Pia☆キャロットへようこそ!!2
Short Story #4
「がんばれ美奈ちゃん」
Written by kotone




『朝〜、朝だよ〜・・・・朝ご飯食べて学校いくよ〜』

 どこか、間延びした音声が目覚し時計から聞こえてくる。
 すると、ベッドの中で丸まって眠っていた部屋の主の腕がそ〜っと延びてくる。

  ぱた、ぱた、ぱた・・・・
    かちゃ

 3回。伸ばした腕で枕元を叩くと、目覚ましのスイッチを切った。そのまま目覚ましをつかむと
ベッドの中へと引きずり込む。

 中で時間を見ているのだろう。もこもこと動いている。

「・・・・う〜ん、この時計眠気を誘うのは気のせいだよね。美奈、失敗しちゃったかな?」

 と、目覚ましを元の位置に戻してベッドの上で伸びをしているのは、大学一年生の日野森美奈。
ちなみに、大学生になったというわけで、今でも続けているピアキャロットの寮で一人暮らしをし
ている。

 時間は朝の6時半。
 大き目のパジャマを着ている美奈はクローゼットに向かい服を着替えると、身形を整え今度はエ
プロンを着けて台所に立つ。

「朝はかるめのモノの方がいいよね、きっと・・・・」

 手を洗い、冷蔵庫を開けるとなれた手つきで材料を取り出していく。
 よく見るとキッチンの上に並べられている材料はどれも一人前ではなかった。それを当たり前の
ように調理する美奈。その表情は微笑んでいた。

 10分もしないうちに料理を完成させると美奈はエプロンを外し部屋を後にした。
 どこへ向かうのかというと、隣の部屋。表札には丸文字で『日野森あずさ』と書かれている。

  こんこん

 ドアをたたく美奈。

  こんこん

 2回目。
 それでも反応がない。

「あれぇ? お姉ちゃんまだ寝てるのかなぁ」

 と、今度はピンポンを連打。

  ぴんぽんぴんぽんぴんぽんぴんぽんぴんぽんぴんぽんぴんぽんぴんぽんぴんぽんぴんぽん
    ぴんぽんぴんぽんぴんぽんぴんぽんぴんぽんぴんぽんぴんぽんぴんぽんぴんぽんぴんぽん

「はぁはぁはぁ・・・・疲れた」

 これだけやれば、嫌でも起きるはず。が、相変わらず反応がない。

 ノブに手を伸ばし、軽くまわしてドアを開けてみる。

  がつっ!

 カギがかかっていた。
 そこで、美奈の脳裏に浮かんでくる1つの予感。

「まさか?」

 そして、向かったのは更に隣の部屋。表札には『前田耕治』と書かれている。
 美奈は標識を見上げるようにしてから1回うなずくとノックする。

  こんこん

「・・・・・・・・」

  し〜〜〜ん

 反応がない。いよいよ、美奈の予感が現実のものになろうとしていた。
 恐る恐るノブを回すと今度はドアが開いた。

「うぷ、お酒くさぁい・・・・」

 ドアの開放と共に漂ってくる、すさまじいアルコールの匂い。そう、20歳になってしまった耕治
とあずさは断る(断れる)理由もなく、宴会大魔王によってあちらの世界(どちらの世界?)に引
きずり込まれていたのだった。

 美奈は口元を手で押さえながら部屋の中へはいっていく。

「おじゃま、しま〜・・・・」

 部屋に入って言葉を失う美奈。目の前に繰り広げられているすさまじい残骸。
 宴会大魔王こと皆瀬葵はえびちゅの缶の山に埋もれるようにしてテーブルに突っ伏して死んでい
た。それから、双葉涼子はこれまた、下着姿でひっくり返って死んでいた。まだまだ続く死体の山。
コスプレっ娘の榎本つかさは先輩コスプレっ娘、木ノ下留美と抱き合ってテーブルの下で死んでい
る。そして最後は・・・・。

「あずさお姉ちゃん・・・・」

 そう、あずさは愛しのダ〜リンといっしょに仲良くベッドで死んでいた。

 さすがに、ここまで酷い惨状は見たことがなかった美奈は頭を抱えてうずくまる。

(あうぅぅ・・・・いっそ、美奈もどっか遠くへいきたひ....)

 そして、現実逃避をした。











「はっ!」

 やっと戻ってきた美奈。頭を振って思考を戻す。

(美奈がシッカリしなくちゃ・・・・でも、これはひどいよぉ)

 とりあえず、泣きそうになりながら涼子を起こしにかかる。

「涼子さん、涼子さん! おきてくださぁい」

 3,4回身体をゆすると(よっていない時は)常識人の涼子が目を覚ました。

「? 美奈ちゃん。・・・・ってキャァ!」

 自分の姿に気付いたのか両手で胸元を隠して赤くなる涼子。美奈は笑いながら散らばっていた洋
服を手渡す。
 そして葵のことを頼むと、えびちゅやもるちゅの缶を踏み分けてベッドまで移動する。

「お姉ちゃん。あずさおねぇちゃん、起きてよ。大学遅れちゃうよぉ。ねぇ、耕治お兄ちゃんも起
きてってばぁ」

 と、子供が休みの日の親にねだるようにしてふたりの身体をゆすっている。

「それじゃ、美奈ちゃん。わたしたち部屋に戻るから。ごめんなさいね」

「ごめんなさ〜い」

 美奈に声をかけて、まだ半分死んでいる葵を引きずって涼子が帰っていった。

 それを背中で聞きながら美奈は必死にあずさと耕治を起こそうとしていた。

「お姉ちゃん! イヌ連れてくるよ」

  ぴく!?

 イヌという言葉にあずさの肩が震えた。

「お姉ちゃん・・・・イヌ。わん!」

 いたずらっぽく耳元でささやくと、がばっと起きるあずさ。そのまま、耕治を引き起こすと抱き
着いた。

「耕治くん、ミ〜ナがいじめるぅ」

 その姿を見た美奈は、

(お、お姉ちゃん・・・・)

 かける言葉もない。ただ呆れるだけだった。

 しかし、耕治はいまだ夢の世界のなか。ただ、あずさに抱き着かれているのはわかっているのか
顔は笑っていた。

「む、耕治くん。おきなさい」

「(それ、美奈のセリフだよ)・・・・はぁ」

 ため息つく美奈。

「?」

 首を傾げるあずさ。妹の気持ち姉は知らず・・・・。

「とにかく起きてよ、あずさお姉ちゃん。大学遅れちゃうよ?」

 いわれて時計を見るあずさ。針は・・・・7時20分をさしている。
 時計を見て固まるあずさ。

「・・・・・・」
「・・・・・・」

 無言。

  ごそごそ

 ?
 音のする方を美奈が見ると、地の底(テーブルの下)から這い上がってきた留美がゆっくりと耕
治そばへとベッドを這い上がっていた。当の耕治はというとあずさから解放され再び眠りについて
いた。

  むんず
    どさっ

 と、固まっていたはずのあずさが無言で留美の襟首を掴み、床に戻す。

 が、


  ごそごそ

 留美が再び安住の地へと向かう。すると、もちろん。

  むんず
    どさっ!

 あずさがどかす。
 こんなことしている時間はないと思うのだが。

「む〜、あずさちゃんの意地悪。早く大学にいきなさいよ〜ぉ。その間ぁ耕治クンの面倒は留美が
見ていてあげるから」

「できません! いくら留美さんでも耕治くんの貞操はあたしが守ります」

  がるるるるるる!

 にらみ合うあずさと留美。
 その間に挟まれている美奈。

(お父さん、お母さん・・・・美奈がいけないの?)

 そう天国の両親に問い掛けたくなる美奈。
 事実悪いのは、すべてお姉さん達。
 心やさしい美奈はそのことには気付かず、自分の所為ではないかと思ってしまうのだった。



 がんばれ美奈。
 まだ、一日ははじまったばかり。これから朝食、夕方からキャロットでのバイト。それから夜
は宴会。そして・・・・以下エンドレス。



「うぅぅ、美奈がんばるから見ていてね。お父さん、お母さん」



おわり

あとがき

  というわけで(どういう訳で?)あずさGoodEND後の一幕です。
  でも、ヒロインはミ〜ナちゃんとはこれいかに(笑)

  さて、前半ミ〜ナちゃんが作っていた朝食は自分とあずさと耕治の分です。
  3人いっしょでとる食事が日課となって久しい頃。この事件は起こった。
  そういう設定になっております。

  健気にがんばり、不幸に立ち向かうミ〜ナちゃんをみんなで応援しよう!
  (はて、あずさがまき起こすドタバタになるはずだったんだけどなぁ)


 kotoneさん、ありがとうございます♪

 美奈ちゃんこれからも苦労が耐えないんでしょうね。

 しかし、二十歳をすぎれば葵さんののまんかい攻撃に逃れるすべはないですね。

 耕治もあずさもがんばるしかないってところかな?

 最後に、がんばれミ〜ナ♪ 負けるなミ〜ナ♪ 幸せはすぐそこにある?


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