ホームページ公開一ヶ月記念SS

 



 Pia・キャロットへようこそ!!2 Short Story

 



 Feeling Heart 〜木ノ下留美〜

 



 PRESENTED BY じろ〜






 彼との出会いは偶然だった。



 「あ〜ん、今日も遅刻だよぉ〜どうしようかなぁ・・・このまま帰ろうかな?」

 「あの・・・本店の人ですか?」

  「は〜い、そうだけどあなたは?」

 「あ、俺は中杉通り店の前田耕治といいます」

 「私は留美っていうの、よろしくね♪」



 お兄ちゃんに頼まれて書類を持ってきた耕治君と初めて出会ったんだよね・・・。

 はじめは気にもとめなかったんだよ、本当はね。

 でも、お兄ちゃんが家でよく耕治君の事を留美に話してくれたんだっけ・・・。

 『昔の自分によく似てる男の子がいるんだ』ってね。

 それで留美も話を聞いてるうちにだんだんと耕治君に興味を持つようになったの。



 「えっ、留美さんて店長の妹なんですか!?」

 「そうなんだよ、だから今日お兄ちゃんに耕治君を連れてきてってお願いしたの」

 「そうだったんですか・・・てっきり店長の婚約者なのかと思っちゃって」

 「あはは〜ちがうよ、お兄ちゃんが好きなのはさとみお姉ちゃんだもん」

 「そうなんですか」

 「そうだよ」



 そうそう、この時耕治君って早とちりして留美をお兄ちゃんの恋人だと勘違いしたんだよ。

 それはそれでちょっとは嬉しかったけどね・・・。

 食事が終わって帰り際に耕治君のほっぺたにキスをしたら耳まで真っ赤になって可愛かったなぁ。

 そして今度は私が二号店の方にヘルプとして行った時に耕治君と再会したんだよ。



 「だぁ〜れだ?」

 「もしかして留美さん?」

 「ぴんぽ〜ん、解んなかったらどうしようかと思っちゃった♪」

 「あははは、ちゃんと解りましたよ留美さんだって」

 「本当かなぁ?」

 「もちろん!」



 私はその日、仕事の合間に耕治君のことを見てて彼についていろんな事を知った。

 耕治君のフロアで接客する姿、倉庫で汗水垂らしてかたずけてる姿、意外に上手い

 包丁さばきなどなど・・・。

 それに女の子に人気があったりすることも・・・。

 二号店はおろか同じヘルプのつかさちゃんさえも耕治君のことを慕っていた。

 本当に、まるでどっかの誰かさんみたいだった(笑)

 そう、耕治君はお兄ちゃんに良く似てたんだよ。

 留美の大好きなお兄ちゃんに・・・。



 「ねえ・・・耕治君もこっちにきて一緒に飲もうよ〜」

 「いえ、遠慮します」

 「もう、付き合い悪いんだからぁ〜」

 「俺はまだ十八ですから」

 「ぐすっ・・・留美の事嫌いなんだぁ〜」

 「わわっ、そんなことないですよ」

 「それじゃあ留美と一緒に飲もうよ♪」

 「はいはい・・・」



 そしてその日の夜に、葵さんと一緒に耕治君の部屋に押し掛けて一晩中騒いだんだよね。

 でもね、その時断られたらどうしようと思っていた留美の胸はドキドキして大変だったの。

 そう、こんな気持ち初めてだったよ。

 ひょっとしてこれが恋なのかなって思ちゃった・・・。



 「耕治君、朝だよ」

 「う〜んむんにゃむにゃ・・・」

 「耕治君、起きて」

 「ぐう〜」

 「むう、手強いなぁ・・・ようし!」

 「こ・う・じ・く・ん・お・き・て、ん〜」

 ちゅっ♪

 「ん? 留、留美さん・・・うわっ!?」

 「へへっ、おはよう耕治君♪」

 「ど、どうして留美さんがここに?」

 「だいじょう〜ぶ、留身は何にもしてないから」

 「へっ?」

 「あははは〜」



 初めて男の子の部屋に泊まったけど、耕治君と一緒に寝ても安心して眠れたよ。

 まるでお兄ちゃんといるような感じがして嬉しかった。

 ほんと、耕治君って不思議な男の子だなって・・・。

 でも、その時留美は気づいていなかったんだよね。

 耕治君を傷つけることになるなんて・・・。



 「それで酷いんだよお兄ちゃんて・・・」

 「・・・・・・」

 「留美の気持ちを全然解ってくれないの」

 「・・・・・・」

 「留美はこんなにお兄ちゃんのことが好きなのに!」

 「・・・・・・」



 そう、この時留美は気がつかなかったんだよね。

 留美の一方的な話しを聞く耕治君の顔が苦笑いのように悲しいようになっていたのを・・・。

 自分のことばかりで他の人のことを全然考えていなかったの。

 今更ながら酷い事してたんだね・・・ごめんね耕治君。



 「耕治君、どうしたの?」

 「・・・留美さん、僕は店長じゃありません」

 「え?」

 「留美さんこそ全然解ってないじゃないですか」

 「な、なに・・・」

 「俺は留美さんがこんなにも好きなのに・・・」

 「耕治君・・・」

 「気づいていますか? いつも俺と店長を比べているって事に・・・」

 「そ、それは」

 「留美さんは俺の事を見てないんです、いつも店長を見てるんです」

 「そんなことないよ!」

 「それって残酷です・・・留美さん」



 私は耕治君の悲しい目を見たとき、初めて気がついたの。

 こんなにも彼を苦しませて傷つけていたなんて。

 そうだよね、誰だって自分だけを見て欲しい思うのに留美は・・・。

 もう耕治君に合わせる顔がなかった。

 そして家に帰ってから誕生日のプレゼントの事でお兄ちゃんと口げんかして

 雨の降る中飛び出しちゃったんだよ。

 ただ何となく歩いていたらいつの間にか耕治君が住むマンションの前で雨に濡れたまま

 立ちつくしていたの。



 「留美さん!!」

 「あ、耕治君・・・」

 「よかった・・・店長から留美さんが飛び出して帰ってこないって電話があって・・・」

 「・・・ごめんなさい」

 「とにかく濡れたままだと風邪をひいちゃうから部屋へ行きましょう」

 「・・・・・・」

 「さ、留美さん」



 本当なら怒っているはずの耕治君は、留美の手をそっと握ると部屋に連れていってくれた。

 こんなにも優しい耕治君の気持ちを解らなかったなんて・・・。

 留美は本当にバカだった。

 ごめんなさい耕治君。



 「店長には連絡しましたから・・・」

 「・・・・・・」

 「ごめんなさい留美さん、酷いこと言ってしまって・・・」

 「ううん、留美の方こそごめんなさい、耕治君の気持ちを考えていなかったの」

 「いえ、俺の方こそ留美さんの事理解していませんでした」

 「優しすぎるよ・・・耕治君」

 「俺もっとがんばって早く一人前になりますから・・・」

 「うん」

 「もっともっと留美さんの事好きになりますから・・・」

 「うん」



 耕治君が後ろからそっと抱きしめてくれて、留美の耳元で囁いてくれた。

 嬉しかった、心の底から嬉しかったの・・。

 なによりも温かかった・・・耕治君の心が・・・。

 そして留身のことを抱きしめたままその夜は一緒に寝たんだよ。

 あ、でもHな事はしてないからね! 本当だよ! ただ寝ていただけだからね。

 この夜、耕治君と本当に分かり合った留美はお兄ちゃん離れができたと思うの。

 ありがとう耕治君。



 「起きて・・・耕治君」

 「むにゃむにゃ」

 「朝だよ・・・耕治君」

 「ぐぉ〜」

 「むう、手強いな〜」

 「むにゃ・・・留美さん・・・好きだ」

 「へへっ、よ〜し・・・こうなったらこうだ♪」

 ちゅっ。

 「んあ? 留美さん・・・」

 「ふふ、お寝坊さん、もう朝ですよ」

 「おはよう留美さん」

 ちゅっ。

 「あん、これ以上はまた今度ね♪」

 「・・・はい」

 「ふふっ」

 「あははっ」



 この日の朝、耕治君の久しぶりに見た笑顔が凄く素敵だった。

 嬉しかった、耕治君を失わないで。

 よかった、本当に耕治君を好きになって。

 本当に大好きだよ! 耕治君。






 「留美?」

 「んん? さとみお姉ちゃんどうしたの?」

 「それはこっちのセリフよ、さっきからぼーっとしちゃって」

 「へへ、ちょっと昔のこと思い出してたの」

 「そう・・・、でも時間よ」

 「はぁい、木ノ下留美いってきま〜す♪」

 「ほら走ると危ないわよ」

 「えへへ、大丈夫だよ」



 私は長いドレスの裾を片手で器用に摘んで長い廊下を軽やかに走っていた。

 そのままつきあたりのドアを元気よく開けて大きな部屋に飛び込んだ。

 だってもう待てなかったんだもん。

 早く耕治君に会いたかったんだよ。



 「耕治君!」

 「留美さん!」



 私はそのまま耕治君に抱きついて首に手を回すと情熱的なキスをしちゃった。

 お父さんとお兄ちゃんは呆れた顔。

 キャロットのみんなは留美達をはやし立てていた。

 ドアのところではさとみお姉ちゃんが優しく見守っていた。






 大好きだよ、耕治君♪



 おわり。


 うぃ〜す、じろ〜です。

 ホームページを正式公開して一ヶ月が過ぎました。

 もうすぐ10000HITに達しようとしてます。

 これもひとえにみなさまがたのおかげだと大変嬉しく思います。

 始めた当初は100人くらいしか来ないかなぁ〜と友達と話していた

 記憶がまだ新しいところにありました。

 でも、今ではこんなにも来てくれる人がいるとビックリしてると同時に

 感謝しています。

 これからも来た人に楽しんで貰えるようにがんばりますので、

 よろしくお願いします。

 それでは、また。

 


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