魔法のファッション・ラブリールミ

第1話「魔法で大胆に変身!」

「えー次は恋ヶ窪先生自らデザインした衣装での登場です。」
”うわー”と歓声が上がる。

スポットライトで照らされたステージが観客の真ん中にある。
何百という観客はただ1点を見つめている。

白い帽子に白いドレス。
まさしくシンデレラのようであった。
着ている人はロングヘアの似合う20歳前後の美女である。
「今日は私の新作発表会にようこそ。数多くの私の自信作を用意していますので楽しんでいってください。」
ドレスの美女がステージの前に歩く。
そのとき、スカートの裾を踏んでしまう。
「きゃあっ」
舞台から落ちる。

「あいたたた・・。」
周りは見覚えのある自分の部屋。
ベットから落ちたショックで棚から雑誌が落ちてくる。

夢であった。

「本が散らかっちゃった。なんだか目覚めの悪い朝。」

自分の将来を夢見ていたのだ。
藍は落ちたファッション雑誌を片付ける。

「藍ー。早くしないと遅刻するわよ。」
「はーい。今すぐ!」

藍はパジャマを脱ぐ。
そしてタッタッと階段を駆け下りる。

「おはようママ。」
「おはよう。」

藍の母親は若くて美人である。
名前は美佐。パパは隼人という。
すでにパパは会社にいった後だったので家にはいない。

「ねえちゃん、またベットから落ちたでしょ。」
「うるさいなー。」

藍はパンをかじりながらいう。
声をかけたのは弟の健二だ。
健二は藍と同じ小学校に通う1年生である。

「健二も早くしないと遅刻だよ。」
「もうご飯食べたもん。」
「忘れ物はない?」
美佐が聞く。
「うん。いってきまーす。」
「いってらっしゃい。」

健二が玄関から出て行く。
藍はまだ朝食を食べている。

「ほら、藍も早くしなさい。」
「はーい。」



芝里小学校。

主人公である恋ヶ窪藍が徒歩で通っている学校である。
藍は10歳。
これから波瀾に満ちた物語が始まることを藍は予想もできないのである。

(オープニング)

「藍ちゃんおはよう。」
女の子が目の前に立っている。
「おはよう、春美ちゃん。」
野方春美という少女は藍といつも大の仲良しである。
幼稚園からの付き合いで長い。
「昨日の小犬、貰い手があってよかったよね。」
「そうだね。やさしい飼い主がいてよかった。」
昨日の登校時に小犬を二人は拾った。
捨てられていたため心やさしい藍と晴美には無視できなかった。
そのまま学校に持っていって、飼ってくれる人を探していたのだ。
結局、学校近くの老夫婦が引き取ることになった。
「ごめんね。うちで飼えればいいんだけど、うちのパパは犬が嫌いだから。」
「いいのよ。あの子犬だってやさしい飼い主が見つかって幸せだと思うから。
ねえ放課後見にいってみない?」
「そうだね。いこいこ。」

二人は校舎に入っていく。

「恋ヶ窪。チビスケはどうした?」
教室に入るなり男の子に声を掛けられる。
「呼び捨てにしないでよ。だいたいチビスケってなによ。」
藍は怒る。
この少年は小田原隆志といって同じクラスメイトだ。
よくケンカをしたりする仲である。
「昨日の子犬だよ。貰い手が見つかったのか?」
「見つかったよ。でもあんたには教えない。」
「なんだよそれ。ケチケチするなよ。」
「ケチじゃないもん。」
「ヒステリー女!」
「なんですってー!!」
藍は本格的に怒る。
「やめなさいよー。」
はるみが止めに入る。
「何しているの。授業を始めるわよ。」
教室に三咲先生が入ってきた。
生徒は自分の席につく。
先生が出席を取り始めた。
隆志の席は窓側。藍の席は真中である。
横をチラッと見ると、目があう。

「べーっ」

隆志が下を出した。
ムカッなによあれー!!
藍は前を向いた。


放課後、藍と春美は子犬を引き取ってもらった家に向かう。
壁の向こうから犬の鳴き声がする。

ワンワン!

「ああっ昨日の子犬の鳴き声よ。」

藍たちは嬉しさのあまり走って行く。
やさしそうなおじいさんが出迎えてくれる。
庭に放された子犬が走り回っている。

「うわー元気になったんだぁ。」

藍は嬉しくなる。

「おいで。」

ワンワン。

子犬が走ってくる。
頭を撫でてあげる藍。

「名前はつけたんですか?」

春美が聞く。

「いや、まだなんだが、いい名前はないものかの。お嬢ちゃん達が名前をつけてくれると
助かるのだが・・。」
「うーん、どうしよう藍ちゃん。」
「名前か・・うーむ。」

藍の頭に隆志の言葉がよぎる。
チビスケ・・・これだけはつけたくない!!

「春美ちゃんはなにがいい?」
「私思いつかないから藍ちゃんがつけて。」
「じゃあ・・・キャンディにしない?」
「キャンディ?」
「そう。かわいいから。ねっおじいちゃん。」
「そうじゃな、かわいい名前だね。それにしようか。」

そんな感じであたしたちは、キャンディの一番のお友達になりました。


「あれ?雨が降ってきちゃった。」

春美と道で別れて家に帰る途中に雨が降り出す。
藍は走ってみる。
ゴミ捨て場を通り過ぎ様とした時に、あるものを見つけて立ち止まる。

「なにこれ?ひっどーい。」

犬のぬいぐるみに棒が刺さっている。
棒というより矢が頭を貫通している。
藍はぬいぐるみを手に取り矢を引きぬく。

「えいっ」

するとぬいぐるみが白い光につつまれた。
藍は目をつぶる。

「きゃっ」
「助けてくれて、ありがとう。」
「えっ誰?」
「僕だよ。ほら。」

ぬいぐるみの手が動く。

「きゃあ、動いた。」

藍は思わず手放してしまう。
子犬は地面にうまく着地する。

「そんなに動かなくていいよ。僕はぬいぐるみでも動物でもない。妖精なんだ。」
「ほ?」
「そうさ。僕は魔法の国から来た妖精で、この世界を守るために来たんだ。」
「守るためって?」
「よく聞くんだ。この世界は邪悪な魔界の力によって滅びようとしている。
だから誰かがそれを阻止しないといけないんだ。
そこで僕は正義のために戦う人を探しているんだけど、何者かにやられて・・。
そんなことより引きうけてくれるよね。戦ってくれるよね。」
「ええっ!?そんなの冗談ぽいよ!誰が信じるもんですか。」
「あっちょっとまって、引きうけてくれるなら魔法をあげるけど・・。」
「魔法?」

今時の小学生は魔法という言葉に弱い。

「魔法・・・くれるの?」
「もちろん。手伝ってくれるなら。」
「じゃ、ちょうだい。すぐ見せて。」
「いや、ここじゃちょっと・・・。」
「あたしの家ならいいんでしょ。」

藍は子犬をつれて家に帰った。
ただし、犬を飼うことのできない恋ヶ窪家では隠さなければならない。

「ただいまー。」

両親は働いているので家には誰もいない。
さいわい健二の留守のようだ。

「ここがあたしの部屋よ。」
「くんくん。本当だ。女の子の匂い。」
「もう、なんで匂いかいでいるのよー。」

藍は赤くなる。

「いや、なんとなく。犬だからかな。」
「ワンちゃん早く魔法を出して。」
「ちょいまち。そのワンちゃんってなんだ。」
「名前あるの?」
「もちろん。僕は魔法の国ではセバスチャン・エトワールっていうんだ。」
「はあ?」

藍は目が点になる。

「なんだその”ダサー”っていう眼は!!」
「いやー、ちょっと呼びづらいような気がして。」
「セバスでもエトでもいいよ。」
「うーむ。」
「それじゃ、魔法のアイテムを出してあげるか。」
「わーい。」

藍は喜ぶ。
セバスチャンはなにやらブツブツと呪文を唱えて空中で1回転した。
するとその空中で光り輝く物がある。

「取ってみな。」
「うん。」

藍は恐る恐る手を伸ばす。
手でつかむと光は消えた。
手触りは柔らかく、まるでシルクのような・・。

「なにこれ!?」

藍は手で広げて見せる。
それはまさしく女性のパンティーだった。

「それを見に付けて呪文を唱えれば、大人に変身できるんだ。さあ早くつけて。」

犬の鼻息は荒くなっていた。

「信じたあたしがバカだった。こんなもの、こんなものみにつけられないよー。」
「ちょっと待って何するんだ。」

藍はパンティをごみ袋につめる。
止めに入った犬も中にいれる。

「明日は燃えるゴミの日だったかな。」
「ちょっとまってくれー。僕を火葬にしないでくれー。」
「だって、いきなりセクハラみたいなことするんだもの。」
「しょうがないじゃないか。僕だって好きでアイテムを持ってきたんじゃないから。
あっそうだ。もう一個のアイテムをあげるよ。」
「アイテム?」
「そうさ。これだよ。」

セバスチャンはまた空中1回転してアイテムをだした。
今度はまともそうなアイテムである。

「これは魔法のステッキ?」
「そうだよ。よくわかったね。」
「うん。よくテレビのCMとかでみるから。」
「・・・。」
「これがあれば変身できるのね。」
「いや、正確にはさっきのアイテムを身につけていないと駄目なんだ。」
「・・・・うっ、そうなの?」
「さあ、観念して。」
「わかったわ。」

藍はスカートの中に手を伸ばす。
そのとき犬の視線が気になる。

「やだ、見ちゃいや。後ろ向いて。」
「わかったよ。」

藍はパンティを脱いだ。
そして派手なパンティを手に取る。

「なにこれー。スケスケじゃない。」
「そうさ。伸びちぢみ十分。通気性バッチシ。天然シルク100%の高いやつ
なんだから。」
「こっち見ないでー。」

藍は犬に蹴りをいれる。

「きゃん。」

「これをこうして・・・、恥ずかしい・・・あっ食いこむ・・・。」
「それだ。なかなかいいよ。」

セバスチャンは鼻血を出している。
これが蹴りによるものか下着によるものかわからない。

「じゃ、呪文を唱えるんだ。」
「うん。」

藍はステッキをてにもつ。

「呪文はリパルラ・ネララド・ミルキースター。」
「リパルラ・ネララド・ミルキースター。」

辺りがまばゆい光につつまれる。
光は愛の体を包み込み体が大きくなる。
それは新しい衣装をまとった大人の女性であった。

「これが、これがあたし・・・。」

大きくなった藍は自分の手をみたり、鏡で全身を写す。

「そうだ。これが魔法の力なんだよ。これからは僕と・・。」
「おっしゃー。これで子供の行けない所に遊びに行けるぜ!!」
「えっ、ちょっとまって。」
「何よ。犬コロのくせに。」
「犬コロじゃない。僕はセバスチャン。」
「ポチよポチ!!。あんたはポチで十分。あたしに指図しないでよね。」
「そんな・・・。世界を破滅から救ってくれるんじゃ・・。」

犬は藍の周りを回る。

「ええい、まとわりつくな。」

げしっ(犬を蹴り飛ばす。)

「きゃいーん。」

つづく。

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