【タイトル】398
【 名前 】ラスト
【 日付 】2000/09/07 05:15
〜 2000年 9月某日 都内某オタクショップ バックヤード 〜
「これが最後なら、全てを賭けたいです。」
作業の手を止めて、東 真寛(PN.かかしのまひろ)はそう言った。
「まひろん、バイト辞めんの?」
「いや…ホンマバイト辞めてでも描きたいですよ… エビさんは?
出してはるんでしょ?今回。」
「一応申込みはしたけどねぇ…。」
同人誌をビニール袋に詰めながら俺… 岡崎 悦司(PN.エビ天)は
そう答えた。
同人誌…コイツに心奪われてもう何年になるだろう。
最初に見た同人誌は地元のツレが通販で買ったエロパロだったなぁ…
高校最後の冬に初めて小さな即売会に行って…
代アニの時にはサークル作ってコピー本出したっけ…
アニメーターになるため上京したけど挫折して…
バイトしながら同人描いて…初めてコミケにサークル参加したのが…
「もう4年も前か…」そりゃ25にもなるわ。
「は?何がですか?」
「いや、で、まひろん何本出すの?」
「オリジナルですよ。一度本気でオリジナルやりたかったんで。」
「オリジナルかぁ…売れなさそうだねぇ…」
『そんなん、関係ないっスよ…!』
外の売り場に響くほどの大きな声だった。
「…社員…いないよなぁ…」
「すんません。でも本当そんなん関係無いんですよ。」
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【タイトル】402
【 名前 】ラスト
【 日付 】2000/09/07 05:55:20
俺も昔はそう思ってたよ。でも実際、売れないよりは売れた方がいいし、
なによりそのほうが楽しい。
開場2時間誰も寄り付かなかった時なんてマジ帰りたくなったもんなぁ…
ガガガ本が完売した時、無茶苦茶嬉しかったなぁ…
その後流行りのアニメとかゲームの本だして200〜300捌けるようになったけど
なにかこう情熱みたいのが無くなってきて…
去年は知り合いのマンガ家の栗田先生の本でチョロっと描いただけだもんな…
で、今はここでヒトサマの新刊をビニールに詰めている訳だ。
「商品、か…」
「全くですよ、同人をこんな…」
「まひろん、それ以上言うな。俺達はそれで金もらってんだろ?」
「………。で、エビさんは?何本出すんですか?またらぶヒナですか?」
「いや、あれは依頼で言われて描いただけで、実際思い入れゼロだって。」
「じゃあ?」
「天地。」
「マジすか!?今天地ですか!?」
「ん〜、なんか最近のアニメとかゲームハマれなくてさあ。最初に本出した
天地に戻ってみよーかなーなんて…」
「…それでいいんですよ、きっと。」
この最後の冬に天地でいこうと思ったのは単に時流に乗り遅れたのでは無く
無意識の内に終わりを感じていたのかもしれない。
俺自身の同人生活の終わりを。
本当に同人が好きだったあのころの思いを蘇らせ、全力で本を作る事によって
俺はケリをつける。この、コミケ最後の冬に。
「でもその前にサンクリの原稿やらねば〜」
「ガッデム!!」
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【タイトル】403
【 名前 】ラスト
【 日付 】2000/09/07 06:01
恥ずかし拙い文章で赤面!!しかも割れた!!(シロウト)
いや〜おれもこの熱いスレッドに参加したかったんですよ。赤面!!
あ、全部フィクションとゆー事で。青面!!
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