予告SSシリーズ





 
※このSSは本当に予告編だけです、続編は期待しないように(笑)




 

 宇宙の騎士 TEKKANON BLADE






  第五十一話「マスカレード」






 ちゃきっ。

 「香里・・・」

 「動かないで、名雪」

 「私を撃つの? 親友の私を・・・」

 「撃てるわ・・・」

 「どうして?」

 「あの人の、祐一のためだったらあたしは撃つわ」

 「強いね香里・・・さすがは祐一が好きになった人だね」

 「どうして・・・どうして祐一を殺そうとするの、そんなに憎いの?」

 「ふふっ違うよ、祐一のこと大好きだよ・・・」

 「なら、どうしてっ」

 「そう、愛している・・・愛しているの、殺したいほどにね」

 「動かないで!」

 「止めろ、香里」

 引き金に掛けた指に力を込める香里に暗闇から声がかかる。

 にこっと微笑んで立ち上がる名雪は香里の後ろを見つめる。

 「祐一」

 「止めるんだ、香里」

 振り返った香里の前に、祐一が険しい表情で歩いてきた。

 「これは俺と名雪の戦いだ」

 「でも、あたしはっ・・・」

 「たのむ、香里・・・」

 「いや、いやよっ!」

 「香里」

 がしゃっ。

 真剣な目つきで自分を見つめる祐一の視線に、握りしめていた銃が床に落ちた。

 「すまない、香里・・・待たせたな、名雪」

 「祐一・・・」

 名雪は心の底から嬉しそうに微笑んだ。






 「くっ」

 「はぁはぁ」

 ブレードとエビル・・・祐一と名雪二人のいとこ同士が血を流して戦っていた。

 「はあっ!」

 祐一の突っ込みを避けた名雪だが、腹の装甲が傷ついた。

 「う〜」

 突然、名雪は唸り出すと祐一の前で更なる変身を始めた。

 「なっ、名雪がブラスター化をっ!?」

 「うにゅ〜」

 膝をついて見上げていた祐一は足に力を入れて踏ん張ると立ち上がった。

 「だお〜」

 「うおおぉぉぉぉーっ!」

 ブラスター化を終えた名雪が雄叫びを上げると、祐一も呼応するように叫んだ。

 究極の姿に進化した二人のテッカノン、祐一と名雪はオービタルリングから地球に向かって降りていった。






 廃墟の上空を飛びながら二人は刃を交えて戦っていた。

 「うおーっ!」

 「だおーっ!」

 空の上を高速で移動しながらお互いを傷つけていく二人を、地球の人たちは見上げていた。

 「あ、あれはっ!?」

 「おおっ!」

 そして軌道エレベーターの所に来ると、なぞるよう上に上がっていった。

 カメラからの映像もホールの中にいた人たちに中継されていた。

 「負けんじゃないわよ、祐一!」

 七瀬がスパナを片手に吼えていた。

 「相沢さん」

 「祐一くん」

 瑞佳もみさき先輩も心配することしかできなかった。

 「がんばれ、相沢・・・」

 戦いを見守っている浩平の手のひらは血が滲んでくるほどきつく握りしめられていた。

 「祐一さん」

 その側で栞も祈るように両手を組んで戦いを見つめていた。






 螺旋を描くように軌道エレベーターの周りを上ってきた二人が、香里の目の前を通り過ぎていく。

 その一瞬を見逃さないように香里は目を反らさずに唇を噛みしめて見つめる。

 何度も何度も交差する刃がお互いを傷つけ、そして終わりに近づいていった。

 「これで最後だよ、祐一っ!」

 「くっ・・・」

 名雪が構えたの合わせて祐一も腕を交差させて構える。

 香里の目の前で二人は光を放ち始める・・・最後の必殺技を放つために。

 「さよならだよ、祐一・・・サイ・ボルテッカーッ!」

 「うおおぉぉーっ、ボルテッカーッ!」

 ぶつかり合ったエネルギーが宇宙を明るく照らしていく、とても悲しい光が・・・。

 衝撃で吹き飛ばされた祐一が何とか体制を立て直そうとしたもがいていたら光の中から名雪の姿が浮かび上がった。

 「名雪っ」

 「さよならだよー、祐一っ!」

 「くっ・・・」

 名雪の攻撃を避ける事ができないと感じた祐一だがその目は諦めていなかった。

 「うにゅ!?」

 そのまま名雪の刃が祐一の体を貫こうとした瞬間、名雪を強烈な頭痛が襲ったため逆に祐一の持つ刃に

 自分の体を貫かれた。

 そしてそのままもつれ合うように、再びオービタルリングに落下した。






 「うっ・・・」

 頭を振って意識を取り戻した祐一の前に仁王立ちしていた名雪がゆっくりと倒れていった。

 「名雪っ!」

 ぐちゃ。

 「き〜き〜」

 その名雪の体から何か小さい生き物が出てきてうろうろと徘徊していた。

 そして変身が解けた名雪が眠るように横たわっていた。

 「名雪、名雪っ!」

 「・・・う、祐一・・・うっ」

 「大丈夫か名雪?」

 「嬉しかった・・・今だけでも、祐一が私だけを見つめてくれた」

 「名雪、おまえ記憶が!?」

 「あれがONEの本体だよ、寄生生物なんだよ・・・う〜」

 「しっかりしろ、名雪」

 「無駄だよ、もうじき私が死ぬから出てきたんだよ・・・あうっ」

 「名雪っ」

 「ねえ祐一、これあげるよ・・・」

 「これは!?」

 震える名雪の手の中に求めていたクリスタルが乗せられていた。

 「お母さんが月で待ってるから・・・ううっ」

 「名雪っ」

 「勝った・・・よね、私祐一に勝ったよね? あの時、限界がこなければ・・・ね?」

 「名雪・・・」

 「あれ、おかしいよ〜本当なら嬉しいはずなのに・・・目標無くなっちゃったよ・・・」

 「名雪・・・」

 「なんだか・・・眠くなってきちゃったよ・・・おやすみだおー、祐一・・・」

 そして名雪の体から力が抜けていった・・・眠るように健やかな表情のままで。

 「名雪・・・うおおおぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」






 そっと横たえた名雪の側で立ち上がると、うろうろしていたONEを踏みつぶした。

 がしっがしっがしっ!

 止めることなく何度も何度も・・・。

 「こいつの・・・こいつの、こいつの所為で・・・うおおぉぉぉぉーーーーーっ!!」

 絶叫しながら仮面の下で涙を流していた祐一の背後から香里が走り寄ってきた。

 「祐一・・・祐一!」

 「来るなっ!」

 「祐一?」

 「来るな、香里!」

 「祐一・・・はっ、それは名雪の・・・」

 「香里、俺は今から月に行く!」

 「祐一?」

 がん。

 名雪のクリスタルを握った手で、手動の隔壁の開閉スイッチを押した。

 「待って、祐一!」

 「来るなっ、香里!」

 「もう一度、もう一度顔を見せて祐一!」

 涙を流して一歩一歩近づいていく香里の前でゆっくりと扉が閉まっていく・・・。

 「Dボウイも相沢祐一も今ここで死んだ、俺はテッカノンブレードだ!」

 「祐一っ!」

 がぎん。

 そして香里の目の前で扉は大きな音を立てて閉じられた。






 「神様・・・これ以上、彼から何を奪うのですか?」

 「帰る家も、待っている家族も、友人も、記憶も、何もかも失った祐一から・・・」

 「せめて祐一に救いを・・・祐一に奇跡を・・・」

 最後の敵、テッカノンオメガ・・・水瀬秋子と戦ってぼろぼろの祐一に起こる奇跡とは?

 次回、宇宙の騎士テッカノンブレード最終話。

 「風のたどり着くところ」

 宇宙に香里の叫びが響き渡る。






 おまけ






 あれから10年、新しいテッカノンの物語が始まる

 香里が観鈴が美凪が佳乃がそしてあいつがカムバック!

 今ここにオープンファイア!

 宇宙の騎士テッカノンブレードU 近日公開(大嘘)

 LD,DVDでリリース♪

 「にははーっ、観鈴ちんファイト!」






 久しぶりの予告SSでした。

 宇宙の騎士テッカマンブレードを見てないと解りませんので、了承ください(^^;

 でも、この話はシリアスな展開だから続きを書いてみたいですねぇ・・・。

 ではでは。

 配役(^^;
 ブレード(Dボウィ)=祐一、アキ=香里、ミリー=栞、ノエル=北川、エビル=名雪、ダガー=久瀬、
 アックス=佐祐理さん、ソード=舞、ランス=真琴、レイピア=あゆ、オメガ=秋子さん


 2000/9/9/ 初稿


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