Magical Logic Factory Presents
PC温故知新
CP/M 80は、その誕生から数多くのソフトを生み出し、
ひとつの文化をつくっているといっても過言ではない。
それは64KBメモリと8ビットCPUという
小さな世界に生まれた
箱庭のようなものかも知れない。
この小さな、甘美な世界は、豊かで面白い
世界なのだ。
最近は巨大で複雑なOSが多くなってきたが、
CP/M 80では
都会から緑豊かな田舎にやってきたときのような、
ほっとした気分が味わえる。
( 工学社発行 「CP/M 80の世界」の表紙に書かれていたメッセージより )
CP/Mとはなんぞや
CP/Mは、今は亡きデジタルリサーチ社が開発したインテル8080CPUを搭載したマイクロコンピュータシステム向けのディスクオペレーティングシステムです。CP/Mが開発された当時は、今のようにエンドユーザーアプリケーションを動かすためのOSというより、ソフトウェア開発者向けのOSとして扱われていたように思います。
CPUにインテル8080(もしくは上位互換品)を搭載していても、ハードウェアの仕様は各社各機種でバラバラだったために、デジタルリサーチ社はBIOS(基本的な入出力サブルーチン)部分のソースコードを提供し、それを各マシンの仕様に合わせることが必要でした。メーカー製コンピュータの場合はメーカー側でその作業を行ってCP/Mを自社のパッケージとして販売することもできましたし、自作マイコンでCP/Mを動かすようにするアマチュアユーザーもたくさんいました。日本のマイコン雑誌でもCP/Mの移植記事が掲載されたりしていました。
また、CP/MをPCの標準搭載OSとして採用するメーカーもありました。SONYのSMC-70/777やEPSONのQC-10,HC-40,HC-80などがCP/M(もしくは互換OS)を搭載していました。
Apple2やFM-7/8などの8080非互換なCPUを搭載したマイコンでも、CP/Mを動かすためにZ80ボードが提供されるくらい、当時はCP/MというOS上で動くソフトウェアが広く普及し使われていました。しかし、16ビットCPU時代になると、デジタルリサーチもインテルの8086用のCP/M-86も発売したものの、マイクロソフトのMS-DOS(PC-DOS)に市場を奪われ、CP/MというOSは徐々に姿を消していったのでした。その後デジタルリサーチ社はMS-DOS互換のDR-DOSを出したりしていたのですが、Netwareのノベルに買収され、デジタルリサーチ社自体も無くなってしまいました。
CP/Mの種類と仲間
CP/M 1.4
SONYのSMC-777に添付されたSMC-FilerのベースになっていたCP/Mの1バージョン、としてしか知りません。
CP/M 2.2
通常、CP/Mといったらデフォルトでこのバージョンのことです。たぶん。
P-CP/M
ユーザーインターフェースをよりユーザー向けに改良したCP/Mで、「Personal
CP/M」の略。
国産PC用としてはMZ-2500用P-CP/Mがシャープから発売されていました。
CP/M plus
詳細は不明ですが、デジタルリサーチから正式に供給されていたCP/M 2.2上位互換のOS。
CP/M 3.0
8ビット用CP/Mの最終バージョン。
バンク切り替えによる大容量メモリ、カレンダクロックなどのハードウェアが必要でした。
MP/M
マルチユーザー版CP/M。
CP/M 86
インテル8086CPU用のCP/M。
このOSがリリースされてから、8bitマシン用のCP/Mは混乱を避けるためにCP/M
80と呼ばれることが多くなりました。
コンカレント CP/M 86
CP/M 86のマルチタスク版。
CP/M 68K
モトローラ68000CPU用のCP/M。
主なCP/M用ソフトウェア紹介
MACRO-80
マイクロソフト製の8080/Z80のコードを生成するマクロアセンブラです。
CP/Mに付属するアセンブラはインテルニーモニックしか使えなかったのですが、こちらはザイログニーモニックを使うことができました。
BASIC-80
マイクロソフト製のBASICインタプリタです。
BASCOM
マイクロソフト製のBASICコンパイラです。
BDS C
CP/Mでは一番ポピュラーなCコンパイラだったと思います。
日本ではライフボート(現ソフトボート)が代理店でした。
ライフボートのお手ごろ価格のα-Cや、X1用のランゲージシリーズのCや、SMC-70/777用のSMC-Cとして販売されていたCコンパイラは全部このBDS
C(もしくはBDS Cのサブセット)です。
Hitech C
BDS Cが本物のC言語から見るとかなりサブセットだったのですが、Hitech Cはビットフィールドを除き
UNIX V7のCと完全にコンパチブルなのと、ライブラリのソースコード付属しているのが売りでした。
日本ではサザンパシフィックが代理店でした。
Small C
フリーソフトのCコンパイラなんですが、日本では工学社が販売していました。(^^;)
Turbo Pascal
ボーランドの初めての製品で、かつ世の中にボーランドの名を一気に広めた名ソフトウェアです。
エディタとコンパイラが一体になった統合開発環境と、恐ろしいほどに高速なコンパイル、そして低価格が売りでした。
日本では最初はサザンパシフィックだったのですが、あとでMSAが代理店になりました。
Pascal MT+
デジタルリサーチ社のPascalコンパイラです。
WordStar
英文ワープロのベストセラーです。
WordMaster
スクリーンエディタです。
CP/Mに付属のエディタ EDはラインエディタでした。
CP/Mソフトの入手先
Unofficialといいながらも、現在のCP/Mの権利関係を保有しているCaldera社から許可を得て、今は亡きデジタルリサーチ社製のソフトウェアなどの配布を行っています。
Oakland University CP/M Archive
CP/M用の各種フリーソフトが保存されています。
CP/M Users Group Disk Archive (at oakland univ.)
CP/Mユーザーズグループが配布していたPDSフロッピーをそのままアーカイブして保存しています。
CP/M上で動作する Cコンパイラです。
市販ソフトだったのですが、現在は開発元のオーストラリアのHitech Softwareが自社のWebサイトで無償で公開しています。