Ｐｉａ・キャロットへようこそ！！２ Ｓｈｏｒｔ Ｓｔｏｒｙ
ばれんたいん★キッス
Ｐｒｅｓｅｎｔｅｄ ｂｙ じろ〜
今日は２月１３日。
明日は何の日か知ってるよね？
そう！ 明日は女の子に取って大切な日、Ｓｔ．ＶａｌｅｎｔｉｎｅＤａｙ♪
大好きな男の子に心を込めてチョコレートを送る日。
私の友達も学校の帰りにお菓子屋さんでチョコレートを物色していた。
かくいう私も材料を買って今こうして夜のキッチンで格闘中なんだけどね。
「あちっ、う〜んなかなか固まらないなぁ・・・」
これで二回目の失敗。
どうしても手作りの物をあいつに渡したかったから、がんばっているんだけど・・・。
形はオーソドックスなハート型、味はあいつ好みのビター味。
思い通りにいかなくて投げ出したくなるけど、でもやっぱりあいつに貰って欲しいから諦めない。
「よし、がんばろうっと！」
気合いを入れて、再びチョコを湯煎して溶かして型に流し込む。
今度こそ、そのまま固まってくれると嬉しいんだけど・・・。
「ふ〜ん、彼氏はビターがお好みなのね？」
「わっ！？ 何しに来たんだよ」
失敗作のチョコの固まりを舐めながら、後ろから声を掛けたのは私の妹。
双子だから見かけはそっくり、だけど性格に問題有りなのが玉にきず・・・。
「お姉ちゃん、今何か言った？」
「ううん、別に」
妙に勘が鋭いのこれまた厄介、下手に隠し事できない。
「ふむふむ、それで上手くいきそうなの？」
「うん、今度は上手くいったみたい」
目の前で固まりつつチョコを見つめながら私が答えると、妹がキッチンに立って何かをし始めた。
「何をするの？」
「何って・・・自分でやってたくせにそう言う事聞くの？」
「あ、ごめん」
鼻歌を歌いながら器用にチョコを溶かしていく。
姉の私より手先が起用だから、この分野では一歩譲るのがちょっと悔しい。
冷めたチョコレートを冷蔵庫にしまって・・・ラッピングは明日の朝でＯＫね。
「それじゃ、お先に」
欠伸をしながら先に自分の部屋に戻る事にした。
「は〜い、お休みお姉さま〜♪」
にやり。
そして、２月１４日。
学校が終わってから真っ直ぐにキャロットへ向かう。
綺麗にラッピングしたチョコを落とさないようにしっかりと抱えて早足で歩く。
ドアの前で立ち止まって、深呼吸してから中に入る。
「いらっしゃいませ、Ｐｉａキャロットへようこそ！！」
「こんにちは、葵さん」
「あら、さっき来たばっかりじゃなかったの潤君？」
「えっ？」
「だって今耕治君と休憩室で話していたんじゃなかったっけ？」
「いえ、今学校終わって来たばっかりですけど・・・」
「おかしいわねぇ・・・」
首を傾げて不思議そうにしている葵さんと一緒に耕治の所に行く。
こんこん、がちゃ。
「耕治君、いる〜？」
葵さんが声を掛けながらドアを開けるとそこに・・・耕治と私とそっくりな女の子がいた。
「み、澪！？ 何でここに？」
「やっと来たお姉ちゃん、遅いよ〜♪」
「ど、どうして澪が・・・あ、まさか！？」
私の考えを見透かしたようにニンマリ笑う。
「ぴんぽ〜ん！ お姉ちゃんがなかなか紹介してくれないから見に来ちゃった♪」
「見に来ただけじゃないんでしょ、その手に持っているのは何？」
「もっちろんチョコに決まっているじゃない♪」
「み、澪〜あんたねぇ・・・」
「な〜にお姉ちゃん？」
耕治の前で姉妹ケンカなんてしたくは無かったけど、このままじゃ収まりがつきそうにない。
「はい！ 二人ともそこまで、耕治君が笑っているわよ〜♪」
葵さんに言われて耕治を見ると苦笑いをして私達を見ていた。
うっ、ちょっと恥ずかしい・・・。
「さあ澪ちゃん、あっちに行きましょう♪ 葵さんが何か奢ってあげるわ」
「は〜い、じゃあね〜お姉ちゃん♪」
そして二人がフロアの方に行ってしまい残された私と耕治は暫く無言でいた。
何となく気まずい雰囲気だけど、私から話しかけた。
「耕治」
「な、何潤？」
聞きたくは無かったけど、ちょっと俯いて耕治に聞いてみる。
「受け取ったの・・・チョコ」
「いや、誰からも受け取ってないよ」
その言葉にはっとして顔を上げると、私が大好きな笑顔で見つめていた。
「どうして？」
「うん、その・・・潤から一番最初に貰いたかったからかな」
頭に手を当てるいつもの照れ隠しの癖で答えた、ちょっぴりほっぺたも赤くなっていた。
耕治の想いがすっごく嬉しくって、思わず耕治の抱きついちゃった。
えへっ。
「お、今日は随分積極的だな、潤」
「ありがとう、耕治」
「どういたしまして、所で俺に何かくれるんじゃ無かったのか？」
「あっ、ごめんね・・・、はい、耕治」
「サンキュー、今食べてもいいのか？」
「うん、どうぞ♪」
「それじゃ一緒に食べようか？」
そう言いながら包装をそっと解いていく、中から綺麗なハート形のチョコが出てきた。
「いただきます」
耕治が端っこをちょっとだけ囓る、どうかな・・・。
「うん、美味しいよ潤」
「そう、よかった・・・」
そう笑う私の口に小さく割ったチョコの欠片を差し出す。
「はい潤、あ〜んして」
な、なんて事するのよ、耕治！？
でも、今日は特別な日だから・・・いいよね？
ほっぺたが赤くなっているのが自分でも解るけど、遠慮がちに口を開ける。
「あ〜ん」
ぱく。
ちょっぴり苦いビターチョコ、だけどとっても甘く感じるのは気のせいじゃないよね・・・。
だって・・・こんなに幸せなんだもの♪
「潤」
「ん？」
ちゅっ。
耕治が素早く私の唇を奪う、もう耕治ったら・・・てれてれ。
「チョコのお礼だったけど・・・だめ？」
「う、ううん、そんな事無い・・・」
そして今度は私の方からも耕治に唇を寄せる。
ちょっぴり苦い・・・でも、とっても甘い甘〜いキスで素敵な日になった。
耕治、大好きだよ。
「あ〜あ、潤お姉ちゃんにも彼氏が出来ちゃったのね・・・」
「そうね、でもあの二人いろいろ大変だったのよ〜」
「あ〜あ、私も恋人欲しいなぁ〜」
「じゃあここで働いてみる？ きっと楽しい出会いが有るわよ♪」
「その訳は？」
「だって、ここはあの二人が出会ったピア☆キャロットだから・・・ね♪」
えんど
ちょっと早いのですがバレンタインＳＳです。
今回設定のみの潤の双子の妹、澪を出してみました。
果たしてこんな性格どうかは解りません（笑）
ただ、凄く仲がいい姉妹だと思います。