑むとは、いい度胸だ」
「お前は殺す。絶対殺す。必ず殺す」
「かつて、オレのデッキを見て驚かなかった者はいない。貴様もしょせんその中の一人よ」
「絶対に首を取って、し〇りの霊前に捧げてやる!!」 (死んでないし、迷惑です)
「どんなデッキも、オレの豚デッキの前では無力よ」
会話はかみ合わなかったが、ともかくも戦いは始まった。
「デュエル!!」
「俺様の先攻だ。ハナジーからカタキラウワ、カタキラウワ、 カタキラウワ、カタキラウワでエンドだ」
周囲にどよめきが起こる。なるほど、これは驚く。だが、タチケンシロウは動じない。
「ば、馬鹿な。なぜ平然としていられる!?」
それを聞いて、ヤジウマがさらに驚く。 (目的はそれだけなのか!?)
タチケンシロウは無言で場にナナシを出した。カタキラウワ全滅。
「お、俺の豚たちがああああああっ!!!」
タチケンシロウ、エンド宣言。
「こ、こうなったら貴様も道連れだ!!」またもヤジウマ驚愕。 (カタキラウワが全滅したらもうダメなのか!!!?)
「死ねっ!! フレイダイン!!」 (相手の場にナナシしかいないのに・・・)
「割り込みグレイプニル」
「・・・・・・・・」
やがて、チープががっくりとうなだれる。
「ふ・・・まさか、グレイプニルとはな」
さも意外そうに。 (普通の攻防じゃないか・・・)
「タイムガールなら、バグで防げたものを」 (入っているのか!!!?)
チープのエンド宣言。タチケンシロウは次のターンにベルゼブブを召喚してアタック。勝敗は決した。
「この俺を倒すとは、大した奴だ・・・。だが、あの御方が黙ってはいないぞ。他の四天王を引き連れ、きっと俺の仇をとって・・・って、え?」
タチケンシロウがチープの肩を、ぽんと叩く。
「ごたくはそれで終わりか?」
誰もがチープの無残な死を想像した。
「来い」
「は、放せ!! 俺をどこに連れていく気だ!?」
「貴様には、たっぷりと『愛』というものを教える必要がある。さあ、来るんだ」
「た、助けて!! 誰か助けて!! この人、目つきがヤバい!!」
タチケンシロウが、チープをひきずって出ていく。人々はただ、固唾を飲んでそれを見守るしかなかった。
すぺさるさんくす:cheaproom氏
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