※この物語はSWAMPの世界観によって作られているので、多少元々の設定とは違い話になっています。
Piaキャロットへようこそ2 外伝
「電気ネズミと少女 1」
「は〜、撒いたかな?」
トキワの森に入った所で突然、スピアーの大群に襲われかけちゃった。(涙)
<※スピアー、スズメバチポケモン。両手に鋭いニードルを持ち、それとしっぽの毒針で人を襲う。大きさ
は並の蜂の10倍以上。かなりどう猛な性格をしている。>
『ピカ〜』
いかにも疲れた様子のピカチュウ。
電気ネズミポケモンで、ほっぺたから電気を出すんだけど、とっても可愛いんだ♪
僕たちはすぐに仲良しになった。
「虫だけはダメなんだよね」
『ピッピカ?』
「そりゃ、女の子だし・・・」
だけどマサラタウンからニビシティに行くには、どうしてもこの虫ポケモンだらけのトキワの森を抜ける必
要があった。
以前通ったときは時期柄かスピアーの大群に襲われる事は無かった。
<※ポケモンとはこの世界の人間以外の生き物の総称。ペット、そしてポケモンバトルに使われる。虫ポケ
モン、草ポケモン、水ポケモンなど色々な種類のポケモンがいる。>
僕の名前は榎本つかさ。
マサラタウン出身の13歳。
「はあ、嫌だなあ」
虫だらけの森なんて一刻も早く出てしまいたかった。だがトキワシティに行くにはこのルートしか無かった
。
第一すでに耕治は八つのバッチを集めてポケモンリーグへの出場権を手に入れている筈だった。
「耕治ちゃんだけには負けられない!!」
小さな頃からライバルだった。
逆上がりも、かけっこも、水泳も、いつも二人で競った。
「絶対に負けないんだから!!」
ポケモンマスターになるのは僕なんだから!!
<※ポケモンマスター、それはポケモン使いであるポケモントレーナーの誰もが目指す、最高位のポケモン
トレーナー。>
「は〜、街はまだかなあ」
いい加減にこの薄気味悪い森を抜けてしまいたかった。昼間なのに夜並に暗いトキワの森。ここではポケモ
ンをゲットする気にもならなかった。
「虫ポケモンなんて、いらないもん」
だが暗い森は気持ちさえ暗くさせていった。
その時、聞き覚えのある声が聞こえた。
「いけ、フシギダネ!!」
『ダネダネ!!』
間違いなく誰かがポケモンを戦わせている。
<※フシギダネ、草ポケモン。動物だか植物だかわからない姿をしている。背中には大きなタネを背負って
いて、そこから伸縮自在に伸びる“つるの鞭”や色々な匂いの粉を出す。成長するとフシギソウ、そして最
終進化系のフシギバナになる。>
しかもその声には聞き覚えがあった。
「潤!!」
草むらを抜けると、少し広い場所で潤がフシギダネを虫ポケモンと戦わせていた。
「あ、つかさちゃん・・・」
どうやらあの虫をゲットするつもりらしい。
「何で虫なんかを?」
「え、だって戦わせないと強くならないし・・・」
昔からこういう所だけ真面目だった。
しかも潤のフシギダネ、かなりレベルが上がっているみたいだった。
「ねえ、あの虫ゲットするの?」
基本的に野生のポケモンを捕まえるには、まず自分のポケモンと戦わせて弱らせる必要がある。
「え、バタフリーはもう持ってるけどね・・・一応」
<※キャタピー、芋虫ポケモン。成長するとトランセルというさなぎポケモン、そしてバタフリーという蝶
ポケモンに進化する。>
「え、虫ポケモンなんか育てたの?」
正直良い趣味とは思えなかった。
「うん、取りあえずね」
「ふ〜ん」
とても真似する気にはならない。
「つかさちゃんは、何かゲットしたの?」
なかなか痛い所を突いてくる。
山名博士曰く、僕は一緒に旅立った四人の中で最もゲットしたポケモンの数が少ないとのこと。
「えっと・・・」
あえて手の内を隠すことも含め教えない事にした。
「ま、ポケモンリーグでのお楽しみ♪」
「あ、参加権獲得したんだ」
「え、・・・まあ」
あと一つ足りないとは言えなかった。
「僕もだよ」
<※ポケモンリーグ、ポケモンバトルの大規模な大会。>
ピンチピンチピンチピンチ・・・
まさか潤にまで先を越されているとは思わなかった。
がさっ!!
その時だった、茂みから物音が聞こえたのは・・・
姿を見せたのは一羽の鳥ポケモン。
「ピジョンだ」
「え、ピジョン?」
<ピジョン、鳥ポケモン。大人しい性格で争いを好まない。小さい時はポッポ。次にピジョン。最終的にピ
ジョットに進化する>
「へ〜」
ポッポは、比較的捕獲しやすいポケモンだった。
「あいつは僕にやらせてよ」
「うん、良いけど」
昔ゲットしたポッポの事が思い出される。
「行って、ピカチュウ!!」
『ピッカ!!』
ピジョンに向けてまっしぐらに走るピカチュウ。
『ピジョ?』
ピジョンはそれに気づいたようで、ピカチュウと距離を取る。
「ピカチュウ、10万ボルトだよ!!」
『ピカッチュウ!!』
ピカチュウのほっぺたの電気袋に電気が集まる。
そして電気はピジョンに集中した。
『クルックゥ』
びくっと体を震わせ、地面に落ちるピジョン。
「今よ!!」
僕はモンスターボールを投げつける。
ボールはポッポの真上で開き、そのままピジョンを吸い込む。
気絶していたピジョンは抵抗らしき抵抗を見せなかったため、ボールはあっさりとポッポを捕獲した。
<モンスターボール、ポケモン捕獲用のボール。またゲットしたポケモンの休憩カプセルの役目も果たして
くれる優れ物。>
「ピジョン、ゲットだよ!!」
不遇の別れを遂げたポッポ、その雪辱が晴らせるようで嬉しかった。
「もう行くの?」
「うん、僕は直接セキエイ高原に向かう」
僕と潤は途中で別れる事になった。
「じゃ、また会おうね」
「うん、セキエイ大会で」
この地区で最大のポケモンバトルの祭典、ポケモンリーグセキエイ大会。
僕と潤は堅く握手をしてわかれた。
再会を約束して。
「潤も頑張ってるんだ・・・」
耕治はもうかなり先行しているに違いなかった。
トキワの森を抜けるのに随分時間を食っていた。
まあ昔通ったときなど、この時点でピカチュウは満身創痍だったが。
それだけ成長したということだ。
そしてついにトキワシティが目の前に迫っていた。
「は〜」
マサラタウンを出て三日、ついにトキワシティに到着することが出来た。
ど田舎のマサラタウンとは違い、近代的なビルが建ち並ぶトキワシティ、ここにはトキワジムがある。
「最後のバッジもゲットしないと」
ポケモンリーグに出る条件として、ポケモン協会で公認されたポケモン専用のジムを回り、そこのジムリー
ダーとバトルし、認められなければならない。
そして認められた証拠のバッジを8つ集めれば、ポケモンリーグセキエイ大会に出場することが出来る。
「さ〜って、さっそくバトルバトル・・・・・」
トキワジムは思った以上に近代的な施設であった。
「さって」
受付にジムリーダーへの挑戦を申し込むと、すぐに待合室に通された。
「さっそくだけど、頑張ろうね、ピカチュウ」
『ピッカ!』
ガッツポーズをするピカチュウ。
このときつかさの脳裏に敗北の二文字は無かった。
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「お待たせしました・・・」
やがてつかさが通されたのはポケモン用コロシアム。
「僕がこのジムのジムリーダー、木之下祐介だ」
いかにも強そうな雰囲気のトレーナーだった。
「負けないよ!!」
「ふっ、返り討ちだよ・・・」
すぐにバトルスタートとなった。
ルールは3対3だった。
「行け、ピジョン!!」
僕の先鋒はピジョン。
「ピジョンだって?」
如何にもバカにしたような態度に腹が立ちまくった。
だけどすぐに思い直す。
実力で思い知らせてやればいいと。
「凶悪に暴れ狂え、ニドキング!!」
柴崎のモンスターボールから出てきたのは如何にも強そうなポケモン。
<※ニドキング、角ポケモン。ニドランという兎に似たポケモンの最終進化系。雄と雌がいる。地面タイプ
の技を駆使して戦う。堅い鱗に大きな角が特徴。>
「ピジョン、風起こし!!」
『ピジョ!!』
ピジョンは両羽で竜巻を起こす。
竜巻がニドキングを襲った。
「ニドキング!!暴れろ!!」
『ニドー!!』
風起こしはそよ風程度の効果しかもたらさなかった。
ピジョンの竜巻をまるで気にしないでニドキングがポッポに迫った。
「ピジョン、避けて!!」
だが戦いの年期がニドキングの方が上だった。
ピジョンの動きを読み、その巨体が迫る。
振り下ろした豪腕がピジョンを殴り飛ばす。
『クルックゥ』
ニドキングの一撃で動かなくなるピジョン。
「ピジョン、戦闘不能!!」
「そ、そんなぁ!!」
あんなにあっさりと負けるとは思ってもみなかった。
「戻れ、ピジョン!!」
モンスターボールに強制的に戻らせた。
生命維持カプセルにもなっているからだ。
「この強さ、半端じゃない」
これほど強いポケモンに出会ったのは初めてだった。
ピジョンに続いて、フシギダネも瞬殺されてしまった。
「どうした、降参かい?」
あまりの戦闘力の差に、僕は絶望すら覚えていた。
「さすがはポケモン犯罪者ね」
「やることがえげつないわ」
その時だった、その人達が現れたのは。
「な、なんだ?」
ガシャン
天窓が割られる。
「なんだかんだと聞かれたら」
「答えてあげるが世の情け」
「世界の破壊を防ぐため」
「世界の平和を守るため」
「愛と真実の正義を貫く」
「ラブリーチャーミーな正義の味方」
「葵!!」
「涼子!!」
「銀河を駆けるキャロット団の二人には」
「ホワイトホール、白い明日が待ってるわ」
「にゃ〜んてね」
そこに現れたのは代わった制服を着た二人のお姉さんと、何故か猫の着ぐるみを着た女の子。
蒼い髪のナイスバディのお姉さんに、茶髪の眼鏡をかけたお姉さん。それに紫色の髪の女の子。
胸にかおると言う名札がついている。
「トキワジムリーダー、木之下祐介、あなたをポケモン犯罪者として逮捕します」
「逮捕しまちゅ☆」
大変な事になってしまった。・・・
つづく