聖霊機 ライブレード

 

奇跡を呼ぶ想い

 

 

 

 

 

 まただ、またあの時の夢を見てる…

 

「まさか、ライブレードを突っ込ませる気?」

 ヴァ―リアのコアを前にライブレードを移動させ、コアを見上げながら

「おっ、さすがにわかってるじゃねえか」

「…やっぱり…どうして男の子って、そう荒っぽい方法しか考えニャいのかニャー」

 俺の考えを見抜いたヤマトが呆れてる。

「それ以外になにかあるか?」

「うーん…ニャいかも」

「…だろ?なあ、レオーネ、お前も……レオーネ?どうした!?レオーネッ!!」

 ヤマトとの軽口を交わしながら、レオーネに話しかけるが、レオーネの反応がないことに気づいてレオーネの席をみると、苦しそうなレオーネの姿があった。

「はぁはぁ…ト、トウヤ……」

「レオーネ!しっかりしろ!」

 息をするのさえ苦しそうなレオーネの姿に、俺は心臓を握られたような痛みが走る。

「……そんな顔しないで、トウヤのせいじゃない…ボクが…の、望んだこと、だから…だから、悲しまないで…自分を責めないで…はぁはぁ…」

 もうしゃべることさえ辛いはずなのに、それでも俺のことを想ってくれるレオーネに、涙が止まらない。

「お、おい、レオーネ…」

「ねぇ、トウヤ……ボク…トウヤの役に立てたかな…?」

「あ、ああ…もちろんだ。お前がいたからここまでこれたんだ」

「えへへへ…よかっ、た」

 俺は力なく微笑うレオーネを抱きしめた。

 甘いほのかな香りがする、レオーネの匂いが感じられた。

「……トウヤの心臓の音…トウヤの身体…あったかい…」

 消え入りそうな声で呟くレオーネを、ただ黙って抱きしめる。

 レオーネも俺の背に手を回し、ゆっくりと抱きしめてくる。

 そして、どれくらいの時間が経ったのだろうか、このまま時が止まってくれれば、本気で思った。

 だけど…

 俺の背中に回された手がゆっくりと下がっていく。

 レオーネは、精一杯の微笑みを浮かべながら俺の頬にそっと手をあてて何かを言おうとする。

”だいすき…”

 レオーネの唇が言葉にならない言葉を紡ぐ…

「レオーネェェェッ!!」

 

 

 

「レオーネェェェッ!!」

 今日もまた、俺の上げた声で目を覚ます。

 アガルティアから俺の世界に戻ってきてから、よくあの時の事を夢に見る。

「トウヤ…」

 俺の上げた声に心配になったヤマトが声をかけてくる。

「大丈夫だよ、ヤマト」

 

『あなたのその想い、忘れないで。愛する人を想う心を…どんなことがあっても』

『どんなことがあっても彼女を信じてあげて。あきらめちゃだめ。想いは力だってこと、忘れないで…』

 

 ああ、俺はレオーネのことをいつまでも想ってるさ。

 例えどんなことがあっても。

「さあ、行くか」

 今日もまた俺はあの二人が来る前に学校に行く。

 今ではもう日課になってしまった朝イチの登校。

 それは、元気な自分をみせるために始めたこと。

 二人の好意に甘えてしまいそうになる自分を抑えるため、今の俺にはそうすることでしか応えることができずにいる。

「いってらっしゃい」

 ヤマトも、最近では俺の鞄に入って学校に着いてこようとはせず、なにも言わずに送り出してくれる。

 長年一緒にいた家族であるヤマトは、全部わかっているというように。

 

 そして、いつもと変わらない通学路をのんびりと歩く。

 そう、いつもの通学路、すれ違ういつもの顔ぶれ、かわらない穏やかな日々……そのはずだった。

 だけど、今日は何かが違う、なにかが変わるそんな予感がする。

 なんだ、この胸騒ぎは?

『あなたのその想い、忘れないで。愛する人を想う心を…どんなことがあっても』

 ウェニマスの最後の言葉が、俺の頭をよぎった。

『想いの力は、確かな力。たとえ少しの可能性でも、想いつづければかならず叶うの』

 次々と思い出される言葉に、俺の心臓の鼓動はだんだんとはやくなっていく。

 張り裂けそうなほどの心臓の鼓動、だけどそれは痛みを伴うようなものじゃない。

 気がつけば俺の足は勝手に走り出していた。

 頭ではわかっているのに、心が俺の身体を動かしていく。

 全力で学校に向かって走っていく、何も考えずただひたすらに。

 

 そして、学校に着いた俺はすぐに自分の教室に向かった。

 教室の中は、いつもと同じくシーンと静まり返っている。

 整然と並ぶ机に、朝日が差し込む窓、風にそよぐカーテン。

 時間が違うことを除けば、そこはいつもと変わらない光景。

「……ふっ…ふふ、ははは……」

 笑いが起こるのを俺は止められなかった。

 

 どうしてそんなことを思ったんだろうか?

 あるはずがないのに、そうあいつがこんなところにいるはずがないなんて、わかっていたのに。

 自嘲の笑みを浮かべながら、失望感を強く感じていた。

 そのとき、ひときわ強い風が教室の中を通り過ぎた。

 おおきく風に揺られるカーテン、その俺の視界に萌木色をした何かが入ってきた。

「!!」

 その色に気づいた俺は驚きに息を飲んだ。

 そして、風が止んで膨れていたカーテンがゆっくりと元の位置に戻っていく。

 

 どうして気づかなかったんだろう?

 すぐそこに、こんなにも近くにいたのに。

 そう、カーテンの向こう、そこには決して忘れない俺の愛した少女がいた。

 うちの学校の制服を着て、はねた髪に曇りのない澄みきった色と好奇心を湛えた瞳をした少女が。

 俺の腕の中で失われたはずのその姿に、俺はじっと見つめることしかできずにいた。

「あ…あぁ…」

 「レオーネ」ただそう言って抱きしめたいのに、思うように声が出ない。

 手も足もまるで俺のモノじゃないかのように、俺の意思に反して動こうとしない。

 そんな俺を、戸惑いとも怯えともとれる色を浮かべた眼差しで見つめる少女の姿に、俺は考えたくもない不吉な感がし、胸が締めつけられる。

 だけど、それらを拭い去るように、ありったけの想いと決意をのせて、言葉を紡ぐ。

「レオーネ?」

 俺の言葉とともに朝の香りを乗せた風が吹き、少女の髪をゆらしていく。

 風で揺れる髪をおさえながら俺の方を向いて微笑む姿に、今まで俺の胸を埋め尽くしていた不安が、嘘のように消え去って行った。

 俺の足は自然に彼女の、レオーネの元に向かっていく。

 そして……

「また、会えたね。トウヤ」

 その言葉に俺はレオーネの身体を抱きしめた。

 最後に感じたほのかな甘い匂い。

 なくしたはずの温もりを感じながら、俺たちはいつのまにか涙を流していた。

 それは、悲しみのモノではなくて喜びの涙。

 

 朝早く、誰もいない教室で、ただ静かにお互いの感触を確かめるかのように、俺たちは抱きあっていた。

 俺たちの想いが、この奇跡を呼んだんだ。

 ようやく訪れた平和な日常。

 俺たちの本当の意味での生活が今始まるんだ。

 

 

 

 

HAPPY END

 

 


 

どうも、まじんちゃんでやんす。

いやあ、プレステ版でめちゃくちゃ悲しいエンディングで泣いてしまったレオーネですが、ドリキャスでは嬉しくてないちゃいました。

ビバ、ドリキャス!(おひおひ)

やっぱりハッピーエンドが一番っすよ。

色々と忙しい中、なんとかレオーネのハッピーエンドをみて、この話を書きました。

ゲームの台詞や表現をほとんどそのままに(おひ、それはいかんのじゃないか?)多少アレンジし、ゲームにはない部分を補完してみました(補完になってないかも)。

これについていろんな意見があると思いますが、それはどうか見逃してやってください。

所詮、今回書いたのは自己満足ですからね。

さてと、全員クリアめざしてがんばろっと。


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