寝てしまったフィリスを布団に寝かせると、恭也は軽くため息をついてリビングに

 戻るとそこはどろどろした空気に占領されていた。

 そしてそこにいる乙女達がぎらぎらした目で、恭也を睨んだ。

 一瞬立ち止まった恭也だが、気を取り直してキッチンに行くと自分でお茶を入れて

 自分の部屋に戻ろうとした。

 「恭ちゃん」

 「……なんだ、美由希?」

 「フィリス先生は?」

 「寝てる」

 「(にやり)そう……じゃあ稽古してくれないかなぁ?」

 「メニューは消化したから必要はない」

 「むぅ」

 「ねー恭也」

 「どうしたフィアッセ?」

 「欲しい物が有るんだけど付き合ってくれない?」

 「すまん、これ飲んだら寝直そうかと……」

 「むー」

 「おししょー!」

 「師匠!」

 「なんやおさる、うちのがさきやっ」

 「だまれカメ、俺の方が先だ!」

 「なんやこらー」

 「やるかっ」

 「「おりゃーっ」」

 「(ちゃ〜んす)、恭也っ恭也〜」

 「月村、離れてくれ」

 「あ〜ん、いけず〜……って、ちょっと何引っ張ってんの那美?」

 「恭也さんから離れてくださ〜い」

 「そうよ、恭ちゃんにくっつかないでよ!」

 「恭也を抱きしめていいのはわたしだけなんだから!」

 「「どりゃーっ」」

 「……寝よう」

 神速とも言える素早さで自分の部屋に戻ると、フィリスの横になりすぐに寝てしまう

 恭也にみんなが気が付いたのは一時間以上たった後だった。



 とらいあんぐるハート3 Short Story



 
フィリスMAX!−Vol.3−



 Presented by じろ〜



 「……ん、ふぁ〜」

 大きなあくびして目を覚ましたフィリスは、暫くそのままぼーっとしていた。

 「……あ、あれ、わたし……恭也くん?」

 横で寝ている恭也に気が付くと、いきなりぽっと頬を染めて照れる。

 「……はぅ」

 どうやら見つめている内に昨夜の出来事を思い出して一人悶えるフィリスであった。

 「……きゃ」

 「…………」

 「……やん」

 「…………」

 「……はぁ」

 「……フィリス」

 「は、はいっ!?」

 夢の世界からその声に引き戻されたフィリスは、横でじっと見ている恭也と

 目があった。

 「も、もうっ恭也くん、起きてるなら言ってくれれば……」

 「いや、ニヤニヤしているフィリスが面白かったから」

 「きょ、恭也くんっ!」

 「何を考えてたんですか?」

 「そ、そんなこと言えません!」

 「フィリスって……」

 「あ〜ん、言っちゃだめ〜っ」

 「冗談です」

 「もうっ、恭也くんのいじわる〜」

 恭也のたくましい胸をぽかぽかと叩くフィリスの顔は、怒っているどころか

 真っ赤な笑顔だった。

 ただの照れ隠しらしい行動に、恭也の顔にも少し微笑みが浮かんだ。

 「恭ちゃんが笑ってるよ〜」

 「わたしだってそんなに見た事無いのに、フィリスずるい〜」

 「お、おししょー……はぅ」

 「師匠の笑顔……ぽっ」

 「カメラカメラっ」

 「し、忍さん、一枚焼き増ししてくださいね」

 いつの間にか来ていた乙女達が襖の隙間から覗いて喜乱舞しているのに気が付いている

 恭也だけど、あえて無視することにした。

 (昨日からみんなは何かおかしい)

 藪をつついて蛇を出すまねは避けようとする恭也の考えだった。

 「恭也くん、人の話聞いてますか?」

 「あ、はい……」

 「こう見えても年上なんですからね」

 「…………はい」

 「今の間はなんですか?」

 「深い意味はないです」

 「むぅー」

 膨れているフィリスの頭をぽんぽんとすると、『子供扱いしてー』とぶつぶつ言う割に

 にこにこしているので嫌ではないらしい。

 とにもかくにもらぶらぶな二人だった。

 その頃、翠屋では――。

 「もうフィアッセったら〜、はやくきて〜」

 店長兼菓子職人兼高町家のお母さん、桃子が悲鳴を上げていた。





 「あっはっはっはっ」

 「リスティ……」

 「いやー、我が妹ながらこんなにも変わるかと思ったら可笑しくて、くっくっくっ」

 「もうっ……」

 夕食の時間、フィリスに用があるとかで病院に行ったリスティが高町家まで

 足をのばしていた。

 しかもちゃっかり夕食を頂いて満足そうにソファーにふんぞり返っている。

 「それで?」

 「はい?」

 「もう鈍いなぁ……いつ結婚するの?」

 「そ、それは……その……」

 ちろちろと横目で恭也に視線を送るフィリスだが、恭也は高町家の乙女達に囲まれていた。

 「はい恭ちゃん、お茶」

 「うむ……ずずっ」

 「恭也、これわたしが作ったんだよ〜」

 「上手かったよ、フィアッセ」

 「おししょー、明日は朝がゆで……」

 「どけカメ、明日の当番は俺だ」

 「うるさいー、おさるっ」

 「なんだこのミドリガメ!」

 「「おりゃーっ」」

 「もーけんかはだめーっ!」

 「「はーい」」

 「ねえ恭也、明日ゲームセンター行こうよ!」

 「あ、耕介さんが一度手合わせお願いしますって……」

 「ちょっと那美、わたしの恭也に手を出さないでよ」

 「忍さんの恭也さんじゃありません!」

 「「むむっ」」

 その様子に深くため息をつくフィリスを見て、リスティがニヤニヤした。

 「なーるほど、これじゃ大変かな?」

 「もうみんな全然恭也くんから離れないし……ふぅ」

 「しょうがない、可愛い妹のために一肌脱ぐか……おーい、恭也っ」

 「はい?」

 恭也の返事とともに皆の視線がこちらを向くが、フィリスじゃないと分かった

 瞬間、みんなの気が抜けた。

 それを見計らったのかリスティの唇の箸が微妙に上がる。

 「なんですか、リスティさん?」

 「うん、恭也は男の子と女の子、どっちがいい?」

 「は?」

 「だーかーらっ、自分の子供なら男の子と女の子、どっちがいい?」

 「……質問の意図がわかりませんが?」

 「鈍いなぁ……ここに、恭也の子供がいるんだけど?」

 「きゃあ、リ、リスティ!?」

 いきなりフィリスのスカートをまくり上げて、お腹を指さすリスティに

 恭也もみんなも暫し呆然。

 なんとかリスティの手を振り払いジト目で睨み返すフィリスだけど、

 本人は素知らぬ顔でタバコをふかす。

 「あー、ちなみに僕は男の希望だからよろしく」

 「「「「「「なんですってーっ!?」」」」」」

 「……みんな落ち着け」

 「「「「「「これが落ち着いてられますかーっ!!」」」」」」

 「ごめんフィリス、ちとミスった」

 「はぁ……この姉をちょっとでも信じた自分がいや……」

 恭也に詰め寄って体を揺するみんなを見て苦笑いをして舌をぺろっと

 出して誤魔化そうとするリスティに、フィリスはがくっと頭を下げた。



 その日、桃子が帰ってくるまで、リスティの嘘に揺れる高町家だった。






 つづく。






 どうも、じろ〜です。
 遅くなった第三話です、リスティの援護攻撃で大混乱でした。
 次は急転直下な出来事に恭也の貞操が危ない♪
 次回、フィリスMAX!−Vol.4−
 「……えっ、それマジだったのbyリスティ」
 この次もサービスサービス♪


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