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西暦200X年。
未曾有のレアリティ急高騰により、カードは人々の手から離れ
ていった・・・。
だが、召喚士(サマナー)は死滅していなかった!!!
時代はまさに、破壊と暴力がはびこる混沌の世界。
人々はただ、救世主の登場を願うばかりだった・・・。
巨「がはははははぁ!ツォロム2体とオーガ(1弾)3体でアタックだあ!
もちろん全員飛んでからなあ。190点だぁ!!」
少「そ、そんなあ・・・」
巨「しょせんお前みたいなガキが、この最強デッキに勝てるはずがないのだ!」
少「最強って・・・そんなレッドマンで全滅するようなバランスの悪い・・・」
巨「なんだとうっ!?」
青筋を額に浮かべ、男が立ち上がる。軽く3メートルはあろう巨漢だ。顔の造形もそれに比例している。いままで椅子に座っていられたのが不思議だ。
巨「きさまあっ、このオレの華麗なるプレイングにケチをつける
気かあっ!?」
少「プレイングのことなんてなにも言ってな・・・それより、ホルンも警戒せずにあれだけ展開して手札を0枚にするのもどうかと思うけど・・・」
勇気のある少年である。
巨「きっさまあっ!!!」
少「ああっ!!」
案の定、70センチはあろう足で蹴られ、吹っ飛んだ。
巨「まあいい。さて、アンティルールにのっとって、カードをいただくとしようか」
少「そんなこと、一言も・・・」
巨「当たり前だあ。いま決めた」
少「そんなっ!鬼、悪魔、外道!!」
本当に勇敢な少年である。
巨「ゴミ! カス! ナキサワメ!!」
というより無謀だった。
巨漢の目つきが変わった。
巨「貴様、死にたいらしいなあ」
そのようである。
巨「ナキサワメは、ちょっと言い過ぎだろう。ああん?」
いやまったく。
周りの人々はそれを当然のように見て見ぬふりをした。
少「ああ、こんな時救世主が現れてくれれば・・・」
あまつさえ他力本願だった。
その時、ボロをかぶったいかにも怪しい風体の男が入ってきた。
隣にいた男はその口から、「よし、いいタイミングだ」という
つぶやきを聞いた。たしかに聞いた。
巨「ああ? なんだ、貴様」
ボ「悪党に名乗る名はない」
一触即発の雰囲気。誰もが血肉の飛び散る殴り合いを想像した。
巨「貴様ぁ・・・ならば、デュエルだ!!」
ボ「ならば、かかってこい」
人々は微妙な表情をした。
ボロの男は少年のデッキを手に取った。
巨「いくぞ!! オレの先攻。キャロルJからオーガオーガオーガ
オーガエンドだ」
前時代的なデッキである。
ボロの男がドローする。
ボ「外道。貴様には、死すら生ぬるい!!」
闘気が急速充填される。ボロが飛び、上着が弾ける。中から眼鏡をかけた顔があらわれる。胸には七つの傷のかわりに、「ときめき命」と書かれた入れ墨があった。
ボ「はぁぁぁぁぁぁ・・・・あぁたたたたたたたたたたたた!!!!
ほわたほわたほわたあっ!!」
男の手が高速で動き、目にも止まらぬ勢いで場が展開される。
ボ「お前はもう、死んでいる」
見れば、いつのまにか場のオーガが消え去り、スルトが2体でアタックしていた。
巨「そ、そんな馬鹿なっ・・・あ、ああ、あべしっ!!」
巨漢の頭が無残に飛び散る・・・などということはなかった。
カードゲームだから。
男は立ち上がり、デッキを少年に手渡す。
少「ありがとう・・・でもこれライトロウデッキなんだけど・・・。
あ、それより、名前を聞かせてよ!!」
ボ「・・・オレは、ケン。タチケンシロウだ」
本当にごめんなさい。管理人。
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