二次創作コラム |
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その1 二次創作とは? | ||||||
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…とかタイトルつけといてナンですし、私が作っているKanonのDNMLも「二次創作」らしいんですが、私はどうもこの言葉に今ひとつ馴染めんのですな。 こんな言葉、どっから広まったんだろう? と思ってましたが、法律用語でしたか…。 (この辺の話について知りたい方はこちらをご覧下さい…でも、行きっぱなしじゃなくて戻ってきてね☆) だいたい私は、もともとマンガにもアニメにもゲームにも詳しくない、単なる一人のミステリマニアですから、(書きながら思いましたが、このレトリックは佐祐理さんのアレですな)推理小説業界でよく使われる「パロディ」「パスティーシュ」という言葉の方がしっくり来たりするわけです。 日本の文壇に「パスティーシュ」という言葉を普及させた第一人者、清水義範氏はこう語っています。
この言葉、日本語では「贋作」と訳すのがセオリーみたいですが、どーにもちょいと字面が悪い。カタカナのままにしておくのが無難でしょうね。 似た言葉に「パロディ」というのもありますが、どーもニュアンスが違ってギャグ色が強くなります。私見ですが、おおざっぱに言うと
てな感じでしょうか。 んで、私はどちらかというと「二次創作を作ろう」というより「パスティーシュを作ろう」というつもりでDNMLを作ってたりします。 あれは「真面目な模倣」なんですよ。もしかしたらそうは見えないかも知れないけど…。 | ||||||
25-Apr-2000 By おーふな |
その2 二次創作の男 |
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その1で書いたように、私のホームグラウンドはミステリです。で、この分野における二次創作(パロディ/パスティーシュ)といえば、まず思いつくのがシャーロック・ホームズ物です。 まだ原作が書かれていた頃から、いろんな国のいろんな作家に書かれ続けて100年以上。ファンやアマチュア作家はもちろん、英米のメジャーな本格推理小説家はたいがい1編くらい書いてますし、日本にも書いたことのある作家は大勢います。おそらく、二次創作の作品数としては世界最多でしょう。 で、ホームズ物の二次創作作家として有名な人に、オーガスト・ダーレスという作家がいます。 ダーレスのホームズ・パスティーシュの特徴として、固有名詞を変えてあるという点があげられます。「ベーカー街に住むシャーロック・ホームズ」が「プレイド街に住むソーラー・ポンズ」になってるわけです。(これは私の推測ですが、シリーズ化するため、著作権に気を遣ったのでしょう) キャラ設定はほぼ同一なんですが、名前(ともちろん作者)が違うと、微妙に雰囲気が変わります。ホームズの二次創作としてではなく、ソーラー・ポンズ本人のファンも英米には結構いるとか。(日本ではあまり受けずに、翻訳された短編集も絶版ですが…) ダーレスはもう一つ、ホラー小説の分野でも有名です。 が、こっちもメインは二次創作なんですね。H.P.ラブクラフトの『クトゥルー神話』シリーズを書き継いで、様々な設定を追加し(おかげで毀誉褒貶が激しいようですが)、クトゥルー世界を広げています。 二つのジャンルで名を残したプロ作家でありながら、どちらのジャンルの代表作も二次創作だった、というあたり、なんか業の深さを感じます。 もしかすると、創造力を発揮するのにも何らかの下敷きが必要なタイプだったんでしょうか。私もそうなので、なんか親近感持ってしまうんですが。 それとも、オリジナルはあんまり受けなかったのかなあ。(私はこの人のオリジナル作品は読んだことないんですが)…そうだとすると、ちょっと切ない話ですね。(^_^; |
25-Apr-2000 By おーふな |
その3 DNMLの素晴らしさ | ||
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大河ファンタジー小説「グイン・サーガ」シリーズその他でおなじみの栗本薫女史が、中島梓名義で出した『新版・小説道場』(全4巻、光風社出版)という著作があります。 かの有名な『JUNE』誌に連載された、小説作法…もっと正確に言えば、「やおい小説の書き方・批評添削講座」てな感じの記事をまとめたものです。 ※ちなみに第1巻は、やおいに限らずジャンルを越えて、小説(SS)を書きたいすべての人必読です。絶対オススメ。 それによると、「JUNE小説」(当時はまだ「やおい」という言葉はなかった)の定義とは、以下のようなものだそうです。
(1)〜(3)はともかく、最後の(4)の項目に注目してください。 これは、「その種の特殊ノベルの特性」という形に一般化されています。やおい小説のみを指したものではありません。熟読玩味すれば、二次創作全般についても非常によく当てはまる一文だと気づかれることと思います。 「仲間うちの符丁」……登場したとたんに転べば、それはあゆと決まってます。(うぐぅ) 「仲間うちの寛容さ」……なじみのキャラが出てくるだけで、読者に対し、ある程度の好感度は期待できます。 (一次創作では、キャラになじんでもらうまでが一苦労なんですが) KanonのSSやDNMLは、Kanonファンが読むから面白いのです。 たまーにKanonにONEのセリフ等を絡めた物がありますが、ONEをプレイしていない私には意味が分からないことがあります。こうなると、面白く読むのはちょっと難しいですね。 さて、ここでやっと表題の話になってきます。 DNMLの良さは、「元のゲームを持っていない奴は、DNMLブックを読めない」という点にあります。 これは、普通の一次創作型の小説などにおいては、必要以上に読者層を狭めてしまい、致命的な欠点となりうる特徴です。 がしかし、「二次創作メインのシステム」という点からみれば、長所に転じます。なにしろ、DNMLブックを読むことができるのは、上で言う「仲間うち」だけなんですから。 もしこういう特性がなかったら、私はきっとDNML制作に手を出さなかったでしょう。「仲間うちの寛容さ」が100%期待できるからこそ、一次創作に自信のない私でも挑戦してみる気になったのです。 DNMLは、自己表現の敷居を下げる、すばらしいソフトなのです。 …だからって、敷居下げまくって、つまんないブック垂れ流すなって? そこはそれ、「仲間うちの寛容さ」で勘弁して下さいよー。(笑) | ||
25-Jul-2000 / 15-Sep-2000 By おーふな | ||
その4 ふられ男の嘆き節 |
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ある方が、Key社にある問い合わせをしました。 その結果を聞いて、私はガッカリしました。 それから少しして、今年の2月13日、最高裁判所で一つの判決が言い渡されました。 この裁判は、「ときメモ」の、パラメータ改変済みメモリーカード(各パラメータをバカ高く設定した奴だそうです)を販売していた会社が、コナミに著作権法違反で訴えられていた、という裁判です。 結果は、コナミの勝訴。 このメモリーカードは「本件ゲームソフトのストーリーが本来予定された範囲を超えて展開され、ストーリーの改変をもたらすことになる」ので、制作者の「同一性保持権を侵害するものと解するのが相当である」(以上、色変え部分は判決文より)のだそうです。 …同一性保持権、って何? このニュースを新聞で読んだ私は、少し調べてみました。 同一性保持権というのは、著作権の一種で、早い話が作者の同意無しに作品を改変してはいけない、ということらしいです。 まあ、そりゃそうだよね。せっかく小説書いても、編集者に勝手に書き変えられたらたまらないし。 そう言う場合を想定した条文だろう、と思っていたら… パロディも、作者に無断でやれば、この、同一性保持権の侵害に当たるのだそうです。(マッド・アマノ氏が、他人の撮った写真をコラージュしてパロディ化した時の裁判が有名ですね) この、同一性保持権という言葉を調べてみて、ようやくKey社の態度に納得がいきました。 Keyのホームページをご覧になった方ならおわかりの通り、あそこには「素材引用ルール」が掲示されています。大ざっぱに言えば、「二次創作」はOKだけど、「素材引用」はダメよ、ということですね。 しかしその「二次創作」と「素材引用」の線引きの中に、DNMLなど、ゲーム中のCGを表示させるタイプのものが書いてないんですよ。(Leaf社とかだと、許可されてるんですけどね) で、初めに書いたように、ある方がKeyにこの件について問い合わせをしたところ、「DNMLはグレーゾーン」で、白黒ハッキリ言い切れないが、あまり望ましくない、というようなニュアンスだったそうです。 「なぜだーっ! ゲーム持ってない奴はプレイできないんだから、Keyの収益にとってマイナスになることもないし、構わないじゃないかーっ!」とその時は思っていたんですが… 同一性保持権というのは、著作権の中でも、「著作者人格権」に属するのだそうです。 早い話が、「パロディは作者の人格を傷つける行為だから、無断でやっちゃダメだよ」というのが、日本の法律の立場なわけですね。 私たちDNML作者から見ると、DNMLというのは、「こっちの作ったストーリーに合わせて原作の画像を表示している」んですけどね。 立場を変えれば、「画像を元に、原作のストーリーを改竄している」とも確かに考えられますし、もしも裁判になったりしたら、きっとそう言われるんでしょう。 そして、たぶんKey社は、自社のゲームを、小説や映画と同じ気持ちで作っているのでしょう。(確かに、製品の端々からそういう感じは受け取れます) それならそれで、自分たちの「作品」を、いじくり回されたくないという気持ちも、まあわからないでもないです。 でもね、ゲームは、小説モドキでも映画モドキでもなく、本当は「おもちゃ」の筈だと思うんですよ。 でね、1種類の遊び方しか許されないおもちゃってのは…言いたかないけど、あまり出来のいいおもちゃじゃないですよね。良いおもちゃは、遊び手の創造力次第で遊び方が広がるものなんだけどなあ…。(子供の頃、覚えがあるでしょ?) なんかね、今度のことは本当にショックでした。 例えて言うなら、遠くから見ていた憧れのあの娘が、オレの行動を気味悪がっていた、と知らされたようなショック。 私は愛情こめてパロディ化してたつもりだったんですけどね。 そうか、オレの愛はKeyには届かなかったのか…ううっ、泣けてくるぜ…。 そんなわけで、ホームページ開設1周年という、めでたい席で言うことでもないような気はしますが… 本日、このブックの発表をもちまして、私はKanon及びKey社製品の二次創作から撤退いたします。 以後は、DNMLを許可してくれている、Leaf社の製品に関する二次創作をメインとしたいと思います。 |
11-Mar-2001 By おーふな |
その5 敗北宣言 |
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負けました。 ええもう、どうにでもしてください。 この半年間、Kanonの二次創作から離れて、ToHeart物をメインに作ってきたんですが、やっぱり私はKanonが好きなんです。 本日以降、相変わらずのんびりとですが、Kanonの二次創作に復帰いたします。 いえ、ToHeartに罪はありません。 キャラクターもシナリオも良く練られた、素晴らしいゲームですし、たぶん完成度で言えばKanonより上でしょう。(Kanonは、なんだかんだ言って、けっこう傷やら穴やら多いですからね……) でも…… 私の頭の中にはもう、「うぐぅ」とか「あぅーっ」とか「ふぁいとっ」とか「嫌いじゃない」とか「あははーっ」とか「了承」とか……そういう要素がきっちり刷り込まれてしまっていて、DNMLブックを作っていると、彼女らが顔を出そうとするんですよ(^_^; これじゃあかりやマルチに申し訳ないです。 というわけで、復帰第1弾として、まずはこれをどうぞ。 番外編的な話ですが、とりあえず、私がこのホームページで公開するちょうど30本目のブックです。 …こうなると悔やまれるのが、撤退宣言しちまった時に、ついうっかりシリーズ完結させちまったことですが…。 おそらく次回以降、まるで何事もなかったかのように(^_^; 「おーふなKanon」シリーズは復活して、続いていくことでしょう。他人事みたいに言ってますけど。 |
30-Sep-2001 By おーふな |
その6 継続と変化 |
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今、
かのんSS−Links
で「かのんSSこんぺ」をやってます。 みんな匿名でSSを持ち寄って、読者投票で一番を決めようという企画です。 んで、私も毎晩少しずつ読み進めてるわけですが、読みながらある人のある言葉を思い出しました。 と言っても、出典が何だったか思い出せないんです。 ここ何日か探してるんですが見つからなくて……きちんとした引用という形にはなりませんが、記憶で書きます。 「シリーズ物を作るのは難しい。前作と同じだったら文句を言われるし、まるっきり違う物にしても文句を言われる。我々のやらなければならないことは、『いつもと同じだけど新しい』物を作ることだ」映画の、007シリーズを作り続けてるプロデューサーの言葉だったと思います。 ……二次創作も、これと似てますよね。 原作そのまんまじゃ価値がないし、変えすぎても意味がない。 ホント、難しいなあ……。 |
11-May-2002 By おーふな |
その7 感想と感想の感想 |
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今、
かのんSS−Links
で「第2回かのんSSこんぺ」をやってます。 ……って、その6と同じ書き出しだな(笑) それはともかく、こんぺ出展作品に関しては、前回同様、できるだけ感想書きたいと思ってます。 で、前々から私は、自分が何か創作物を見る時に、評価軸が3つあることに気づいてました。 1.好き/嫌い 2.面白い/つまらない 3.完成度が高い/完成度が低い 嫌いでも面白いものはありますし、面白いからといって完成度が高いとも限らない。この3つの軸は(少なくとも私にとっては)独立してるんです。 たとえばKanonは「大好き」だし「面白い」けど、「完成度はたいしたことない」と思ってますし、ToHeartは「面白」くて「完成度も高い」んだけど「好き」の度合いがKanonより少し低い、とか。 今回は、この3本の軸に沿って、各3点満点+αで採点してみようかと。 それと、私のSSに寄せられた感想についても、評価と感想を書いてみようかなんて企んでます。 1.わかりやすい日本語で書いてある 2.自分の評価の理由を明らかにしている 3.作者の書きたかったことを理解している 今回のSSこんぺにおける感想というものを評価するとしたら、この3本柱あたりが妥当じゃないかと思うんですが、どうでしょうかね。こっちも各3点満点+αでやってみたいものです。 ……もしかして、ケンカ売ってるように思われるかしらん? |
16-Sep-2002 By おーふな |