ToHeart
すべてを変えた出会い
まずは、アニメからはじまった
始めにいっておきますが、かつて私は、ギャルゲーというものに好意を持っていませんでした。ゲームという仮想世界に恋愛を仮託する、その行為を女々しいと考えていたのです。とはいえ今の私と昔の私とで、性格的に変わったところなど一つもないのですから、今思えば食わず嫌い…というより、認めたくなかったのでしょう、そんなゲームにはまれる属性のある自分を。ということでアニメ『ToHeart』を見ようと思ったのは、そういうダメなものを見て馬鹿にしてやろうという気持ちが主だったのですが、ひょっとしたらその時点で、ギャルゲーを許す心の準備が出来ていたのかもしれません。
もっとも、第1話をみた印象は、それほど良いものではありませんでした。ただ席替えのためだけに30分を使う、まさにゲームから流れてきた人間だけを対象にした内容に、やっぱり話のタネ程度にしかならなかったかと、失望しました。そのため第2、第3話は、見ることさえなくなりました。
「エクストリームは格闘技です!」
すべてを変えたのは、第4話でした。「そういえばこの時間、ToHeartってアニメをやってたな」とチャンネルを替えたのが、ターニングポイントでした。この回は格闘少女、葵ちゃんの話。おせっかい焼きの浩之ちゃんが、葵ちゃんがひとりで作った格闘同好会に付き合ってやることに…という話ですが…そこに現れたのは空手部・坂下! 「あなたのやってることは、ただの遊びよ」と、葵ちゃんを否定する。それに対して「エクストリームは格闘技です!」と反論する葵ちゃん。そこに現れた綾香。「そう、エクストリームは遊びじゃないわ。」その綾香の提案によって、坂下と葵ちゃんのお互いの格闘理論を賭けた他流試合が行われることに…
唖然としました。内容を知ってるゲームユーザーのために、ダイジェスト的に展開を省略してることはわかります。ですが、あるいはそのために、設定を知らない私にとっては「坂下って誰よ?」「エクストリームって何?」「綾香は何者?」「なんで試合するの?」「っていうより、これって恋愛ドラマなの?」と疑問が渦巻くばかり。そして坂下と葵ちゃんの闘いを見終わったとき、ひとつの結論が出ました。「ひょっとしてToHeartって、すごいんじゃないの?」 私はその事実を、遠隔地に住むギャルゲー否定派の友人に打電しました。友人の住む地域は放送日が1週間遅かったのですが、報告を受けた彼も、放送を見て納得したようでした。
痛恨のミス、そして購入へ
それ以後、アニメToHeartは私の習慣となりました。ネットの中でも、「あかり姉さん」というすたひろさん作のHPを見つけました。これは主人公の浩之ちゃんに甲斐甲斐しくつくすヒロイン神岸あかりが実は裏番で、浩之ちゃんがほかのヒロインとくっつかないように毎回妨害工作をするというアニメ版を裏読みしまくった痛快なパロディ作品で、そのネタを楽しむためにもより一層一生懸命に見るようになりました。そしてついに、マルチの回がやってきました。ギャルゲーに疎かった私でさえその存在を知っていた、オタク世界最大最強のキャラに、あかり姉さんはどう立ち向かうのか? そんな楽しみでいっぱいになっていた木曜日、私は寝過ごしてしまったのです。
大失態です。目を覚ましたら、次回予告だけやってました。いちおう前後半ということで、次の週は後半を見れたのですが、結局メイドロボという存在を良く知ることはできず、すなわちToHeartを味わいきれないまま、アニメToHeartは最終回を迎えてしまいました。
その後悔はその後もずっと尾を引きました。いったいマルチって何なんだ、何がそんなにすごいんだ…そしてついに、近所のゲームショップでパソコン版ToHeartを発見して、購入を決意したのでした。
実は当時持っていたパソコンは、3年以上前に買った古いノートで、Leafが最低環境として指定しているPentium100MHzにも足りませんでした。要するに購入は賭けだったのです。そして動作して、「Brand New Heart」が流れ始めたとき、ついに私のギャルゲー道は始まったのでした。
シンクロニシティ
夏休みになって、友人がこちらに里帰りしてきました。彼の大きなバッグの中には、プレイステーションとPS版ToHeartが入っていました。ギャルゲー否定派で、しかもセガ派でプレステさえ否定していた彼。彼もまたいつのまにか、ToHeartの魔力に魅せられていたのでした。ひとりなら怖くても、仲間がいれば歩いていける。夏の暑い部屋でプレステとパソコンを立ち上げ、マルチを同時攻略しながら、我々は思ったのでした。
概要とお気に入りキャラ
放課後の学校を歩いて、出会う女の子と仲良くなる…といったらベタベタですが、さすがは名作。シナリオの練りこみは非常によく、VSイベントなども面白い。ヒロインも8人(+1)と多いし、Hシーンもきっちりエロいから素晴らしい。
お気に入りのキャラですが、それぞれのヒロインにそれぞれの良さがあって、特定できません。まあ思い入れの強さからいえば、松原葵が一番ですが。「エクストリームは格闘技です!」は、私の扉を開いてくれた名セリフです。シナリオでは委員長が好きです。「心を開かせ、体も開かせる」という浩之ちゃんの手練手管が良く発揮されていて、気分の良いシナリオです。