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番外編 シンデレラ?
注:本編はメガテンとは、なんら関係がありません。また、著しく頭の悪い内容のため、脳に深刻なダメージを与える可能性があります。
覚悟のできた方のみ、先へお進みください。
ある家に、シンデレラというかわいそうな少女がおりました。
彼女はいつもボロをまとい、世界最強の継母に、いびられながら暮らしていました。一子相伝の暗殺拳を学んだという継母の蹴りは、的確にシンデレラの急所を突きます。ダメージは後々まで残るのでした。
ある日、お城で舞踏会が開かれました。継母たちは無駄に着飾っていそいそとでかけていきましたが、シンデレラは当然居残りでした。
「ああ、わたしもお城で踊りたい・・・」
そんなつぶやきが聞こえたのか、シンデレラの前に世界最強の魔法使いのおばあさんが現れました。
魔法使いのおばあさんは魔法で、シンデレラにきらびやかなドレスと、かぼちゃの馬車を与えました。
シンデレラは喜び勇んで、お城へ向かいました。
おばあさんはシンデレラに、12時の鐘が鳴ったら、魔法が解けてしまうことだけ告げて、去って行きました。
お城に入ったシンデレラは、すぐに王子の目に止まりました。
童顔で巨乳という、わりとスタンダードな萌え要素を持っているシンデレラは、王子のストライクゾーンど真ん中でした。
王子と楽しく踊るシンデレラ。王子は、少し気弱そうな印象がありますが、とても優しい顔だちをしていました。
シンデレラは王子に及第点を付けました。
楽しい時間は、あっという間にすぎるものです。
時計を見ると、すでに11時55分でした。あと5分で魔法が解けてしまいます。もし王子の目の前で、もとのボロ姿に戻ってしまったら・・・シンデレラは魔女と判断され、不当な魔女裁判にかけられた挙げ句に、火あぶりにされてしまうでしょう。
慌ててシンデレラは、逃げ出しました。
突然のシンデレラの逃亡に、王子が思わず叫びます。
「待て!! 待ってくれ!!」
その声を聞いた世界最強の大臣が、事実を曲解しました。
「王子に無礼をはたらいた、あの者を捕らえよ!! 生死は問わぬ!!」
ふっと沸いて出た千を越える衛兵が、マシンガンを手にして、迅速にシンデレラを追跡します。
お城は銃声飛び交う戦場と化しました。
驚いた王子が、大臣に駆け寄ります。
「違うのだ!! あの者は何もしていない!! せめて名前を聞こ
うと呼び止めただけであって・・・」
「ほう、王子。まさか、私の世界最強の娘と婚約しておきながら、他の娘にうつつを抜かしておいでなのですか?」
世界最強大臣決定戦を8連覇している大臣の眼光は、とても鋭いものでした。いつものように、王子は萎縮してしまって、言いたいことを言うことができません。
「それに、あの娘は盗みを働きました。捕らえるのは当然のこ
とです」
「・・・? あの者は別に何も盗んでなどいないが・・・」
「いいえ、やつはとんでもないものを盗んでいきました。
・・・あなたの、心です」
「・・・・・・・・・・・」
大臣は、ちょっと赤面していました。
その頃一方、シンデレラは命がけの逃亡を続けていました。
お城は、華やかに彩られていた頃の面影はありませんでした。
回転するサーチライトに照らし出される庭園。行き交う衛兵は殺気だっています。
シンデレラは通信教育で得たゲリラ戦術を駆使し、巧みに逃げ回ります。時折どこかで銃声が響き渡り、叫び声が聞こえまし
た。罪もない人が殺されたと思うと、シンデレラの心は痛みました(この時、継母が43人目の衛兵を血祭りにあげていた)。
ふとシンデレラは、ガラスの靴がなくなっていることに気がつきました。
「大臣、このような物が!! おそらくは、あの女の遺留品かと思われます」
「そんなものはどうでもいい。私はいま王子の証言を元に、精巧なモンタージュ写真の制作をしていて忙しいのだ」
「なあ大臣よ、こんなものを作って、どうする気だ?」
「知れた事。万が一城から脱出された場合に、全国にこの女の写真を手配し、指名手配するまでです」
王子は恐ろしくて、声も出せませんでした。
11時58分。
どうにかシンデレラは警備の目をかいくぐり、正門のところまでたどり着きました。ここを抜ければ、もう城下町。魔法の解けた後のシンデレラは、町民にまぎれこむことができます。
しかし、城の警備はシンデレラの予想をはるかに越えるものでした。というより、恐ろしく場違いでした。
「罠カードオープン 六〇星の呪縛!!」
高らかな宣言とともに、シンデレラは身動きが取れなくなりました。現れたのは、城の警備隊長のユーギ(仮名)でした。
「フフフ、お前がここを通るのは予測ずみだぜ。どうやら、オレの戦術を見抜けなかったようだな!!」
世界観を無視して、ユーギ(仮名)はまくしたてます。
騒ぎを聞きつけたのか、王子と大臣がやってきました。
運悪く、ちょうど12時の鐘が鳴りました。シンデレラは大勢の前で、ボロの姿に戻りました。
「これは・・・!!」
王子が驚きに目を見張ります。
「ああ・・・」
シンデレラは絶望に沈み、膝をつきました。
「魔女だ!! この者は魔女だったのだ!! 衛兵、この女を捕らえろ!!」
大臣がヒステリーぎみに命令を下しました。慌てて衛兵たちがシンデレラを両脇から抱え、捕らえました。彼女は抵抗しませんでした。
「待て!!」
高らかに声が響きました。
王子の声でした。
「その者を捕らえることは、私が許さん!!」
いつにない毅然とした態度に、大臣は一瞬とまどいましたが、すぐに抗弁します。
「王子!! この者は、王子の心をたぶらかしにきた魔女だったのです!! 早急に火あぶりにして、処刑すべきです!!」
「ならぬ!!」
王子の強い声に、大臣がたじろぎます。あの弱気で、自分の言いなりだった王子を、なにがここまで強くしているのか、わからなかったからです。
王子は、シンデレラの元に歩み寄りました。自然と、彼女を抱えていた衛兵たちが退きます。
「王子さま・・・」
憔悴した目で、王子を見上げるシンデレラ。そんな彼女を安心させるように、王子は優しく微笑みました。そして立ち上がり、強く宣言します。
「皆の者、よく聞け!! この者は、魔女などではない!!
そう、彼女は・・・、
私が夢にまで見た、
魔・法・少・女・だ・っ・た・の・だ・ッッッッッ!!」
一同の目が点になりました。
「ひょっとしたら、本当にはいないんじゃないか・・・最近はそんなふうに思ったりもした。だが、実在したのだ!! こんな
萌えることがあろうか!!
私はここに宣言する!!
彼女を王室公認の魔法少女としてあらゆる特権を与え・・・
って、皆の者どこに行く?私の話はまだ終わっていないぞ。そう、彼女の
ファンクラブを作るのだ。もちろん、会員ナンバー1番は私だ。
そしてゆくゆくはアニメ化を果たして、彼女は比類なきアイドルとしてこの国の歴史に脈々と語りつがれ・・・」
・・・大臣にいびられ続け、鬱屈してしまった王子の精神はここまで病んでいたのでした。
その後、シンデレラはどさくさにまぎれて逃亡、王子はめでたく廃嫡のはこびとあいなりました。
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