東亜悲恋

2001.10.15(月)
青山劇場

 さて、行って参りました、『東亜悲恋』。
 感想は、
 責任者出て来いっ!!    以上。







 いや、待て私。いくらその通りでもそれで終わるのは、がんばってすばらしい演技をしていた役者さんたちに申し訳ない。
 正確に言うと、脚本、演出に多いに問題がある芝居だったということなんですが…それゆえに、役者が良い演技をしているのに、後味が悪い芝居となってしまいました。
 芝居を楽しみにしていた分、非常に残念でした。

 一体何がそんなにいけなかったのかといいますと、まず、一つの芝居に、テーマを盛りすぎてるのが一つ、そして、制作側に、ある種のウケねらい的な要素が見られるのが一つ。
 韓国と、日本との、さまざまな問題と、恋愛と、青春時代の思い出…そんなに盛り込んでどうすんのよ。
 せめて、恋愛か青春かどっちかに絞るべきだったね。
 ストーリー展開を簡単に説明しておきましょう。…自信ないけど…

 過去のトラウマから、野球が嫌いになったスポーツ記者、井原快彦(どーでもいいけど、せめて名前くらい考えて欲しいね。)が、仕事の都合で韓国へ渡り、そこでダンサーになる為の資金集めの為に、日本語通訳でバイトをする女子大生イー・ミナ(シュー)と出会い互いに惹かれていく。しかし、彼らの間には、国という大きな壁があり、それにぶつかり、悩む二人。そしてその壁とは、野球少年だった昔にもぶつかったことのある壁だった。
 当時、高校生だった快彦は、甲子園をめざし、野球に打ち込んでいた。そのときの同級生岩本(横山 裕)が、在日韓国人でだったのだ。そして、その同級生の体の弱い妹麻利子(シュー二役)と恋に落ちた快彦は、二人の間に何があって、何がないのかに悩む。
 いくつもの障害の前に、その恋は終わってしまい、快彦のもとに残されたのは、彼女からの別れの手紙と、岩本から告げられた彼女の死亡報告だった。
 それを告げられたあと、岩本も姿を消し、岩本の夢だった甲子園の切符を手にする為に、地区予選準決勝のマウンドに立つ快彦。しかし、精神的ダメージが大きすぎて、その試合に集中できず惜しくも敗退。その後野球から離れてしまう。
 数年後、韓国で岩本と再開し、あの時告げられた彼女の死亡がうそだと知れる。
 心に残ったしこりを取り除くことができて、ミナと向き合えるようになった快彦は、ミナの元へ向かう。
 踊り続けるミナ。
「ボクは、正直に言います。ミナ、君が、君が……」
「言わないで! お願い……」
「ミナ、ボクは君が……」
 抱き合い、キスをする二人。
 幕。

 ……非常に簡単にしちゃいましたが、こんな感じです。
 私は一括にまとめてしまいましたが、過去のシーンと現在のシーンが交互に絡んできて、二つの時間軸を言ったり来たりします。
 しかも、セットはほとんど変わらず、常にバックネットと、グラウンドのセットのまま、台詞と、スモーク、照明で場面展開をしていきます。なので、うっかりしてると、今がどの時間軸に当たるのかがわからなくなって、混乱する恐れあり。
 まず、何が言いたいのか、そして何がやりたいのか。その範囲を広げすぎたが為に、そのすべてが中途半端でうまく消化されずに残ってしまってます。
 どうせだったら、的を過去のトラウマに絞っちゃって、現在の快彦は、冒頭とラストだけにして、後は全部回想シーンにしたほうがすっきりしたと思うんですよね。
 ミナの役どころも、今のままだと非常に中途半端で、出てくる意味が不充分なので、この際なくして、麻利子役一本にするか、ミナと、麻利子を同一人物にしてしまったほうがストレートでわかりやすい。
 それとね、変な突っ込み入れるけどさ、これって『悲恋』だよね…だったらテーマ的にも、ミナとのこれからの恋よりも、麻利子との終わってしまった恋にスポット当てる方がいい気がするんだよね。
 まぁ、あれから二人が幸せに暮らしましたとさ、なんていく分けないと思うけど、あの瞬間は、二人にとって幸せな時間のはずだから、そこで幕が降りるってことは、話的にはハッピーエンドの枠に入ると思うんだよね。
 それって『悲恋』かな。と、思ってみたりもして…いやね、確かにそこまでたどり着く過程も、これから先の道先も『悲恋』かも知れないけど、そうじゃないだろ。裏タイトルが『ロミ・ジュリ』だからね…

 ここまでは主に、脚本の問題でしたが、(一部演出の問題もあるけど…)さて次。ウケねらいについてですが、これは演出の問題ですね。
 まず第一に、会場に入って思ったことが、なんで客入れの音楽がVolume6なんだ(爆)
 私は芝居を見に来たわけで、コンサートに来たわけじゃないぞ。しかも、コンサートでも自分たちの持ち歌は流さねぇだろっ!
 なんで芝居を見に来て『ちぇんじざわー』とか『おーばーどらいぶ』とか聞いてんのか…(爆)
 そのうえ、はじまっていきなり、『きっくおふ』で踊り出す役者…それはなに?
 さらに、メインテーマが『なつのめもりー』……だから一体それはなんなのっ!?
 なんで…どうして…役者・井ノ原快彦を見に来てるのに昌行さんの声がするの…
 シリアスなシーンの後、場面が切り替わると同時にいきなり流れ出す『なつのめもりー』…聞こえるたびに我に返ってずっこけてしまう…せっかく、芝居の世界に没頭しかけたのに…(泣)
 そして、カーテンコールの曲までこれ。
 しかも、キスシーンのあと、感動的に音楽が盛り上げたと思ったら、余韻もなくはじまる『なつのめもりー』(泣)
 踊り狂う役者さんたちは面白かった…が、しかし…それはどうなの?
 脚本、演出はともかく、役者陣の演技はすばらしかった。だから彼らに拍手をしてあげたいのに、『なつのめもりー』の所為で、拍手が出拍子になりそうで…そして聞こえてくる坂本昌行の声…なんかおかしい…
 なんかね、『アイドルが主役で、客はそれのファンだ。なら、曲を流せば喜ぶんじゃないのか?』みたいなノリを感じるのね。それでファンが喜ぶと思ってんのっ!とか言いたくなるし…
 少年隊とか、光一さんのミュージカルのショータイムで、持ち歌やるのは全然かまわないのよ。だってそれは、素の、というか、彼らの本業での姿になるわけだから。だがなぁ、劇中に持ってくるのはいかがかと…もっとその場面に合う、良い曲があるだろうに…
 そして、途中で歌が入って踊り出すもんだから、とてもストレートプレイに見えない…いや、別に良いのよ。ストレートの舞台で踊ったって。しかしね…そのシーンが脈絡もなく多すぎるのよ。

  なんかね、主催がフジだからどうか知らないけど、妙にフジTVくさい演出なんだよね。
 例えるならば、『ViVa』の第1回放送の時のような感じ。
 あの時も、妙に作りかたがウケねらいっぽくて、わざとらしくて嫌だったんですが、あんな感じになっちゃってます。

 私がV6にはまったきっかけが、演技をする役者・井ノ原快彦なだけに、彼の演技が生かされない演出になっとくいかないものを感じています。
 だから今日は役者を見に来たわけで、コンサートを見に来たわけじゃないのよ。何度も言うけど。
 アイドル・イノッチを見るんだったら、メンバーと一緒にいるときがいいっ!
 彼は、役者であろうとして、懸命に演技をしているのに、その周りがアイドルを要求している気がしてなりません。
 私はそんな中途半端なものを見るために、激貧の懐から大金を出したのか…と、思うとちょっとやりきれない(泣)

 まったく、どうして良いものかわからない思いをしておりますが、 芝居を見た後に、こんな後味悪いのはそう滅多にあることじゃないです。 しょうがないので、月末のFOOT LOOSE楽日で昌行さんに癒してもらいます(爆)
 

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