予告SSシリーズ






 ※このSSは本当に予告編だけです、続編は期待しないように(笑)






 新機動戦記 カノン★ウィング






 モビルスーツデッキでカノンウィングZEROが最後の戦いに発進しようとしていた。







 「待つんだ香里、どうしてお前が出撃しなければならない?」

 カノンウィングZEROのコクピットの中で香里はニコッと側にいる祐一に笑いかける。

 「イチゴサンデーは沈む、戦う理由なんて無いだろう・・・名雪とケロピーは負けたんだ」

 「名雪は思ってないわ、それに名雪も久瀬もこの戦争を終わらせるつもりは無いみたいだわ、私は行かなければならない」

 「香里がこの戦いに出れば戦争が終わるって言うのか?」

 シートから乗り出した香里は腕を伸ばして祐一の顔を引き寄せる。

 「名雪を倒す、次に久瀬よ・・・それで戦争は終わるわ、そして祐一が生き延びれば平和が訪れる」

 香里はずっと微笑みながら話を続ける。

 「これが祐一の為にして上げられるただ一つの事よ」

 「香里・・・」

 「私は祐一を守と約束したわ、祐一とこの地球を守るためには私が戦う以外、道は無いの」

 「そんな・・・」

 「行かせて祐一」

 「駄目だ! 駄目だ香里、お前死ぬつもりなんだろ?」

 まだ何か言おうとする祐一の口をキスで塞ぐ。

 ほんの数秒の、でも香里と初めて交わす熱いキスだった。

 香里が顔を放すと突然祐一のヘルメットのバイザーが閉まる。

 「はっ?」

 「私を信じて」

 香里が祐一の肩をそっと押すとそのままカノンウィングZEROから体が離れていく。

 コクピットのハッチが閉まるわずかの時間の間、香里は祐一を見つめながら幸せそうに微笑んでいた。

 「香里!」

 そしてハッチが閉まるとカノンウィングZEROはカタパルトの上で発進体制に入る。

 手すりに掴まって体を固定してからカノンウィングZEROを見て祐一は呟く。

 「香里、お前を信じる」

 発進する直前、香里は一瞬祐一の方を向いた。

 「さようなら、祐一」

 「えっ?」

 バーニアを拭かしながらカノンウィングZEROは激しい戦闘の中飛び出していった。






 「行くわよ、ピロ!」

 「にゃー」

 相棒のピロを回収して頭の上に乗せると、ピースジャムの動力炉を暴走させるために真琴は

 カノンデスサイズヘルを残骸から発進させた。

 「全く・・・こんな中突っ切っていく奴なんかいないわよね!」

 「にゃー」

 呟きながらもモビルドールの攻撃をかわし、進路を塞ぐ奴は容赦なくツインビームサイズで切り裂いていった。

 「どけどけ〜!」

 「にゃん」

 スピードを落とさず敵を撃破しながら真琴とピロは、一直線にピースジャムに近づいていく。

 「邪魔しないで!」

 地球落下まで残された時間は後わずかだった。






 「邪魔は・・・させない」

 イチゴサンデーの側で舞のカノンヘヴィーアームズ改は佐祐理のカノンサンドロック改を庇いつつ

 敵を撃破していた。

 「佐祐理、ここは任せて」

 「無理しちゃ駄目ですよ、舞」

 「はちみつクマさん」

 佐祐理が機体をイチゴサンデーに取り付こうと向かった背中を見つめながら舞は呟いた。

 「待っているから・・・」

 その隙を狙うようにモビルドールが何機も向かってきたが、無造作にダブルバルカンを向けるとトリガーを引いた。

 「落ちろ!」

 一機も撃ち漏らすことなく破壊していく舞の瞳には佐祐理の笑顔が映っていた。

 「次・・・」

 カノンヘヴィーアームズ改の全武装が一斉に火を噴いて、正確に敵を星くずに変えていく。

 自分のするべき事をこなしていく舞の顔は穏やかだった。






 美汐の操るカノンアルトロンは久瀬の乗るトォオルギスと一騎打ちで刃を交えていた。

 「もてない男の行動にしては無様です」

 「貴様に何が解る? 気持ちが届かないこの辛さがっ!」

 怒りに任せた久瀬の攻撃を軽やかにかわし、いつものクールな表情の瞳の中に僅かな寂しさが浮かんでいた。

 「解ります」

 「何だと!?」

 「だからと言ってこんな愚かなことをしたらその人がどう思うか考えましたか?」

 「くっ・・・」

 一瞬久瀬が怯んだ隙を美汐は見逃さず、ビームロッドでトォオルギスの顔を切り裂いた。

 「があっ」

 「もう終わりですか? その程度の気持ちで振り向いて貰おうなんて虫が良すぎますね」

 「だっ、黙れー!」

 めちゃくちゃにビームサーベルを振り回してくる久瀬を哀れんだように見つめて美汐は呟く。

 「哀れです」

 「ククッ・・・殺してやる・・・殺してやる!」

 美汐の攻撃に次第にぼろぼろになっていくトォオルギスは久瀬の心が壊れていく様だった。

 愚か者の末路は惨めだった。






 なんとか祐一は秋子達と合流してシャトルにいた。

 「香里、応答しろ!」

 通信機で香里に呼び掛けるが返事は無かったが構わず呼び続けた。

 「祐一さん、これ以上は彼女達の戦いの妨げになりますよ?」

 「でも、香里は死ぬ気なんです!」

 「しかし私達に出来ることはもう祈ることだけですよ」

 「秋子さん、俺香里の所に行きます!」

 「駄目です、祐一さん」

 シャトルのコクピットから出ていこうとする祐一を秋子が声を掛けた。

 その声に反応して回りにいた人達が祐一の体を押さえ込んで放さなかった。

 「くそっ・・・香里、香里ー!」

 祐一の叫びが香里に届くことはなかった・・・。






 戦闘中域を飛びながら次々とモビルドールを破壊していくカノンウィングZERO。

 そこに祐一からの呼びかけが通信機から聞こえるが香里はスイッチを切ってしまう。

 「気にしないで祐一、命なんて安いものよ、特に・・・私のはね! くっ」

 カノンウィングZEROのツインバスターライフルが火を噴くと何十機のモビルドールが星くずになっていった。

 目の前の戦闘を見下ろすように腕を組んで佇んでいるカノンエピオン。

 そのコクピットで名雪は閉じていた目蓋をゆっくりと開いた。

 「やっと来たね・・・」

 戦火の中を突き抜けて一機のモビルスーツが名雪に向かって来た、カノンウィングZEROである。

 二人はお互いの姿を確認すると見つめ合った。

 ゆっくりと腕を解いたカノンエピオンの手中にあるハイパービームサーベルのグリップから

 勢いよくビームが放出され始めた。

 「待っていたよ、香里!」

 「名雪!」

 抜きはなった二人のビームサーベルが激しく交差して宇宙空間に閃光が輝いた。







 ウィンドウズ暦2000年、戦いは終演を迎えようとしている。






 次回予告



 戦いは人によって生み出され、人は戦いによって平和に目覚める。

 だが、その為にどれほどの血が流されるのか?

 イチゴサンデーとピースジャムの地球落下の意味するものは?

 終局を迎えた戦場で、二つのカノンの戦いは新たな時代の到来を予感させる。

 新機動戦記 カノン★ウィング 最終話

 最後の勝利者

 

 

 

 「香里はいつだって俺達に奇跡を見せてくれる」


 


 END



 



 タイトル通りのSS(?)です。

 何かこう言うのも良いかな? なんて思っちゃった訳で書きました。

 本当にこれだけです、続き有りません(笑)


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