【タイトル】587
【 名前 】へっぽこー1号 <sage>
【 日付 】2000/09/13 23:57:57

前回の話は、577を踏襲しつつ、受け付け確認事に緊急アピールを知った 
事でお願いします、多分このスレッドで一番へっぽこなお話をどうぞ・・・ 

2000 12 24 22:43 
例年のようにカップルが外に歩いていると思うと軽いむかつきを憶えながら 
柳田康一は冬コミへ向けて衣装の縫製を行っていた。 
彼は裁縫が実は苦手だが意外と評判がいい、既成の服を切り貼りする事で裁縫の腕をカバーしていた 
カバー出来た点とモデラーの友人の協力が有る為、小道具作りが完璧だからだ。 
実の所は容姿がいいのが一番の理由だったりするのだが、如何せんオタク歴が長い為 
その手の事にとことん疎かった、もったいない限りである。 
気晴らしに手を休めてテレビを点ける、ニュースで昨日の大雪が原因の大渋滞の話を 
流している、本当に今年は異常気象だ、異常なまでの夏の暑さ、秋の台風は近年まれに 
見る規模で日本を襲い、今度はこの大雪・・・まさに世紀末と言うに相応しい 
自然災害の連発、更にコミケ当日も雪と来ている、寒さも相当なものだろう。 
もっとも今回のコスプレ衣装は黒いコートが主体なのでかなり防寒性に優れている 
夏にこれのコスプレをしていた人が居たが今にも倒れそうだったのを思い出した。 
ニュースが終わり、いつもながらのクリスマスソングが流れ出したのでテレビを消し、作業に戻る 
「さて、後はこの衣装に血のペイントをして完成だ」 
調合して血らしさを強調した塗料を衣装に上手く塗っていく 
康一は一抹の不安を抱いていた、「同人から足を洗う」「コスプレを辞める」 
学生生活も終わる為、コミケが最後とかそういうのは関係なく辞めるつもりだったが 
やっぱり未練が残る、でも復帰した所でどうするんだ?もうコミケはないんだ・・・。 
考え事をしながら作業をやっていた所為か塗料がはねて顔に付く 
すぐに洗面台で鏡を見る、まるで返り血のように見える。 
「なんか嫌な感じだな・・・」無表情かつ抑揚無い声でそう呟いた。 
日付も変わり、外では雪が降っている、5日後、その嫌な予感が現実となった
.
【タイトル】574
【 名前 】へっぽこー1号
【 日付 】2000/09/13 12:39:20

2000.11.11 17:10 都内某所 
「よっしゃ!こっちは出来たぞ!」 
柳田康一は思わず歓喜の声を上げた、サークル最後の原稿が出来たのだ。 
ふらつく足取りで冷蔵庫の中にあるユンケルを取り出すが開ける事が出来ない、 
当然である、昼は仕事で夜は原稿と言うスケジュールの為三日間寝ていない、それで 
力が有り余っているほうがどうかしている。 
ユンケルを諦め、相方の原稿に目をやる、ほとんど完成し、手も順調に動いている。 
数分間ボーっと原稿に目をやる、不意に同人を始めた頃を思い出した。 
元々レイヤーだった自分が何故同人誌を描こうと思ったのだろうか?今でも良くわからない 
ただ言えることはこの作品が物凄く好きなのだ、それのみが糧、それのみが活力。 
相方がペンを止め、力なく「終〜了〜」と言いながら後ろに倒れる、どうやら完成したようだ、 
後は印刷所に持ち込むだけだが、まだ当落通知が出ていない、いや正確にはインターネットで 
検索をかければ当落は解る、しかし最後のコミケは慣れ親しんだ封筒で判断したい 
最後のコミケ、最初は20世紀最後のギャグかと思った位だ、しかしまぎれも無い事実 
既にスタッフの手に終えない暴徒が多すぎる、このままでは何が起こっても仕方が無い 
妥当な判断だ、が納得など出来る訳がない、レイヤーとしての私、同人作家としての私 
それはココから生まれたのだ・・・これが親と子の離別みたいな物だろうか? 
ずっとそんな事を康一は考えていた、いや夢を見ていたのかも知れない、 
不意に玄関のほうで何かが投函された音が聞こえた、最初は夕刊かと思ったが思い出した 
今日は当落の発送日なのだ、ここは丁度都内で同一区間なのですぐ届く 
早速封筒に目をやる、間違いなく当落通知だ・・・配置場所が書いていない 
落選である 
今回は最後だからどうしても自分のスペースで来てくれる人を見ながら頒布したかった 
ので委託はまったくやる気が無かった、つまり原稿は無駄になった 
「まったくついてねぇ・・・」相方からどっかの映画主人公の呟きそうな 
怨嗟の声が聞こえる、「仕方が無い、衣装作るわ・・・最後だから派手に決めるぜぇ」 
しかし本当についていないのは康一の方だとはこの時は誰も解っていない。
.
【タイトル】575
【 名前 】へっぽこー1号 <sage>
【 日付 】2000/09/13 12:56

あ、でかすぎる矛盾が・・・なんで当落出る前に最後のコミケって知ってるんだ? 
夏コミ終了にアナウンスされた事にしよう、ゴメンナサイ、本当にゴメンナサイ 
・・・冬受かりたいなぁ
.
【タイトル】577
【 名前 】へっぽこー1号 <sage>
【 日付 】2000/09/13 14:11:20

一応修正します、内容も肉付け致しましたがやっぱりヘッポコです。 
2000.11.11 17:10 都内某所 
「よっしゃ!こっちは出来たぞ!」 
柳田康一は思わず歓喜の声を上げた、20世紀最後の冬コミ原稿が出来たのだ。 
ふらつく足取りで冷蔵庫の中にあるユンケルを取り出すが開ける事が出来ない、 
当然である、昼は仕事で夜は原稿と言うスケジュールの為三日間寝ていない、それで 
力が有り余っているほうがどうかしている、この状態ではペンですら重い。 
ユンケルを諦め、相方の原稿に目をやる、ほとんど完成し、手も順調に動いている。 
数分間ボーっと原稿に目をやる、不意に同人を始めた頃を思い出した。 
元々レイヤーだった自分が何故同人誌を描こうと思ったのだろうか?今でも良くわからない 
ただ言えることはこの作品が物凄く好きなのだ、それのみが糧、それのみが活力。 
相方がペンを止め、力なく「終〜了〜」と言いながら後ろに倒れる、どうやら完成したようだ、 
後は印刷所に持ち込むだけだが、まだ当落通知が出ていない、いや正確にはインターネットで 
検索をかければ当落は解る、しかし嫌な噂を聞いている、終わるコミケット 
そんな噂が飛び交っているが、感覚として事実だと認識していた 
そういう事情も有り最後(と思われる)のコミケは慣れ親しんだ封筒で判断したい 
最後のコミケ、最初は20世紀最後に向けてのギャグかと思った位だ、しかし情報を 
集めれば集めるほどそれはまぎれも無い事実だと痛感する。 
既にスタッフの手に終えない暴徒が多すぎる、このままでは何が起こっても仕方が無い 
辞めるのも妥当な判断だ、が納得など出来る訳がない、レイヤーとしての私、同人作家としての私 
それはココから生まれたのだ・・・これが親と子の離別みたいな物だろうか? 
ずっとそんな事を康一は考えていた、いや夢を見ていたのかも知れない、 
不意に玄関のほうで何かが投函された音が聞こえた、最初は夕刊かと思ったが思い出した 
今日は当落の発送日なのだ、ここは丁度都内で同一区間なのですぐ届く 
早速封筒に目をやる、間違いなく当落通知だ・・・配置場所が書いていない 
落選である 
たぶん自分らのサークル自体も最後だからどうしても自分のスペースで来てくれる人を見ながら頒布したかった 
ので委託はまったく考えては居なかった、つまり原稿はまるで無駄になった 
「まったくついてねぇ・・・」相方からどっかの映画主人公の呟きそうな 
怨嗟の声が聞こえる、康一は聞き流しながら、封筒を乱暴に開封する。 
落胆しながら送られてきた物に目を通す、緊急アピールと描かれた文章は 
予想していた事を形としてあわらしていた、解っていたとはいえなんともいえない 
悲しみが走る。康一の表情を見てか、相方も急いで内容を確認する。 
相方はインターネット等やっていなかった為、このことを予測していなかった 
私も伝えては居ない、もし伝えたら今まで以上に無理をし、私に原稿を描かせるだろう 
流石に5連続徹夜等やったら死ぬのは見えていた、今ですらこのありさまだ。 
「おい・・・これは・・・」嗚咽ともいえないくらい詰まらせた声で聞いてくる 
「ああ、今回で最後だった見たい・・・でどうする?」 
自分で言っておきながら何を如何するかまるで解っていない。 
 私は私の原点に戻る事にした、レイヤーとしての原点に 
 「最後だから派手に決めるぜぇ」 
 「俺はくたびれ損かよ・・・ついてねぇまったくついてねぇ!」 
しかし本当についていないのは康一の方だとは神すらも知りえない事実だった。
.
【タイトル】14
【 名前 】ヘッポコー1号
【 日付 】2000/09/19 11:35:20

2000/12/01 pm12:36 湾岸署 

昼休みの署内に怒号が響いた、警備課課長の怒号だ 
声だけでも怖いが顔も怖い、そんな人が今にも受話器を握りつぶさんとしている 
「コミックマーケットの雑踏警戒は最小限で良いですと!」 
相手の声は課長しか聞こえないが、どうやらかなりの人物らしい 
「しかし、当日は何十万の来場数に加え、紀宮内親王殿下もいらっしゃるのですよ」 
本人は怒りを押し殺しているらしいがはたから見るとやっぱり怖い、 
交通課から何とか引っ張ってきた若い婦警(今は女性警官だが)も萎縮しきっている。 
食事に誘うつもりだったけどそんな空気はこの空間に含有していない。 
「はぁ・・・解りましたでは、その様にします」 
怒りを通り過ぎて諦め顔になった課長に煮詰まったコーヒーを差し出す 
「一体如何したのですか?相当ご立腹の様子でしたが」 
「コミックマーケットの雑踏警戒を当初予定数の十分の一で良いそうだ」 
「それは無茶ではないんですか?それに警護は?」 
まだ新米の頃、雑踏警戒へ借り出されたことがあるが、 
あの人だかりは尋常ならざるものがあった、 
「その十分の一は全てVIP警護に回すそうだ、会場警備等はあらかじめ 
用意されている訓練済みの人材でやるみたいだな」 
「しかしあの広範囲のエリアにほとんど警官が居ないのは問題なのでは? 
何か起こったら如何するのですか?、又警察叩かれちゃいますよ」 
「仕方が有るまい、総監直々の命令だ」 
「ふむ、何か妙な話ですね、わざわざ・・・」 
突然話をさえぎるかのように話し掛けてくる 
「確か君は当日非番だったよな?」「嫌です」 
相手の提案の前に否定をした、が完全に無視され 
「個人的に行ってみてはどうかね?」 
「あの僕は刑事課なんすよ?何でまた・・・」 
「長年警察やってると嗅覚が鋭くなってね」 
理解した、一見単なる頑固なラーメン屋の親父といった感じの人、しかし 
犯罪に対する嗅覚は敏感だ、そんな人物がなぜ警備課に居るかは謎なのだが。 
「あーそうですねぇ、暇だったら行く事にします・・・交通費経費で落ちますかね?」 
「非番の者に経費が下りるのかね?あ、そこのレインボー最中なら持って行け」 
「別に良いですよ、年の瀬は何かと忙しいんですけどね、あ、捜査に行かないと」 
軽く課長に頭を下げ、ヒューストンのコートを肩に掛け、正面玄関へ向かった。

【タイトル】130
【 名前 】へっぽこー1号
【 日付 】2000/09/28 17:10:20

2000年12月11日 10:25  世田谷国立病院 
コミケで事件が起こる、それを予感した僕はある事故の被害者の病室へ向かった 
その事故はコミケとは直接関係は無い、がファン心理や同人を知らない僕に 
取っては重要な情報源(プロファイリング)として確実に有効なのだ 
時間はまるで残されていないが今はとにかく情報が欲しい 
病院独特の臭いがする廊下を通り、目的の412病室へ着いた、軽くノックをし中に入る 
その個室の病室にはベット、テレビ、棚が置いてあるが生活感はまるで無い 
ベットでは一人の少女が横になっていた、その事件の一番の被害者だろう 
「皐月祥子さんですね、先日連絡しました者です」と言いながら警察手帳を見せる 
祥子はくすっと笑った、が表情はどこか冷たい感じがする 
「まるで刑事ドラマそのままの事をするのですね」 
「ははっ、一応刑事ですからね、早速事件の事を聞いても言いですか」 
とにかく丁寧な口調を心がけて話をする、市民にとって警察は威圧の対象に見られやすい 

彼女は10月19日のイベントのサークルの参加者だったのだ 
あの事故が起こった時、ホールの入り口付近に居た為に割れたガラスの 
下敷きにされてしまった、これだけなら2ヶ月の入院は無かった 
最悪なのはこの後だ、人が彼女を踏み潰しながら通過していったのだ。 
結果彼女は右足を圧迫骨折、左腕を脱臼、凄惨なのは顔をガラスで切ったらしく 
左眼を失明、足の方は神経も切れてしまったらしくリハビリ中だ 

「・・・であなたは何故こんな事故が起こったと思いますか?」 
言った後、しまったと思った、一番の被害者に被害者の心理など聞くべきことではない 
祥子は目を閉じ、沈黙する・・・空気に鉛を流し込んだような雰囲気が部屋を包む 
そしてゆっくり答えた、一つ一つ慎重に答えを選んでいくように 
「・・・多分、これが結果だったのかも」 
「結果、ですか?」 
「そう・・・私たちが作り上げてきた物の最後、生命の進化の終焉と似て 
 自らの手で終焉を迎えるという結果が・・・」 
「・・・解らないな、何故自らの手で滅びの道を歩くのですか?」 
「色々な人がいるんですよ、純粋に同人が楽しい人、転売する事で 
 小金を稼ぐ人、お祭り気分でとにかくファン交流を楽しむ人とかさまざまですから」 
「では一部の人たちの為に全てが壊されると言う事ですか・・・」 
「ええ、悲しいけど既に始まってますから・・・」 

部屋をノックする音が聞こえ、看護婦が検温の時間だと伝えてきた 
僕は会釈をし、部屋を立ち去った 
病院を出て、駐車場へ向かいながら煙草に火をつける 
「終焉か・・・」 
彼女が言った言葉を呟きながら煙草の煙を吐き出した。 


どうもへっぽこー1号です、レヴォの事件をちょっとだけ膨らませて見ました・・・ 
相変わらず名無しの刑事さんです、今でも名前募集中です

Gポイントポイ活 Amazon Yahoo 楽天

無料ホームページ 楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] 海外格安航空券 海外旅行保険が無料!